前章から続く3. Frieze London 2023の泰然自若と秘められたサバイバル競争 Frieze Londonの2023年の参加ギャラリーは170軒以上で、現代アートのすべてが揃っている。しかも、非常にクオリティの高い作品が陳列されていた。以前本ブログで同年のFrieze Seoulを持ち上げたが、元祖Frie...Read More
2023年秋、とはいえ深刻な気候変動によって夏の暑さがしつこくまつわりつく9月の韓国のソウルで、注目のアートフェアが開催された。その名称は、Frieze Seoul(1~3)。Friezeといえば、現代アートの専門雑誌Friezeによって2000年代初頭ロンドンで開始され、現在に継続すると同時に、その世界戦略がニュー...Read More
※その2からの続き3.レジスタンスの作法: 今や資本主義マーケットの権化となったアートフェアで、誰が抵抗するのか? 最後に問いたい。冒頭の副題で「高が」アートフェア(展示即売会)と述べたが、アートが完全に資本主義マーケットに取り込まれた21世紀のフェアで、作品をギャラリーの店先に並べる個人のアーティストに何ができるのか...Read More
※その1からの続き2. ローカルの作法: Tokyo Gendaiは、アジアで遅れを取った日本のアートマーケットの切り札か? 新型コロナ禍によってその勢いが鈍らされているとはいえ、パンデミックが終幕を迎えて、再びグローバル資本主義の大波に世界が覆われようとしている。 ところが、日本のアートマーケットにはその影響が及びに...Read More
1.グローバルの作法: Tokyo Gendaiを世界と比較する Tokyo Gendai(以下Tokyo、1)は、東京で待望されていた国際的な現代アートのフェア(見本市+即売会)である。1990年代初めのNICAF(国際コンテンポラリーアートフェア)以来の国際的アートフェアの再登場は、まずはご祝儀相場で他との比較は差...Read More
Independentが行われた1週間後、同じニューヨークでFriezeが開催された。 本文【2】で説明したように、新型コロナウイルスのパンデミックでヨーロッパから参加するギャラリーが激減し、Independentは不可抗的にグローバルから遠ざかった。それに対してFriezeは、2021年よりマンハッタンの最新再開発...Read More
2023年5月、【1】のTaipei Dangdaiが行われた台北から、日程が重なるニューヨークのIndependentへ。 まず前提として確認したいことは、ニューヨークで開かれるアートフェアIndependent(1)に参加するギャラリーの展示作品が、ポストモダンを超越しているということである。対して、現在トレンド...Read More
2023年台北で開かれたTaipei Dangdai(1、2)をやや大げさに総括すれば、欧米のギャラリーがガゴシアンを筆頭にして総崩れだった。実は、欧米の主要なギャラリーの多くが参加していないために、他のグローバルなアートフェアと通底する《一本の筋》がないフェアだったのだ。 この《一本の筋》は欧米のアートの歴史であり...Read More
その2より続き4. ビエンナーレ・ホールの外へ:テーマの例証の先にあるビエンナーレの結論としての作品・ビエンナーレ・ホールに近い国立光州博物館(46) この会場(47)は、ビエンナーレ・ホールに近いせいか、未だ水のテーマの例証の延長と思われる作品群(48~54)だった。つまり、アンビギャスな表現のカオティックな作品によ...Read More
その1より続き3. ビエンナーレ・ホール【2】:この道は祖先を迂回して抵抗へと続く 今ビエンナーレは、次のスペースGallery 3で、祖先(Ancestor)という過去の声(19)に傾聴することで迂回の戦略を採る。そこから、未来の生の知恵(20~24)を汲み上げるのである。それが、その先のGallery4(25~29...Read More
1. 2023年、再び光州へ 2018年、第12回のビエンナーレ以来、5年ぶりの光州(1)である。非常に懐かしく感じる街(2)は、少なくとも外見上変わった様子はなかった。 5年のブランクではあるが、3年間は新型コロナ禍によるロス、1年延期されて国内勢が多く短期間の前回のビエンナーレから2年の間を置いたという意味で、変則...Read More
キリスト教布教と建築 京都には、寺社仏閣のみならず、教会も数多い。それは、1549(天文18)年、フランチェスコ・ザビエル(1506~52年)が鹿児島に上陸し、翌年京都を訪れて天皇に布教の許可をもらったからだ。キリスト教は織田信長の保護を受けて浸透・発展する。 だが1587(天正15)年、豊臣秀吉のバテレン追放令が出さ...Read More
逓信建築~郵便局の意匠 銀行は、西洋の意匠を取り入れた歴史的建造物として多く残っていることは知られているだろう。また日本各地の郵便局、電話局も歴史的西洋建築が多い。というのは、どちらも逓信省に所属する逓信局などであり、逓信省には専門の建築技師が勤務していたからだ。そのため、これらは「逓信建築」とも称される。 初期、特に...Read More
Day 4(11/28)のつづき すでにDay 3のアルバース夫妻の展覧会で立ち入った話をしているけれど、現代から歴史を遡ってモダンアートのエピソードに着目することにしよう。場所は、パリの中心にあるオランジュリー美術館。言わずと知れたモネの晩年の名作『睡蓮』で世界的に知られる美術館である。 オランジュリー美術館のオーバ...Read More
Day 3(11/27) パリ滞在3日目は、パリ市立近代美術館(1、2 ※写真番号、以下同)へ。 ポンピドゥーセンターが1970年代に開館してからその影に隠れてしまったが、ポンピドゥーより古くからある美術館(パリで近代といえば、ここだけだった)で、若かりし頃近くの狭い屋根裏部屋に住んでいた私は、やはりすぐそばのシネマテ...Read More
Day 1(11/25) パリ到着初日は、午後から前回(ほぼ1か月前の10月後半、パリにやはり1週間ほど滞在した)見落としたアートセンターとギャラリーへ。 パリ大学ディドロ校のなかにあるbetonsalonで(1)行われていたグループ展(2~20)は、なんとも奇妙な光景だった。作品と作品の釣り合いが取れていない。テーマ...Read More
リボーンの中心会場である石巻市は、二つの宣言を行っている。それは、私が初めて降り立ったJR石巻駅前の小さな広場にひっそりと佇む記念碑や塔によって知られる。 それらに刻まれた文章の一つは、非核平和都市宣言(1)、もう一つは、萬画宣言(2、3)である。その漫画文化を伝承する施設が、旧北上川の中州の中瀬公園に建つ石ノ森萬画...Read More
日和山から見下ろす景色に、3.11の残酷な出来事がオーバーラップして、今日の穏やかな日が信じられない気がした。しかし、あの日の痕跡は残っている(残されている)。そのとき当事者(大惨事を経験した者)と非当事者(経験していない者)の絶対的な差違は埋められないと実感した。加害者と被害者の溝が埋まらないのとまったく同じように...Read More
2017年、2019年と開催されたアートと音楽と食の祭典、ビエンナーレ形式のリボーンアート・フェスティバル(1、以下リボーンと略記)は、3回目の今年、新型コロナウィルスのパンデミックの影響で、2021年と2022年の二回に分けて行われることになった。以下の文章は、その2021年夏期のレビューである。 本展のキュレータ...Read More
壁景の意味 不思議な作品を見た。抽象のようだが、版画のようでもある。そして、筆などで描写したようには見えなかった。どうやってつくっているのか。これは写真なのか、ペインティングなのか。 そのタイトルが気になった。「壁景」。なるほど、これは壁を描いたか、写したものだろう。だが、普通の壁には見えない。何か特殊な壁を撮影して、...Read More
京都の舞踏とコンテンポラリーダンス 京都は舞踏のメッカである。というと、驚かれるかもしれない。 舞踏は、1959(昭和34)年、土方巽が大野慶人と『禁色』を上演したことで始まったとされる。そして、土方巽と大野一雄が舞踏を生み出した。 その土方の元から、1972年に生まれたのが大駱駝艦で、麿赤兒が主宰し、現在も活動を続け...Read More
TCAA受賞記念展 風間サチコは、2017年の横浜トリエンナーレで、最も気になった作家だ。2018年、埼玉の原爆の図丸木美術館でも個展があった。そして、「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)2019-2021」で受賞した。この賞は、東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団東京都現代美術館ト...Read More
横浜開港アンデパンダン展 現在、関東では、前回解説した1947年から続く日本アンデパンダン展のほかに、もう一つ、アンデパンダン展がある。2009年に始まった横浜開港アンデパンダン展で、2021年、9回目を迎えた。どちらも無審査のため玉石混淆だが、注目すべきは、パフォーマンスやインスタレーションなどが行われる点だ。 美術...Read More
アンデパンダン展と戦後 アンデパンダンというと、読売アンデパンダン展が有名である。読売新聞の海藤日出男が企画して、1949(昭和24)年から1963年に、東京上野の東京都美術館で毎年開催された。現在の東京都美術館になる前のことだ。 それが美術史に残っているのは、1960年にネオダダ・オルガナイザーズを結成する赤瀬川原平...Read More