W'UP★10月13日~12月24日 Seiko Seed Exhibition 「からくりの森 2023」機械式腕時計とAnimacy(生命感)の正体 Seiko Seed(渋谷区神宮前)

W'UP★10月13日~12月24日 Seiko Seed Exhibition 「からくりの森 2023」機械式腕時計とAnimacy(生命感)の正体 Seiko Seed(渋谷区神宮前)
 

2023年10月13日(金)~12月24日(日)
Seiko Seed Exhibition
「からくりの森 2023」機械式腕時計とAnimacy(生命感)の正体


 2回目となる本展は「機械式腕時計とAnimacy(生命感)の正体」と題し、セイコーウオッチデザイン部の他、参加クリエイターに、nomena(ノメナ)、siro(シロ)、TANGENT(タンジェント)の3組と、展覧会ディレクターに平瀬謙太朗氏を迎えました。

イメージ

展覧会コンセプト

 不思議なことが起こった。
 近年、「機械」と呼ばれるもののほとんどは電気の力で動いている。
 私たちは、電気の力に疑いを持たず、そればかりか、まるで電動であることが、正確・精緻であることを保証しているかのようにすら感じている。
 だからこそ、私たちは「機械式腕時計」という存在に感動してしまう。
 眼の前で狂いなく正しく時を刻み続けるこの小さな機械が、電気ではなく、人が手で巻いたぜんまいの力によって動いているという事実。
 そして、それを実現している恐ろしく精巧な機構と、その美しさに心を奪われる。

 本展は、その抗いがたき感動を受け取った4組のクリエイターが、「機械式腕時計」の魅力を独自の視点から解釈し、各々の表現によって再構成する展覧会として始動した。
 しかし、そんな最中、不思議なことが起こった。
 それぞれの作品の制作が始まってみると、まるで示し合わせたかのように、すべてのクリエイターからある共通のキーワードが出てくるようになったのである。
 Animacy = 生命感
 たとえそれが無生物であっても、まるで生きているかのような有機的な振る舞いに、私たち人間が「生命感」を感じてしまう認知現象は、決して珍しいことではない。
 しかし、この「機械式腕時計」の振る舞いは、むしろ、その逆である。
 正確無比に、淡々と、規則正しく針を動かし続ける機械。それが「時計」である。
 では一体、彼らは「機械式腕時計」の何処に、「Animacy(生命感)」を見出したのか。

 結果として、
 本展は「機械式腕時計」というモチーフを通じて、時計に宿る「Animacy(生命感)」の正体を、4つの視点から垣間見ようとする展覧会として再構築されることとなった。
 また、言うまでもなく、ぜんまいを巻く限りいつまでも動き続ける「機械式腕時計」は、持続性の低いエネルギーに多くを託して生きている私たちにとっては「永続性」の象徴とも読み解ける。
 その小さく、しかし力強い針の動きをじっと見ていると、
 700年以上の歴史をもつこの機械の中に、私たちが歩むこれからの未来への手がかりが隠れているのではないかと、どうしても期待してしまう。

Seiko Seed Exhibition 「からくりの森 2023」 機械式腕時計 と Animacy (生命感)の正体
会 期 2023年10月13日(金)~12月24日(日) 
時 間 11:00~20:00
※入場は19:45まで
会期中無休
会 場 Seiko Seed(東京都渋谷区神宮前1-14-30 WITH HARAJUKU 1F) 
入場料 無料
特設サイト https://www.seiko-seed.com/karakurinomori2023/
参加クリエイター nomena / siro / TANGENT / セイコーウオッチ株式会社 デザイン部
技術監修 セイコーウオッチ株式会社 時計設計部
展覧会ディレクター 平瀬謙太朗

展覧会ディレクター プロフィール

平瀬 謙太朗
 1986年、サンフランシスコ生まれ。慶応義塾大学SFC 脇田玲研究室 卒業。東京藝術大学大学院映像研究科 佐藤雅彦研究室 修了。2013年、デザインスタジオ「CANOPUS」設立。2020年映画・映像の企画事務所「5月」設立。メディアデザインを活動の軸として、映像・映画・デジタルコンテンツ・グラフィック・プロダクトなど、様々なメディアにおける新しい表現を模索している。
https://spnc.jp

展示作品

連鎖するリズムのコラージュ
連鎖するリズムのコラージュ A Collage of Chained Rhythm

 初めて機械式腕時計を分解した体験は、驚きの連続だった。
洗練された部品はひとつひとつが美しく、それらが複雑に組み合って動く様は、機械を超えた生命感や時間を司る物理法則そのものがかたちになったような純粋さすら感じさせた。
 それが人の手で生み出されたものであることの驚異に触れた時、自らの手で歴史上の時計機構を再現することで、先人たちの創意工夫の積み重ねを追体験したいと考えた。かたちの意味、小さいことの難しさ、正しく時間を刻むこと。自らつくることで初めて感じる技術者たちの試行錯誤の跡。
作品はセイコーの機械式腕時計が0秒を指した時を合図に動き始める。自らの歴史を振り返るように、動きは隣接する機構へと連鎖し、それぞれのリズムを刻む。過去から現代、そして未来へと機械式腕時計の技術のバトンは受け継がれていく。

クリエイター プロフィール
nomena
 2012年設立。以来、日々の研究や実験、クリエイターやクライアントとのコラボレーションを通して得られる多領域の知見を動力にして、前例のないものづくりに取り組み続けている。近年では、宇宙航空研究開発機構JAXA など研究機関との共同研究や、東京2020 オリンピックにおける聖⽕台の機構設計などに参画。主な受賞歴に、文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞(2022)、Pen クリエイターアワード(2021)、DSA 日本空間デザイン賞金賞(2017)、日本サインデザイン協会SDA 賞優秀賞(2017)、東京都現代美術館ブルームバーグ・パヴィリオン・プロジェクト公募展グランプリ(2012)他。
https://nomena.co.jp/

時のしずく
時のしずく Drops of Time

 「歩度測定器」というものがあることを知った。時計の速度を調整するための測定器だが、実は機械式腕時計の「音」を使って計測している。まるで人間が「心臓の音」を聴くことで健康状態をみているかのようだ。機械式腕時計の音を聞いた当初から持っていた「生きているみたいだな」という感覚は、これを機に一層強まった。
 私たちは正確に刻まれる「時」そのものにも想いを馳せた。議論を重ねる中で、「水」を使って「時」を考えてみてはどうか、と思った。刻々と生まれる水滴が、時間の経過と共に一つになり溜まっていく。そんな「時を刻むもの」を考えた。
 「時のしずく」は、機械式腕時計の正確な音を「心臓」として時を刻む、水滴の時間表現装置。水滴の振る舞いを眺めつつ、時を忘れて御覧いただきたい。

siro
 siroは、ものづくりの会社です。我々が考える「ものづくり」とは、コンセプトや企画から始まり、デザインやエンジニアリングなど様々なスキルを集結し、絶妙なチームワークで最高に素晴らしいものを作ることだと思っています。siroでは、様々な社外の才能と親密な連携により仕事をしています。今回の「からくりの森」の制作チームも、siroの社外のメンバーも多くコミットしています。デザイナーやエンジニアなどのスキルで構成されているチームですが、それぞれ作品を作る活動もしているメンバーでチームを作りました。それぞれのスキルやアイデアを集め、高め合いながらいい作品につなげていきます。
https://si-ro.jp/

時の鼓動
時の鼓動 Heart of Time

 機械式腕時計の中には、一定のリズムを刻み続ける部品がある。
 その部品は時を正確に測る・示すための核であるが、単体では時刻を表すことはなく、ただ揺れ動いている。
 その様子を眺めていると、人間の作った文字盤は時間を表すひとつの手法にすぎず、それとは無関係に時間は流れ、刻まれ続けていることを感じた。
 本作品では、機械式腕時計の部品を石に埋め込むことで、そのような時間の普遍性の可視化を試みた。
 人の心臓を模した位置で動き続けるその部品は、人と石の時間の根底には同じ時間が流れていることを示している。
 長くて100年の人生である我々と、地球の誕生から姿かたちを変えながら46億年の時を経た石も同じ時を刻み、人にとっての1日は石にとっても1 日であり、すべてのものは時間を共有しながら、日々変化し、生きているのである。

TANGENT
 2015年にロンドンで設立。デザインとエンジニアリングの発展的な融合を得意とし、世界的なラグジュアリーブランドに多くのデザインやコンセプトを提供するほか、テクノロジー起点の新規事業開発から街づくりまで、幅広い領域のプロジェクトに携わる。近年では、日本の伝統工芸と先端技術を繋ぐ国際的なイニシアティブ「Craft x Tech」を創立し、日本文化の進化・継承にも取り組んでいる。
https://www.tngnt.uk

時のかけら
時のかけら Fragments of Time

 人はもともと「時」をどのように意識していたのだろう?
 月の満ち欠け。水の流れ。影の傾き。草花の成長。きっと自然の現象から「時」の移り変わりを感じていたはずだ。
 太陽の光を使った日時計。水の流れを使った水時計。そして、金属のばね性を使った機械式腕時計。
 時計の進化はいわば「自然のちから」を凝縮する歴史であり、その軌跡は、歯車の形や素材といった時計機構全ての部品にあらわれている。
 しかし、正確な時刻が画面上でいつでも確認できる現代では、「時」は均一な情報となり、その背景を意識することは少なくなった。
 本作品は、自然から贈られたモチーフを時計機構の動きに重ねあわせ、機械たちに凝縮されていた「自然のちから」の解放を試みたものである。機械式腕時計ならではの秒針の拍動が、ワイヤーに繋がれたモチーフを通じて空間全体に拡張され、機構の奥に潜む自然の息吹を感じさせる。
 健気に動き続ける小さな機械たちが生み出す情景を通して、それぞれの「時」の記憶に思いを馳せてほしい。

 

※会期中は、ギャラリーツアーやワークショップを実施する予定です。詳細が決まり次第、特設サイトよりご案内します。

情報掲載について

当サイトへの掲載は一切無料です。こちらからご登録できます。https://tokyo-live-exhibits.com/about_information_post/

コメント

*
*
* (公開されません)