W'UP★4月24日~9月1日 音を観る ―変化観音と観音変化身― 半蔵門ミュージアム(千代田区一番町)

W'UP★4月24日~9月1日 音を観る ―変化観音と観音変化身― 半蔵門ミュージアム(千代田区一番町)
如意輪観音菩薩像 鎌倉時代 14世紀 展示期間:4/24~6/30

2024年4月24日(水)~9月1日(日)
音を観る ―変化観音と観音変化身―

 『法華経』観世音菩薩普門品では、観音は衆生の「音声を観て」皆に解脱を得させたといいます。「音を観る」ことができる、「観音」とはその神通力を象徴した名をもつ菩薩です。
 特集展示 “音を観る”では、六観音のうち十一面観音の彫刻と、聖(しょう)観音、千手観音、准胝(じゅんでい)観音、如意輪(にょいりん)観音の絵画を展示しました。このうち、如意輪観音の画像は2点。ひとつは繊細で優美な表現が特徴で、金泥(きんでい)と切金(きりかね)が用いられた鎌倉時代の優品です。もうひとつは向って左下に訶梨帝母(かりていも)を描いた珍しい作品です。
 観音は如来の脇侍(きょうじ)として配される場合もあり、その作例も並べました。また、観音がまったく異なった姿に変化する三十三応現身(おうげんしん)も生み出されました。本展ではそのひとつである梵王身(ぼんのうしん)の彫刻を展示いたします。

「観音」とは?
 観音は、観世音(かんぜおん)菩薩あるいは観自在(かんじざい)菩薩が正しい表記ですが、観音さま、観音さん、と古来親しまれてきた仏で、現世利益(げんぜりやく)を求める多くの人々の信仰・崇拝の対象となりました。
 観音は複数の姿に変化(へんげ)することがあり、それぞれの姿は多様です。密教では、聖(しょう)観音、千手観音、馬頭観音、十一面観音、准胝(じゅんでい)観音(または不空羂索(ふくうけんさく)観音)、如意輪観音の六つの姿を、“六観音”と称しています。忿怒相(ふんぬそう)の馬頭観音を除いて、その表情には、おだやかに包み込むような慈しみをたたえていることが共通した特色でしょう。
 千手観音や十一面観音のように、顔や腕が複数ある多面多臂(たひ)像もあり、蓮華や水瓶(すいびょう)をはじめ、さまざまな持物(じもつ)を手にしていることも特徴的です。多臂には、法輪(ほうりん)や如意宝珠(にょいほうじゅ)、念珠、宝剣などを持ち、何も持たない手は印を結びます。阿弥陀如来が観音の本地仏(ほんじぶつ)とする考え方があることから、頭上には化仏(けぶつ)として阿弥陀如来があらわされることもあります。常設展示エリアの「仏涅槃図(ぶつねはんず)」では、金色で表された8体の菩薩が釈迦如来の側近くに集まり、そのうちの宝冠に阿弥陀如来の化仏があるのが観音であるとわかります。
 常設展示の如意輪観音菩薩坐像や仏涅槃図とともに、観音の柔和な微笑み、しなやかな身のこなしに接し、内面にたたえた慈悲を感じ取っていただければと思います。
 ガンダーラの仏伝浮彫、鎌倉時代初期の仏師運慶作と推定される大日如来坐像(重要文化財)、醍醐寺ゆかりの不動明王坐像、如意輪観音菩薩坐像などを常設展示しています。また、金色で釈尊を描いた「仏涅槃図」を特別展示いたします。

開催期間 2024年4月24日(水)~9月1日(日)
会 場 半蔵門ミュージアム(東京都千代田区一番町25)
時 間 10:00~17:30(入館は17:00まで)
休館日 毎週月曜日・火曜日
入場料 無料
TEL 03-3263-1752
半蔵門ミュージアム 公式サイト https://www.hanzomonmuseum.jp
SNS
https://twitter.com/hanzomon_museum
https://www.instagram.com/hanzomonmuseum0419
https://www.youtube.com/channel/UCoir-_7F5opek4TshopMC1g

アクセス
東京メトロ半蔵門線『半蔵門駅』下車 4番出口(地上1階)左すぐ
東京メトロ有楽町線『麹町駅』下車 3番出口から徒歩5分
JR『四ツ谷駅』下車 徒歩15分
※駐車場および駐輪場はございません
※都合により、展覧会およびイベント等が中止または変更となる場合がございます。最新情報は、当館公式サイトをご覧ください。

講演会・レクチャー
講演会「仏像修理の技と心」会場・オンライン併催
保存修理は綿密な調査のもと慎重にすすめます。その作業工程をご紹介いたします。
日時 6月29日(土)14:00~15:30
講師 明珍 素也氏(株式会社明古堂代表取締役/武蔵野美術大学客員教授)
会場 半蔵門ミュージアム3階ホール(定員60名)およびオンライン開催
対象 中学生以上
参加費 無料
※事前申込(期間 4月24日〜6月3日)

申込方法 当館公式サイトの「お知らせ」または「講演会/イベント」の申込みフォームからお申込みください
お問い合わせ先 講演会事務局 Tel 070-4369-8162 受付時間 10:00~18:00
※土日祝日を除く

スライドレクチャー「展示品の見どころ紹介」会場のみ
特集展示作品の特徴や見どころを、スライドを用いて分かりやすくご説明いたします。
日時 5月12日(日)14:00~14:40(受付開始13:30)
講師 吉田 典代(当館上席客員研究員)
会場 半蔵門ミュージアム3階ホール(定員60名)
対象 中学生以上 参加費:無料
※事前申込不要(当日先着順)

江戸歴史文化講座「江戸のスポーツ観覧」会場のみ
国際的なスポーツ大会が耳目を集める今、江戸の人々が楽しんだスポーツをご紹介いたします。
日時 7月28日(日)14:00~15:00(受付開始13:30)
講師 岡崎 寛徳(当館主任学芸員)
会場 半蔵門ミュージアム3階ホール(定員60名)
対象 中学生以上 参加費:無料
※事前申込不要(当日先着順)

同時開催展
写真コレクション展 ヤング・ポートフォリオ

会期 2024年4月24日(水)〜9月1日(日)
会場 1階ギャラリー
当館の姉妹館である清里フォトアートミュージアム(館長 細江英公氏)が若手写真家の育成を目的として1995年の開館以来継続している活動「ヤング・ポートフォリオ」の約6千点にのぼる収蔵作品の一部を展示いたします。

半蔵門ミュージアムについて
 半蔵門ミュージアムについて半蔵門ミュージアムは、真如苑が所蔵する仏教美術を一般に公開するために設立した文化施設で、2018年に開館いたしました。地下鉄「半蔵門駅」出口すぐの、都心の交通が簡便な場所にあり、入場料は無料です。

ミュージアム外観
半蔵門ミュージアム 外観

 メインの地下展示室は常設・特集展示エリアからなり、歴史と信仰によって育まれてきた仏像や仏画などの仏教美術と静かに向き合っていただけます。積層する大理石(トラバーチン)の床、壁で構成され、信仰心を呼び起こす、精神性の高い石室のような空間です。ほとんどの展示品はガラスケースに入れておらず、直接鑑賞することができます。設計は平等院ミュージアム鳳翔館や国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館などを手がけた建築家の栗生明氏によるものです。

半蔵門ミュージアム 地下展示室
半蔵門ミュージアム 地下展示室

運慶作と推定される大日如来坐像
 東京国立博物館の寄託から半蔵門ミュージアムの創設・展示へ
 当館の代表的な所蔵作品に、運慶作と推定される重要文化財 大日如来坐像(鎌倉時代初期)があります。個人が所蔵していたこの像を、現在の当館館長である山本勉が調査したのは2003年のことです。まもなく像は東京国立博物館に寄託され、2004年4月の公開と同時に、山本が論文「新出の大日如来像と運慶」を発表して運慶作品である可能性を論じました。その後、2008年にNYでオークションにかけられ、運慶作品の国外流出危機という社会的な話題を呼びました。この際に文化財保護の観点から真如苑が像を購入、その年の夏から東京国立博物館の寄託に戻って再公開され、翌年の2009年には重要文化財に指定されました。やがて公開施設として、半蔵門ミュージアムが創設され、2018年から一般公開を開始し、大日如来像は展示室の中央に常設展示されています。

大日如来坐像
大日如来坐像 重要文化財 鎌倉時代 建久4(1193)年か
運慶作と推定されている金剛界大日如来像

大日如来像の特色と仏師運慶
 金剛界の大日如来像は、智慧の象徴である智拳印を結んでいます。現在は失われていますが、当初は宝冠や胸飾・瓔珞などで荘厳されていたのでしょう。像の作風は平安時代末期、鎌倉時代前期に活躍した仏師運慶(?~1223)の作品、とくに運慶が文治5(1189)年に造った神奈川県横須賀市・浄楽寺阿弥陀三尊像と共通しています。像内は上げ底式内刳りと呼ばれる技法で密閉され、五輪塔形の木札や仏像の魂といえる心月輪(水晶珠)などが納められていますが、この技法は浄楽寺にみられるものです。これらの観点から像は、記録にみえる足利義兼(?~1199)が建久4(1193)年に足利・樺崎寺(現在廃寺)下御堂に造った大日如来像にあたると考えられています。

大日如来像のひみつ
 大日如来像内の納入品は、2003年に撮影されたX線写真によって確認されましたが、その後のさらなる科学調査によって詳細が報告されています。像内の中央部には、上部を五輪塔形にかたどり、彩色して種子を書き、基部には梵字の陀羅尼を書いた木札が立てられており、その半ばの高さには水晶珠が留められており、その横には舎利を籠めた五輪塔形容器が位置すること、下方には紐束のはいった袋があることなどが明らかになってまいりました。当館では、これらの詳細も展示紹介しております。

 

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