W'UP!★6月3日~2024年5月6日 ハウス・オブ・フィールド/「キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス」展 中村キース・ヘリング美術館(山梨県北杜市)

W'UP!★6月3日~2024年5月6日 ハウス・オブ・フィールド/「キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス」展 中村キース・ヘリング美術館(山梨県北杜市)
 
Photo by ©Tina Paul

2023年6月3日(土)~2024年5月6日(月)
ハウス・オブ・フィールド

世界的ファッションスタイリスト、パトリシア・フィールドのアートコレクション展「ハウス・オブ・フィールド」展開催
1960年代から半世紀をかけて収集した作品約130点を一挙公開
 中村キース・ヘリング美術館(山梨県・小淵沢)は、映画『プラダを着た悪魔』(2006年)、米テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』(1998年-2004年)で、衣裳デザイナーおよびスタイリストとして、アカデミー賞衣装デザイン賞ノミネート、エミー賞衣装賞を受賞するほか、現在Netflixで公開中のテレビドラマシリーズ『エミリー、パリへ行く』(シーズン1、2)Netflix(2020、2021年)で活躍するパトリシア・フィールドが、半世紀をかけて蒐集したアートコレクションを紹介する展覧会「ハウス・オブ・フィールド」展を開催します。

アートコレクションの部屋のモノクロ写真
Photo by ©Tina Paul

 ニューヨークに生まれ育ったパトリシア・フィールドは、24歳の時に初めて自身のブティック「パンツ・パブ」をオープンしました。このブティックは、のちに自らの名を冠した「パトリシア・フィールド」となり、イースト・ビレッジを中心に移転を繰り返します。そして場所を移しながら「ハウス・オブ・フィールド」と呼ばれるコミュニティを形成していきました。「ハウス」は、1970年代以降のニューヨークのアンダーグラウンドシーンで、黒人やラティーノのLGBTQ+コミュニティで、“従来の枠組みに囚われず生活を共にする集団がその結束を示す言葉”として使われてきた言葉です。現在も「ハウス・オブ・フィールド」には、パトリシア・フィールドを中心に彼女のブティックに所属するスタッフやデザイナー、アーティスト、美容専門家、彼女を慕う人々のコミュニティとして健在しています。

スーザン・ピット作品ジョーカー
スーザン・ピット、《ジョーカー》、制作年不詳、235.4 × 184.8 cm
ポール・チェルスタッド作品ボールルーム・ペインティング・シリーズ
ポール・チェルスタッド、《ボールルーム・ペインティング・シリーズ》、1988年、229.0 × 489.1cm
リチャード・アルバレス作品無題
リチャード・アルバレス、《無題》、制作年不詳、50.0 × 337.5 × 0.9 cm
ミラーマネキン
作者不詳、《ミラーマネキン》、制作年不詳、177.0 × 143.0 × 60.0 cm

 パトリシア・フィールドは作品を購入することでアーティストたちを支え、アーティストたちも彼女を敬愛しポートレートを贈りました。それらの個性豊かなアートが、壁やショーウィンドウ、試着室の扉にいたるまで空間全体を彩るブティックは、2016年春に惜しまれながら閉店し、彼女のアートコレクションの主要作品約190点が2016年に中村キース・ヘリング美術館に収蔵されました。

 本展では、パトリシア・フィールドが半世紀をかけて集めたコレクションから、日本初公開作品を含むペインティングや写真、オブジェなど約130点を公開します。人間の欲望をポジティブなエネルギーに変換するかのようなパワフルな作品は「自分らしく生きることとは何か」を問いかけ、本展を通してパトリシア・フィールドの歩んできた道のりや想いを発信します。

3つの見どころ

1. 多様な作家による作品をティナ・ポールの写真とともに紹介
 80年代以降、ニューヨークのナイトライフを記録し続ける写真家ティナ・ポールの写真とともに、パトリシア・フィールドのアートコレクションを紹介します。アメリカを代表するアニメーション映像作家であり画家としても知られるスーザン・ピットなど著名な作家から、無名の作家まで、幅広い作品を蒐集してきたパトリシア・フィールド。彼らにとっての「家」である「ハウス・オブ・フィールド」の「母親」として、パトリシア・フィールドは生活の場や表現の場を提供してきました。パトリシア・フィールド・アートコレクションは、そうした親密な関係のなかで構築されてきました。

マーティーン作品カット・アウト・ガール
マーティーン、《カット・アウト・ガール》、制作年不詳、76.3 × 216.9 × 2.0 cm
スザンヌ・マルーク作品演説家ーマルコム・X
スザンヌ・マルーク、《演説家ーマルコム・X》、1984年、127.5 × 138.5 cm

2. 1980年代中期のブティック「パトリシア・フィールド」の記録映像展示とブティックの再現インスタレーション
 本展では、ネオンサインやマネキンなどブティックで使用されていた小道具を用いたインスタレーションで、個性豊かなハウス・オブ・フィールドの人々とアートで溢れたブティックの雰囲気を再現します。展示室では、ダウンタウンのクラブやアートシーンを記録したビデオグラファー、ネルソン・サリバンによる1980年代中期のブティック「パトリシア・フィールド」の映像を常時放映し、パトリシア・フィールドやブティックのスタッフ、買い物客らの会話が響く中で作品をご覧いただきます。

ヴィデオ作品の1シーン
Video for Pat Field by Nelson Sullivan

3. コレクションをまとめたカタログを刊行
 本展の開催を記念して、パトリシア・フィールドが半世紀をかけて蒐集した作品群から約140点を紹介するコレクションカタログを刊行します。ブティックでも異彩を放っていたコレクションの核となるペインティングや彫刻作品はもちろん、本展に展示されない作品も図版として掲載するほか、アートコレクションの成り立ちを紐解くパトリシア・フィールドへのインタビュー、彼女と親交の深い執筆陣によるエッセイを収録。パトリシア・フィールドと彼女を取り巻く個性豊かなコミュニティ「ハウス・オブ・フィールド」と彼らが作り出す作品を総覧する一冊です。

写真集カバー

ハウス・オブ・フィールド
会 期 2023年6月3日(土)〜2024年5月6日(月)
休館日 定期休館日なし 
※展示替え・メンテナンス等のため臨時休館する場合があります。
開館時間 9:00〜17:00(最終入館16:30)
観覧料 大人 1,500円、16歳以上の学生 800円、障がい者手帳をお持ちの方 600円、15歳以下 無料
※各種割引の適用には身分証明書のご提示が必要です。
後 援 米国大使館
特別協力 パトリシア・フィールド・アートファッション

書籍概要
パトリシア・フィールド・アートコレクション「ハウス・オブ・フィールド」
発行日 2023年8月15日
発行 中村キース・ヘリング美術館
執筆 岸雅代(スタイリスト、『Permanent Paper Magazine』エディター・イン・チーフ)、梁瀬薫(中村キース・ヘリング美術館顧問、美術評論家)
ページ数164頁
価格 3,000円(税抜)
言語 日英

展覧会バナー

2023年6月3日(土) ~2024年5月6日(月)
コレクション展「キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス」展

 中村キース・ヘリング美術館(山梨県・小淵沢)は、 ニューヨークで長らく保管され 34 年間公開されることなかった、 日本初公開となる壁画「マウント・サイナイ病院のための壁画」を含む 「キース・ヘリング:NY ダウンタウン・ルネサンス」展を開催します。
 本展では、へリングが活動した1980年代ニューヨークにおける「アンダーグラウンド・カルチャ ー」「ホモエロティシズムと HIV・エイズ」「社会に生きるアート」「ニューヨークから世界へ」の4つの視点から、当館収蔵のキース・へリングコレクションを紐解きます。
 1970〜80年代にヘリングが生きたニューヨークは、パンク・ロックやヒップホップファッションなど新しいカルチャーが注目され、成功を目指す人々が世界中から集まる可能性に満ちた街である一方、ドラッグや犯罪が蔓延する危険な状態でもあり、それらが危ういバランスで成り立っているスリリングな街でした。
 80年代にそのような社会の中で生まれたヘリングの作品は、命に関わる感染症との共生、児童福祉教育や人権問題をはじめとする持続可能な社会実現に向けた課題など、今日を生きる私たちにも強烈なインパクトを与えます。ヘリングが残したメッセージを、同時代を生きた写真家たちの記録写真や多くの資料が並ぶ展覧会を通して発信します。

展覧会の2つの見どころ

1. 日本初公開「マウント・サイナイ病院のための壁画」(1986年)

マウント・サイナイ病院のための壁画
マウント・サイナイ病院のための壁画、1986年 シミックホールディングス株式会社所蔵

 「マウント・サイナイ病院のための壁画」(1986年) は、ニュー ヨークの小児病棟で患者である子どもたちのために制作された幅5mを越す大作です。描かれた病院の立て直しに伴い、倉庫で保存されていた壁画を日本では初公開、世界的にも34年ぶりに公開します。なお、本作品は、ヘリングが子どもたちの未来のためにどのように貢献してきたのかを表す重要な作品として世界的にも注目されています。
 本展第3章「社会に生きるアート」では、本作品の初公開を軸に、ヘリングが重視した子どもたちとのプロジェクト「City Kids」にまつわる版画や「ポップショップ 」の活動について紹介します。

2. 文化と人種が交差する80年代ニューヨークのアンダーグラウンド文化とキース・ヘリングの作品を体感

黒い画面に白い細い線だけで描かれた作品
無題、1982年

 本展第1章「アンダーグラウンド・カルチャー」では、ヘリングが注目されるきっかけとなった地下鉄構内での「サブウェイ・ドローイング」のドキュメント写真や平面作品を中心に、当時のニューヨークアンダーグラウンドカルチャーの盛り上がりを紹介します。
 ヘリングが通い詰めたクラブ、パラダイス・ガレージにて写真家ティナ・ポールが撮影した写真や、磯崎新が改修を担当し、ヘリングが壁画を描いたクラブ「ザ・パラディアム」を篠山紀信が撮影した写真など、時代に交錯したカルチャーと人種を超えた熱気が感じられる資料などを公開します。

ザ・パラディアムに設置されたキース・ヘリングの壁画
ザ・パラディアムに設置されたキース・ヘリングの壁画 photo by ©Kishin Shinoyama

キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス
会 期 2023年6月3日(土) 〜2024年5月6日(月)
開館時間 9:00〜17:00(最終入館16:30)
休館日 定期休館日なし
※展示替え・メンテナンス等のため臨時休館する場合があります。
観覧料 大人 1,500円、16歳以上の学生 800円、障がい者手帳をお持ちの方 600円、15歳以下 無料   ※ 各種割引の適用には身分証明書のご提示が必要です。
観覧券購入場所 美術館のみで販売
公式サイト https://www.nakamura-haring.com/
主 催 中村キース・ヘリング美術館
後 援 米国大使館、山梨県、山梨県教育委員会、北杜市、北杜市教育委員会
協 力 キース・ヘリング財団、シミックホールディングス株式会社

関連イベント情報

「中村キース・ヘリング美術館 クィア・フィルム上映会」開催
日本初公開作品を含む LGBTQ+をテーマにした映画を2日間で6作品上映
 6月24日(土)25日(日)の2日間にわたり、6月3日より開催される「キース・ヘリング:NY ダウンタウン・ルネサンス」展関連企画として、6月のプライド月間の機会に「中村キース・ヘリング美術館 クィア・フィルム上映会」を開催します
 「クィア」という言葉は、元々「風変わりな」「奇妙な」という意味として時にセクシュアル・マイノリティの人々に対する差別的な言葉として使われてきました。現代では「クィア」という単語はジェンダーやセクシュアリティにとらわれない多様な存在を包み込む大きな傘のような言葉として使われています。クィア・フィルムとはそうしたクィアというアイデンティティやコミュニティーを題材とし、同性愛や異性愛、両性愛などの言葉には当てはめることができないセクシュアリティのあり方を、さまざまな視点や手法により表現する映像作品です。
 1969年6月28日にニューヨークで「ストーンウォールの反乱」が起きた月として、6月は世界的にLGBTQ+の権利の啓発や認知向上を目指す「プライド月間(Pride Month)」として各地でイベントが開催されています。
 ストーンウォールから約10年、「LGBTQ+」という言葉もなく、性的少数者への差別や偏見、抑圧が今よりも強かった 80 年代に、キース・ヘリングは自身がゲイ男性であることをオープンにしてアーティスト活動を行い、LGBTQ+コミュニティの可視化や HIV・エイズの正しい理解の促進などを目的とした啓発活動を行いました。
 当館は、キース・ヘリングの遺志を継ぎ、毎年プライド月間である6月に様々な活動を行なっています。今年は「キース・ヘリング:NY ダウンタウン・ルネサンス」展の2章で「ホモエロティシズムとHIV・エイズ」をテーマとすることから、映画上映シリーズ「ノーマルスクリーン」協力のもと、クィア・フィルムの表現を通して「クィアネス(クィアであること)」について考える機会となる、初の2日間連続映画上映会を開催します。

中村キース・ヘリング美術館 クィア・フィルム上映会のみどころ
 80年代の若者の恋愛像、近未来社会劇、音楽、ダンス…中村キース・ヘリング美術館ならではの視点でセレクトした日本初公開を含む6作品を2日間終日上映
 本上映会では、多様な「クィアネス(クィアであること)」を紹介するため、当館ならではの視点で4カ国、6本の映画を選定しました。キース・ヘリングと関係の深いダンサー・振り付け家のビル・T・ジョーンズのダンスで紡がれる作品『無題』や日本の馴染み深い風景と柔らかな歌声、音楽とともに描かれる『ビバリー・グレン=コープランド (In the Making)』、政治への鋭い批判とフィクションを織り交ぜた日本初公開作品『虎の子 三頭 たそがれない』など、中村キース・ヘリング美術館によるプログラムだからこそご覧いただけるラインナップです。

 本上映会では少しでも多くの方にクィア・フィルムの多様な表現にふれていただけるよう、ナイトミュージアムの時間に上映される長編作品を含む、6本の映画すべてをご覧いただける2デイパスをワンコイン(500円)で販売します。特に、メイン会場である特設会場では、アニメーション、ドキュメンタリーなど4本の短編作品合計約 70 分を終日連続上映。好きな時間から鑑賞することができますので、クィア・フィルムやプライド月間に興味があるけれど、足を運べていなかったという方でも、旅の予定に合わせて気軽にお立ち寄りいただけます。

詳細・チケット情報はこちらをご覧ください。→ https://www.2023exhibitions.nakamura-haring.com/ja/queerfilmscreening

映画上映会プログラム表


 本展覧会に関連し、6・8・10・12・2月に美術館およびオンライン上にて、映画上映会、対談イベント等、多様なイベントを開催します。イベントの詳細は随時公開予定ですので、美術館ウェブサイトや公式インスタグラムをご確認ください。

情報掲載について

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