W'UP★9月11日~11月24日 小川晴暘と飛鳥園 一〇〇年の旅 半蔵門ミュージアム(千代田区一番町)
小川晴暘と飛鳥園 一〇〇年の旅
会 場 半蔵門ミュージアム(東京都千代田区一番町25)
開催日 2024年9月11日(水)~11月24日(日)
開館時間 10:00~17:30(入館は17:00まで)
休館日 毎週月曜日・火曜日
入場料 無料
ホームページ https://www.hanzomonmuseum.jp
お問合せ TEL 03-3263-1752
写真家小川晴暘(おがわ せいよう 1894-1960)が創立し、2022年に創立100年を迎えた仏像撮影専門の写真館「飛鳥園」の歩みをご紹介いたします。本展は、小川晴暘・光三親子の写真作品を中心に、文化財保護活動を支えると同時に仏像写真を芸術の域に高めた飛鳥園の活動を振り返ります。近年撮った写真もまじえ、飛鳥園という「眼」がレンズを通して切り取った、100年のまなざしを感じていただく展覧会です。
奈良を中心に各地の仏像を撮った写真家小川晴暘(おがわ せいよう 1894-1960)。彼が創立した仏像撮影専門の写真館「飛鳥園」は2022年に創立100年を迎えました。兵庫県姫路市に生まれた小川晴暘は、画家を志して上京しますが、奈良で仏像などの文化遺産に感銘を受けたのを機に、写真に傾注するようになります。1922(大正11)年、美術史家・書家・歌人として知られる會津八一(あいづ やいち)の勧めで奈良に「飛鳥園」を創業し、奈良の仏像や寺院を中心に文化財・文化遺産の撮影に精力を傾けました。撮影だけでなく東洋美術の研究にも熱中し、奈良に居を移した志賀直哉(しが なおや)や京都大学総長も務めた濱田青陵(はまだ せいりょう)をはじめ、文化人・知識人との交流も深めました。
さらに日本のみならず、中国の雲岡石窟(うんこうせっくつ)、韓国の石窟庵(せっくつあん)・仏国寺(ぶっこくじ)、インドネシアのボロブドゥール遺跡、カンボジアのアンコール・ワットなど、アジアの文化遺産の調査・撮影も積極的に行いました。小川晴暘の写真は、常識を覆す大胆な発想と、画才にも恵まれたことでも分かる美への強いこだわりと感性によって、仏像を主題に神秘的な写真空間を生み出すことに成功し、文化財の記録・資料という枠を超えて、仏像写真を芸術の域にまで昇華させた画期的なものでした。
小川晴暘は1960(昭和35)年に逝去しますが、写真館飛鳥園は小川光三、小川光太郎へと引き継がれ、その活動は現在も奈良の地で続いています。 本展は、小川晴暘・光三親子の写真作品を中心に、文化財保護活動を支えると同時に仏像写真を芸術の域に高めた飛鳥園の活動を振り返ります。
常設展示
鎌倉時代初期の仏師運慶作と指定される大日如来坐像(重要文化財)、醍醐寺ゆかりの不動明王坐像、如意輪観音菩薩坐像、二童子像を常設展示しています。(展示室:地下1階)
特別展関連講演会 小川晴暘と仏像写真
大正から昭和にかけて、それまでにないすぐれた仏像写真を撮り続けた小川晴暘。飛鳥園を創業し、會津八一と出会い、仏像の写真集を次々に世に送り出します。その足跡をたどりながら、数々の代表作を紹介していきます。
日時 10月20日(日) 14:00~15:30
講師 西山厚(当館名誉館長)
会場 半蔵門ミュージアム3階シアター(定員60名)およびオンライン開催
対象 中学生以上
参加費 無料
申込方法 当館公式サイトの「お知らせ」または「講演会/イベント」の申込みフォームからお申込みください(追って情報掲載予定)
※事前申込(8月21日~9月19日)
連続講座 曼荼羅入門講座(全3回)
曼荼羅は、現世利益を目的とした簡単なものから始まり、やがて成仏を目的とする複雑な構造の大曼荼羅が形成されました。この講座では曼荼羅の構造に着目しつつ、主要なほとけを紹介し、曼荼羅に親しむ入口にしたいと思います。
日時【第1回目】11月9日(土)、【第2回目】12月14日(土)、【第3回目】1月11日(土)
各回 14:00~15:30
講師 吉田 典代(当館上席客員研究員)
会場 半蔵門ミュージアム3階ホール(定員60名)
対象 中学生以上
参加費 無料
申込方法 当館公式サイトの「お知らせ」または「講演会/イベント」の申込みフォームからお申込みください(追って情報掲載予定)
※事前申込・先着順(10月2日~)
巡回情報
奈良県立博物館 2024年4月20日(土)~6月23日(日) ※開催終了
姫路市立美術館 2024年7月6日(土)~9月1日(日)
パラミタミュージアム 2024年11月30日(土)~2025年1月26日(日)
半蔵門ミュージアム公式サイト https://www.hanzomonmuseum.jp
SNS
https://twitter.com/hanzomon_museum
https://www.instagram.com/hanzomonmuseum0419
https://www.youtube.com/channel/UCoir-_7F5opek4TshopMC1g
主 催 半蔵門ミュージアム、毎日新聞社
特別協力 飛鳥園
アクセス
東京メトロ半蔵門線『半蔵門駅』下車 4番出口(地上1階)左すぐ
東京メトロ有楽町線『麹町駅』下車 3番出口から徒歩5分
JR『四ツ谷駅』下車 徒歩15分
※駐車場および駐輪場はございません
※都合により、展覧会およびイベント等が中止または変更となる場合がございます。
半蔵門ミュージアムについて
半蔵門ミュージアムについて半蔵門ミュージアムは、真如苑が所蔵する仏教美術を一般に公開するために設立した文化施設で、2018年に開館いたしました。地下鉄「半蔵門駅」出口すぐの、都心の交通が簡便な場所にあり、入場料は無料です。
メインの地下展示室は常設・特集展示エリアからなり、歴史と信仰によって育まれてきた仏像や仏画などの仏教美術と静かに向き合っていただけます。積層する大理石(トラバーチン)の床、壁で構成され、信仰心を呼び起こす、精神性の高い石室のような空間です。ほとんどの展示品はガラスケースに入れておらず、直接鑑賞することができます。設計は平等院ミュージアム鳳翔館や国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館などを手がけた建築家の栗生明氏によるものです。
運慶作と推定される大日如来坐像
東京国立博物館の寄託から半蔵門ミュージアムの創設・展示へ
当館の代表的な所蔵作品に、運慶作と推定される重要文化財 大日如来坐像(鎌倉時代初期)があります。個人が所蔵していたこの像を、現在の当館館長である山本勉が調査したのは2003年のことです。まもなく像は東京国立博物館に寄託され、2004年4月の公開と同時に、山本が論文「新出の大日如来像と運慶」を発表して運慶作品である可能性を論じました。その後、2008年にNYでオークションにかけられ、運慶作品の国外流出危機という社会的な話題を呼びました。この際に文化財保護の観点から真如苑が像を購入、その年の夏から東京国立博物館の寄託に戻って再公開され、翌年の2009年には重要文化財に指定されました。やがて公開施設として、半蔵門ミュージアムが創設され、2018年から一般公開を開始し、大日如来像は展示室の中央に常設展示されています。
大日如来像の特色と仏師運慶
金剛界の大日如来像は、智慧の象徴である智拳印を結んでいます。現在は失われていますが、当初は宝冠や胸飾・瓔珞などで荘厳されていたのでしょう。像の作風は平安時代末期、鎌倉時代前期に活躍した仏師運慶(?~1223)の作品、とくに運慶が文治5(1189)年に造った神奈川県横須賀市・浄楽寺阿弥陀三尊像と共通しています。像内は上げ底式内刳りと呼ばれる技法で密閉され、五輪塔形の木札や仏像の魂といえる心月輪(水晶珠)などが納められていますが、この技法は浄楽寺にみられるものです。これらの観点から像は、記録にみえる足利義兼(?~1199)が建久4(1193)年に足利・樺崎寺(現在廃寺)下御堂に造った大日如来像にあたると考えられています。
大日如来像のひみつ
大日如来像内の納入品は、2003年に撮影されたX線写真によって確認されましたが、その後のさらなる科学調査によって詳細が報告されています。像内の中央部には、上部を五輪塔形にかたどり、彩色して種子を書き、基部には梵字の陀羅尼を書いた木札が立てられており、その半ばの高さには水晶珠が留められており、その横には舎利を籠めた五輪塔形容器が位置すること、下方には紐束のはいった袋があることなどが明らかになってまいりました。当館では、これらの詳細も展示紹介しております。
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