W'UP! ★4月6日~6月9日 平野杏子展 - 生きるために描きつづけて/~6月2日 1950~60年代の日本画―造形への挑戦/~4月7日 「岡田健太郎展-重なる景体」 平塚市美術館(神奈川県平塚市)

W'UP! ★4月6日~6月9日 平野杏子展 - 生きるために描きつづけて/~6月2日 1950~60年代の日本画―造形への挑戦/~4月7日 「岡田健太郎展-重なる景体」 平塚市美術館(神奈川県平塚市)
2024年4月6日(土)~6月9日(日)

平野杏子展 - 生きるために描きつづけて

 平塚市在住の洋画家、平野杏子(ひらのきょうこ、1930年-)の本格的回顧展を開催します。平野杏子は伊勢原生まれ。神さびた大山信仰の地であり、古代から、南関東でも多くの古墳で知られる風土は幼少期から大久保作次郎、長屋勇、三岸節子に師事し、1954年から現在にいたるまで平塚市に在住。まだ女性作家が少ない時代に画業を切り拓くとともに、女性作家による潮会の中心的役割を担ったほか、そのアトリエでは近隣の画家や評論家が集まり、その交流によって平塚の文化振興に大きな役割を果たしました。
 画業初期に長屋勇に学んだ穏健で温かな作風が一変したのは、結婚を経て制作と育児のはざまで病いを得、深い悩みのなかで生と死や輪廻思想などについて考察したことが原因でした。おりしも画壇に表れた抽象表現の潮流をも見据え、仏典や仏教思想を容れて立ち現れた「幻視」の世界を描くことがライフワークとなり、平野杏子芸術の世界観をかたちづくっていきました。こうした作品群を生みだした作家の深い悩みは、時を経てポストコロナのわれわれにも大いに共感するものではないでしょうか。希薄となった人間関係や、多忙な生活のなかで生きる希望を失いがちな現代にあって、祈りにも似た境地で描かれた一群の作品は、われわれに何を語るのでしょうか。
 さらにもう一つの柱となったのは「原始」へのまなざしでした。出身地の伊勢原では、幼少期に縄文土器や遺跡が出土し、画家に「原始」「縄文」への憧憬の念を育み、その感性は、土着の風土と信仰が混じり合う独特な画風を培いました。そのまなざしは出土品のつくられた縄文の昔や往時の広い文化圏での人々の営みへと及んで、新羅仏教美術との邂逅へとつながっていきました。あわせてこうした作家のもとに戦後多くの美術関係者が蝟集し、その幅広い交流によって平塚は湘南文化の揺籃の地となりました。その輪のなかに美術史家の竹田道太郎や藤田経世、日本画家・工藤甲人らがおり、平塚の文化をより豊かなものにしてきました。こうした動向を改めて紹介するとともに作家の生き方に着目し、人としての平野杏子にスポットをあて、現在の平塚の文化の新たな側面を紹介します。

みどころ
1.平塚を代表する女性作家、17年振りの紹介
 平野杏子(1930- 伊勢原生まれ)は、およそ70年間平塚に住み、現在も第一線で活躍する地元作家です。本展では作家の70年余に及ぶ画業のうち、結婚や子育てをへて画風を確立し、密度のある大作を手掛けた60年代以降の作品から新作にいたる作品およそ60点を、二つのキーワード「原始」「幻視」をもとに紹介します。当館での本格的な展示は17年ぶりとなります。
2.なぜ、今「平野杏子展」なのか
 作家は長い画業のなかで多彩な画風を変遷させています。ただそのなかで一貫しているのは、平塚や湘南の地に太古から息づく風土を見いだし、普遍的な哲学や造形思想を加えながら表していることです。うつろいやすく人間関係が希薄になっているポストコロナの現代にあって、実際に自ら感じ、地に足をつけて描く作家のまなざしは貴重で、描くことのよろこびが伝わってきます。
3.美術関係者との幅広い交流の紹介
 戦後、平野杏子と美術関係者との幅広い交流によって、平塚が湘南文化の揺籃の地となった知られざる歴史があり、その輪のなかに美術史家の竹田道太郎や藤田経世、日本画家・工藤甲人らがおり、平塚の文化をより豊かなものにしてきました。こうした動向を改めて紹介することによって、現在の平塚の地を舞台に交流し、生き、描いた軌跡を振り返ります。

会 期 2024年4月6日(土)〜6月9日(日)
会 場 平塚市美術館(神奈川県平塚市西八幡1-3-3)
時 間 9:30〜17:00(入場は16:30まで)
休館日 月曜日(ただし、4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
観覧料 一般 800(640)円、高大生 500(400)円、中学生以下無料
※( )内は団体料金
※毎週土曜日は高校生無料 ※各種障がい者手帳をお持ちの方と付添 1 名は無料
※65 歳以上で平塚市民の方は無料、市外在住の方は団体料金
TEL 0463-35-2111
平塚市美術館 公式サイト https://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/
SNS https://twitter.com/HiratsukaArt
https://www.instagram.com/hiratsuka_art_museum/

関連事業
当館学芸員によるギャラリートーク
日時 4月20日(土)、5月11日(土)各14:00-15:00
場所 展示室I(申込不要、要観覧券)


和服姿の女性

北澤映月《花》1954 年、平塚市美術館寄託

2024年4月6日(土)~6月2日(日)
1950~60年代の日本画―造形への挑戦

 戦後まもなく、それまでの伝統的な日本画のあり方に危機感をつのらせた画家たちが新たな表現を模索するようになりました。1948年には「世界性に立脚する日本絵画の創造を期す」という宣言のもと、「創造美術」(現・創画会)が結成されます。
 日本画の革新運動は、新興の美術団体のみならず既存の団体を含む日本画壇全体におよび、戦後に台頭してきた若い画家たちを中心に、1950〜60年代にかけてさまざまな試行錯誤が重ねられました。日本画の伝統に拘泥せず、画壇に新風を吹き込もうとした画家たちが参照したのは、欧米の絵画作品でした。その堅牢な造形や油絵具のもつ力強いマチエール、あるいは当時注目を集めていた抽象表現が取り入れられるなど、「革新」の呼び声のもと、一時代を象徴する作風が生み出されました。結果として日本画は、同時代の洋画の造形に接近することになり、画材こそ違えども、日本画と洋画の造形的な境目があいまいになりました。
 本展は、当館の所蔵品の中から創画会、日展、院展で活躍した日本画家を中心とした1950〜60年代の作品のほか、同時期に制作された洋画を加えた約50点を共に展示することで、この時期の日本画の造形的な特徴の一端を明らかにしようとするものです。

見どころ
1.1950〜60年代の日本画壇をリードした美術団体・創造美術(現・創画会)のメンバー・山本丘人、工藤甲人らの作品を紹介
 湘南地域には、多くの画家が移住し、アトリエを構えました。特に1948年に結成された創造美術は、その中心となった山本丘人が大磯で制作していたことから同団体に所属する画家が多く集まりました。平塚市美術館も同団体の所属作家の作品を積極的に収集してきました。その収集の成果の一端を展示します。
2.再整備事業のために閉場中している国立劇場所蔵の小倉遊亀、加山又造、上村松篁らの日本画の大作8点を公開
 2023(令和5)年10月末に再整備事業のために国立劇場が閉場しました。劇場のロビー等を華やかに彩っていた日本画は、日展、院展、創画会など各美術団体に所属した実力のある日本画家たちが展覧会に出品するために描いた力作ぞろいです。本展では、その中から8点を公開します。
3.1950~60年代に制作された日本画と洋画を併せて展示
 日本画家と洋画家が欧米美術を参照しながら作品制作を行ったため、用いる材質は異なれど、画面の構成やマチエールなどの造形面が非常に似通うようになったのが1950~60年代です。本展では同時期に制作された日本画と洋画を併せて展示することで、日本画の造形的な特徴の一端を際立たせます。

会 期 2024年4月6日(土)〜6月2日(日)
会 場 平塚市美術館(神奈川県平塚市西八幡1-3-3)
時 間 9:30~17:00(入場は16:30まで)
休館日 月曜日(ただし4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
観覧料 一般 200(140)円、高大生 100(70)円、中学生以下無料
※( )内は団体料金
※毎週土曜日は高校生無料 ※各種障がい者手帳をお持ちの方と付添 1 名は無料
※65歳以上で平塚市民の方は無料、市外在住の方は団体料金
TEL 0463-35-2111

関連事業
当館学芸員によるギャラリートーク
日時 4月13日(土)、5月12日(日)各14:00〜14:40
場所 展示室 II(申込不要、要観覧券)

主 催 平塚市美術館
協 賛 神奈川中央交通株式会社
アクセス JR東京駅から東海道線または新宿駅から湘南新宿ライン(直通)で約1時間。JR 平塚駅東改札口(北口)より神奈川中央交通バス4番乗り場乗車「美術館入口」(徒歩1分)または「コンフォール平塚前」(徒歩5分)下車。平塚駅より徒歩20分。駐車場67台(美術館御利用の場合90分間無料、要認証)。

無料ご招待券プレゼント!
美術館様のご好意により、入館ご招待券(平野杏子展・1950~60年代の日本画)を10名様(各2枚)にプレゼントいたします。 ご希望の方は、申込ワード「祈りにも似た境地」を記載のうえ、展覧会名、氏名(ふりがな)、〒、住所、ご連絡先をこちら(tokyoliveexhibits@gmail.com)でご応募ください。 先着順です。チケット発送にて発表にかえさせていただきます。

展覧会バナー

《Auto reverse II》2018年

2023年12月5日(火)~2024年4月7日(日)
「岡田健太郎展-重なる景体」

 このたび平塚市美術館では、「岡田健太郎展-重なる景体」と題し、湘南を拠点として活躍する彫刻家・岡田健太郎の個展を開催いたします。タイトルに用いている「景体」という言葉は、“景色”と“形体”をかけあわせた作家の造語で、「彫刻は周囲の環境を活かすものでなければならない」という作家の考えにもとづくものです。
 1977年に岡山県に生まれた岡田は、79年に横浜市・本牧へ移り住みます。2002年、武蔵野美術大学彫刻学科を卒業。近年は第28回UBEビエンナーレ(2019年)、第17回KAJIMA彫刻コンクール(2022年)に入賞し、いま注目される彫刻家のひとりです。

 大学卒業後、岡田は御影石を使用し、棺をモチーフとする作品を制作していました。その後、より柔軟な素材を探すなかで、金属製の棒をペレット状に切断し、それらを五角形に溶接する方法を見出しました。多くの五角形が組み合わされてできたなだらかな輪郭線をもつ作品の形態は、作家が自然界から着想を得て作り出したものです。籠の網目のようにも見える五角形のスペースをとおして、周囲の空間と調和した作品を見るとき、私たちは作品と空間の境界があいまいになるような感覚を覚えます。
 本展では、湘南の陽光がふりそそぐテーマホールの大きな空間を舞台として新作2点を含む16点の作品から、活躍著しい作家の歩みをふりかえります。

会 場 平塚市美術館 テーマホール(神奈川県平塚市西八幡1-3-3)
会 期 2023年12月5日(火)~2024年4月7日(日)
休館日 月曜日(ただし1月8日、2月12日は開館)、1月9日(火曜日)、2月13日(火曜日)、年末年始(12月29日 (金曜日) ~1月3日 (水曜日))
開館時間 9:30〜17:00
観覧料 無料
主 催 平塚市美術館

住所神奈川県平塚市西八幡1-3-3
TEL0463-35-2111
WEBhttp://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/
開館時間*19:30 ~ 17:00
休み*2月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は開館し、翌火曜日休館)年末年始(12月29日~1月3日)
ジャンル*3日本の近・現代美術
観覧料*4大人200円、高大生100円(企画展は別)
アクセス*5JR平塚駅東口改札より徒歩20分
収蔵品 
*1 展覧会・イベント最終日は早く終了する場合あり *2 このほかに年末年始・臨時休業あり *3 空欄はオールジャンル *4 イベントにより異なることがあります。高齢者、幼年者、団体割引は要確認*5 表示時間はあくまでも目安です

平塚市美術館

■コロナ感染拡大防止のための注意事項
 37.5度以上の発熱や体調の優れない(咳や喉の痛み等)方は、ご来館をお控えください
 マスク着用、手洗い・手指消毒の励行(消毒液は館内入口に設置しています)
 人と人との距離の確保(1~2メートル以上の間隔)
 観覧マナー(会話の自粛、分散しての観覧等)の順守
 過去2週間以内に海外渡航歴がある方は、ご来館をお控えください

情報掲載について

当サイトへの掲載は一切無料です。こちらからご登録できます。https://tokyo-live-exhibits.com/about_information_post/

コメント

*
*
* (公開されません)