W'UP!★6月~2025年5月(予定) 第43回 丸の内ストリートギャラリー 丸の内仲通り、丸の内オアゾ前、大手町ビル

W'UP!★6月~2025年5月(予定) 第43回 丸の内ストリートギャラリー 丸の内仲通り、丸の内オアゾ前、大手町ビル

 

2022年6月~2025年5月(予定)
第43回 丸の内ストリートギャラリー

 三菱地所株式会社と公益財団法人彫刻の森芸術文化財団は、芸術性豊かなまちづくりを目指して、1972年より丸の内仲通りを中心に、近代彫刻や世界で活躍する現代アーティストの作品を展示するプロジェクト「丸の内ストリートギャラリー」を展開しており、今年50周年を迎えるにあたり、このほど4年ぶりとなる新作の設置や、一部作品の入れ替えを行いました。公式サイトでは、今回新作を展示したアーティスト4名のインタビュー動画の公開を6月28日より開始しました。
※公式サイト https://www.marunouchi.com/lp/street_gallery/

 今回の「丸の内ストリートギャラリー」では、丸の内仲通りをメインに、近代彫刻の巨匠の作品や世界で活躍する現代アーティストの作品19点(現代作家による新作5点、継続作品2点、入れ替え作品12点)を展示しており、丸の内を散策しながらアート鑑賞を身近に体感していただけます。

展示アーティスト
H&P.シャギャーン、アギュスタン・カルデナス、イゴール・ミトライ、キム・ハムスキー、草間彌生、ジム・ダイン、ジュゼッペ・スパニューロ、澄川喜一、ティモ・ソリン、中谷ミチコ、名和晃平、パヴェル・クルバレク、バーナード・メドウズ、舟越桂、ヘンリー・ムーア、松尾高弘、三沢厚彦、ルイジ・マイノルフィ、レナーテ・ホフライト ※五十音順

第43回丸の内ストリートギャラリー
展示期間 2022年6月~2025年5月(予定)
展示場所 丸の内仲通り、丸の内オアゾ前、大手町ビル
主 催 三菱地所株式会社
監 修 公益財団法人彫刻の森芸術文化財団
公式サイト https://www.marunouchi.com/lp/street_gallery/

作品マップ

現代作家による新作(5点)

【1】舟越桂 日本 《私は街を飛ぶ》2022 ブロンズ 塗料

 舟越桂は、日本を代表する彫刻家のひとりである。人物の頭部には、教会、本、並木道が配され、記憶や思い、自然、個人の心の中にもある距離や空間的広がりを表している。パブリック作品としての希少さもさることながら、着彩されたブロンズ作品としては自身の初作品となる。作品が設置される場所の日の動きまでも考慮し着彩された人物像は、静謐さの中にも華やかさと上品さを感じ、時間や季節の移り変わりと共に、街の喧騒と静けさに寄り添いながら、通る人々に「記憶」や「想い」を語りかけるであろう。
Profile 1951年、岩手県生まれ。父は彫刻家・舟越保武。父の影響で彫刻家を志す。75年、東京造形大学造形学部美術学科彫刻専攻卒業。77年、東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。性別を感じさせない半身の人物像を特徴としており、2005年からは人間と動物との混交像「スフィンクス・シリーズ」を手がけている。

【2】中谷ミチコ 日本 《小さな魚を大事そうに運ぶ女の子と金ピカの空を飛ぶ青い鳥》2022 ブロンズ 塗料

 魚の泳ぐ水をスカートで大事そうに運ぶ女の子は妊婦です。全ての人は胎児だったから、この作品の主は魚です。虚と実を行き来しながら、揺らぎの中で確かなモノを探すためには、やはり物質とそれが作りだす凹凸を手探りすることが自分には大切で、だから私は彫刻を作っているのだろうと思います。凹凸に起こる無数の反転が、見る人の身体を取り込みながら、作品と一人一人の間に結ばれる関係を「唯一のもの」とする場所にしたいと思いました。
Profile 1981年、東京都生まれ。2012年ドレスデン造形芸術大学修了。一般的なレリーフとは異なり凹凸が反転している立体作品を制作。物体の「不在性」と「実在性」を問い続けている。2014年より工場を改装した「私立大室美術館」で毎年敬老の日限定で個展を開催するプロジェクト「When I get old」を実施する。

【3】H&P.シャギャーン 日本 《Matching Thoughts》2022 ブロンズ 塗料

 本作品はアンリ・シャギャーンとピエール・シャギャーンが2004年にウィーンで制作した2枚の絵をもとに造られた立体作品である。当時の作品をベースに、単にビジュアルが目立つだけでないものを目指した。現代アートとしてはマテリアルも古く、革新的な造形ではないが、ディテールやその中に潜むエスプリに、2人が持っている近代彫刻へのリスペクトをどれくらい込められるかが課題であり、この2体の彫刻に反映させている。
Profile 2004年、ヨーロッパの古都ウィーンに滞在制作中だったアンリが、古くからの友人であるピエールを呼び寄せたことをきっかけに始まったアートユニット。作品はあくまでも2人の楽しみから生まれたものであるため、あえて発表を行うことはなかったが、2008年に初めての個展をMISAKO&ROSENで開催。

【4】名和晃平 日本《Trans-Double Yana(Mirror)》2012 アルミニウム

 3Dスキャンしたポリゴンの表面にエフェクトをかけ、そのデータを再び実体化する「Trans」は、2012年から続く彫刻作品シリーズ。人体モデルから読み取った情報が、質量をもつ物質に還元される過程において、流動性のある三次局面が生成され、情報データという表皮をまとった立像が形作られます。影と実体、現実とヴァーチャルの境をさまよう「Trans」は、虚ろなエネルギー体となって、現代における存在のリアリティーを問いかけます。
Profile 彫刻家/Sandwich Inc.代表/京都芸術大学教授 2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。感覚に接続するインターフェイスとして彫刻の「表皮」に着目し、セル(細胞・粒)という概念を機軸に、彫刻の定義を柔軟に解釈し、鑑賞者に素材の物性がひらかれてくるような知覚体験を生み出してきた。

【5】松尾高弘 日本《Prism ”Dahlia+Peony”》2022 プリズム光学樹脂 アクリル スチール

 大手町ビルのエントランス左右2か所に設置された、光のインスタレーション。花の結晶として形作られたオブジェクト群は、ダリアとピオニーによる連作であり、空間に与える情感を対比的に構築する。透明なルーバー状のアクリルと、そのサーフェイスを群生するように咲くプリズムのフラワーは、風景と交錯しながら、太陽光の変化や人の往来の移り変わりを取り込み、都市とアートが溶けあいながらも、鮮やかな輝きを放ち続けるタイムレスな作品とした。
Profile 九州芸術工科大学大学院修了。株式会社ルーセントデザイン(LUCENT)代表。EMISSIONディレクター。多彩な表現やテクノロジーによるアートワークを手がける。繊細な光の表現とエモーショナルな作品群によって、パブリックアート、エキシビション、ラグジュアリーブランドのアートワークなど、国際的に幅広く展開している。

継続作品(2点)

【6】三沢厚彦 日本 《Animal 2017-01-B2》2017-2019 ブロンズ 塗料

 三沢は動物をテーマにした「アニマルズ」を発表し、支持を得ています。ブロンズをほぼ等身大に彫り込み彩色をした動物たちが存在感を放ち、見るものの記憶やイメージを喚起します。「クマ」と聞くと可愛らしいキャラクター、獰猛な動物と、相反するイメージが共存しており、この作品では中間的な表現をしています。二足で威嚇するポーズはクマらしい象徴的なものですが、様々な目的で大都会を行き交う人々を俯瞰して眺めています。
Profile 1961年京都府生まれ。1989年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了。2000年動物の姿を等身大で彫った木彫「Animals」を制作開始。主な受賞歴に2001年第20回平櫛田中賞、2019年第41回中原悌二郎賞など。近著に2013年の作品集「ANIMALS NO.3」(求龍堂)、「動物の絵」(青幻舎)。

【7】草間彌生 日本 《われは南瓜》2013 黒御影

 南瓜は、草間がもっとも好んで使っているモチーフ。これまで数多くの作品を生み出していますが、本作は初めて石彫で作られた作品です。タイトルの《われは南瓜》と素材として使われた石の関係について、草間は自身のテーマである「永遠(とこしえ)」に例えています。半永久的に残る素材(黒御影石)に南瓜(草間自身)を重ね合わせて、永遠の命を作品に吹き込みました。
Profile 前衛芸術家、小説家、詩人。1029年、長野県松本市生まれ。幼少期より水玉や網目を描く。1957年に渡米、ニューヨークを拠点に革新的な作品を発表。1973年に帰国、文筆活動も行う。2016年、文化勲章受章。2017年、新宿区に草間彌生美術館開館。代表作に「無限の編み」、「無限の鏡の間」、「水玉強迫」、「南瓜」、「我が永遠の魂」シリーズなど。

入れ替え作品(12点)


【8】澄川喜一 日本《白のマスク》1969 ポリエステル樹脂 塗料

 日本の近代彫刻を代表する彫刻家で、東京スカイツリーのデザイン監修など環境造形も手がけています。《白のマスク》は「MASK」シリーズの一つで、アフリカの仮面や日本の甲冑への関心と、古代人の顔の復元に携わったことが発端となっています。作品上部には凹みとノミ跡があり、有機的なかたちとシャープなフォルムが組み合わされています。彫刻の内部の構造を表面に出したいという作家の意図がこめられています。

【9】パヴェル・クルバレク スイス《ニケ 1989》1991 鉄 塗料

 1928年にチェコスロバキアの7代にわたる鍛冶屋の家に生まれ、1968年にスイスに移住しました。「私の作品は、鍛冶屋だからこそできること。古典的で抽象的な彫刻で自分自身を表現することができます。」と生前に答えています。1980年以降は公共の環境芸術のために活動し、この作品はルーブル美術館で所蔵されている《サモトラのニケ》のオマージュ作品で、高さが7メートルにも及びます。

【10】イゴール・ミトライ ポーランド《眠れる頭像》1983 大理石

 ギリシャ彫刻のような端正な顔は、包帯で覆われ、永遠の瞑想にふけっています。その意識は内へ向かい、自分自身をみつめています。ミトライは「私は、絶え間なく人間を探求しながら、私自身の根源を再び見いだそうと努めている」と語っています。1981年、彼にとって理想的な素材となるイタリア、カラーラの白大理石に出会います。カラーラの近くのピエトラサンタにスタジオを構え、大理石とブロンズを素材に制作しました。

【11】ティモ・ソリン フィンランド 《日光浴をする女》1995 ステンレス・スティール 塗料

 スウェーデンを代表する彫刻家、また画家でもあるティモ・ソリンは、1947年にフィンランドで生まれ、ヘンリー・ムーアの作品に感銘を受け、1982年より独学で彫刻の制作を始めました。金属プレートを折り曲げて、力強い色彩で彩った人物を多く制作し、《日光浴をする女》は、陽光の中で人生を積極的に生きる情熱と活力を感じながら座っている女性を表現しています。同作家の作品《守護者》(1992年)が美ヶ原高原美術館に展示されています。

【12】ジュゼッペ・スパニューロ イタリア《無題》1995 ブロンズ

 幼少期から陶芸に慣れ親しみ、作品の素材は多岐にわたります。この作品にはタイトルがないので、様々な解釈ができます。具象的な人間の部位に見えるかもしれませんが、実際には存在しないので、抽象的な作品かもしれません。また、ブロックのような塊が無機質な作品に見えますが、有機体のように見ることもできます。ようするにこの作品は、永遠に満足感を得る事ができない、人間の中にある欲望のジレンマを表しています。

【13】ルイジ・マイノルフィ イタリア《巨大な町》1987 ブロンズ

 1948年、イタリアのロトンディ生まれ。第5回ヘンリー・ムーア大賞展で優秀賞を受賞したこの作品は、古代イタリアにアイディアを得て制作されました。遠くからは青銅色のふくよかな人の形にみえますが、近寄って見ると、全体に窓状の空隙が無数に施されています。丸の内仲通りの展示では、昼と夜の都市の様子を表現するために、夜には作品の内側から光を照らし、窓から漏れるあたたかい街明かりを幻想的に表現しています。

【14】ジム・ダイン アメリカ《展望台》1990 ブロンズ 塗料

 アメリカを代表するポップアートのアーティストの一人。抽象表現主義的なタッチで描いた画面に、日用品を取り付けた絵画を制作しています。《展覧台》は、《ミロのヴィーナス》を実物よりも小さく模し、頭部を失くして面取りした2体を、ブロンズの台に乗せたもの。「私は自分の伝記の記述者であることにしか興味はない」と述べる通り、《ミロのヴィーナス》も作家の情感を反映したものに変貌させられています。

【15】キム・ハムスキー ヴェトナム-フランス《ルネッサンス》1985 ブロンズ

 1943年、北ベトナム生まれ。ハムスキーの作品は、フランスのポンピドゥ・センターなどにも所蔵されています。人間の顔や椅子などの表皮を部分的にめくったような幻想的な作風です。木彫を得手としていて、緻密で細やかなその手技は卓越した技術をうかがえます。めくれた頭皮がそのまま髪になり、枕代わりにもなっていて、細かいディティールを浄化させ、半眼で能面を思わせる表情は夢幻のように超現実的な雰囲気が漂います。

【16】レナーテ・ホフライト ドイツ《凹凸のブロンズ》1989 ブロンズ

 1950年、ドイツに生まれ、シュトゥットガルト州立美術アカデミーで版画と彫刻を学びました。この作品は、ブロンズの表面が風景を映しこみます。凹面は風景(丸の内テラス)を光学的に縮小した反転画像として反映し、凸面は風景(車道)を吸収するように見え、その曲率の最高点で最も深い錯覚を示します。太陽光を受けて光り輝き、作品の中に空間が取り込まれ、一体になることを意識して制作されました。

【17】バーナード・メドウズ イギリス《恋人たち》1981 ブロンズ

 1915年、イギリス生まれ。ヘンリー・ムーアの最初のアシスタントでもあるバーナード・メドウズの丸みを帯びた作品には、師の影響を思わせます。《恋人たち》は、題名からも官能的なかたちの生き物を連想させる作品です。本体にあいている小さな穴は、目のようにも見えます。表面が鏡面のため周りの世界が映り込むので、外側から鑑賞しているのではなく、逆に作品の内側から私たちが覗かれているような感覚を覚えます。

【18】ヘンリー・ムーア イギリス《羊の形(原型)》1971 ブロンズ

 ヘンリー・ムーアは世界の近代美術シーンを代表するイギリスの彫刻家です。ムーアの作品は、自然の形態からアイディアを得ています。その制作の過程として、最初に小さなマケット(雛型)を作り、風景の中に彫刻を置くことを想定しながら中間サイズの「原型」へと拡大させます。この原型から高さ5m70cmに拡大された野外作品は、イギリスのヘンリー・ムーア財団が所蔵しています。展示している一号館広場はイングリッシュ・ガーデンがイメージされています。

【19】アギュスタン・カルデナス キューバ-フランス《拡散する水》1977 カラーラ産白大理石

 1927年キューバに生まれ、1955年にパリに移住しました。シュルレアリスムの最後のグループの一員であり、数多くの展覧会を開催しています。自身のルーツであるアフリカの原始美術を思わせる造形志向と、官能的な叙情性のある作品は、人間とも植物とも連想できるような、融合した造形を特徴にしています。この作品は広がる水を有機的に表現していますが、生き物のような生命力も感じさせます。

(19作品の写真:小林茂太)

彫刻の森美術館

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