W'UP!★2月27日~6月2日 日本の山海 同時開催「アジアのうつわ」 通年企画「古代エジプトの美術 平穏と幸せへの願い」 松岡美術館(港区白金台)

W'UP!★2月27日~6月2日 日本の山海 同時開催「アジアのうつわ」 通年企画「古代エジプトの美術 平穏と幸せへの願い」 松岡美術館(港区白金台)
横山大観 《黎明》 昭和4(1929)年頃 絹本墨画淡彩 後期展示

2024年2月27日(火)~6月2日(日)
日本の山海
同時開催「アジアのうつわ」
通年企画「古代エジプトの美術 平穏と幸せへの願い」

 四方を海に囲まれ、豊かな山林を有する日本の自然は、私たちの暮らしに恵みをもたらす一方で、時に猛威を振るってきました。そんな関係から、古くから山や海は信仰の対象とされ、身近で特別な存在です。また、芸術家たちにとって、自然の造形は恰好の題材であり、多種多様な作品が生み出されました。今回は日本の画家による絵画作品から、日本の山と海を描いた作品をご紹介します。

日本人画家が描いた日本の山と海の絵を志賀重昴の流麗な文章とともに紹介
 近代化が進んだ明治時代には現代の登山スタイル、いわゆる西洋式登山が輸入され、信仰や生活のためではなく、調査研究やレジャーとして山に登る人が出てきました。さらに、清次郎が生まれた1894年には志賀重昂による『日本風景論』が出版されます。本書はベストセラーとなり、日本人の景観意識に変革が起こり、芸術家にも影響を与えました。
 本展では清次郎が自然に見出した美しさにも、志賀の影響があるのではないかという仮説のもと、日本の画家による絵画作品から日本の山と海を描いた作品を志賀の流麗な文章とともに紹介します。日本人が描く日本の自然美をごゆっくりお愉しみください。

日本一の名峰 富士の絵をたどる
 富士山は言わずと知れた日本最高峰の名山です。志賀重昴が『日本風景論』で「『名山』中の最『名山』を富士山となす」と表し、日本のシンボルとして規定したのが富士山でした。もちろん富士山は明治時代以前にも古来より霊山として崇敬をあつめ、和歌や物語でも扱われるなど、名山として認識されていました。平安時代を起点に多くの画家が富士山を描いています。ただし、「富士山が日本一の名山である」という認識は明治以前にはなかったもので、日本=富士山という図式はこのころから始まりました。
 富士山を日本一の名山として中心に据え、日本の国土をたたえる志賀の論調は、その後、学校教育の教科書にとりこまれて、国民のあいだに広く深く浸透していきます。富士山は近代において、宗教的な崇敬対象に加え、大日本帝国の国威発揚のシンボルとしての役目を帯び、絵画、デザイン、歌など、様々なものに表されました。
 第二次世界大戦後には、日本が神国から平和主義国へ変貌したのに伴い、富士山も神国日本の象徴から離れ、平和の象徴や日本人の心の拠りどころへと変化します。また、戦後の画家たちにとっては、既成概念を崩し独自の芸術を立脚させるために登攀せねばならぬ日本一の山として、今も山岳絵画の中心にそびえ立っています。今回の展示では、狩野常信、橋本雅邦、下村観山、横山操、小松均などによる、江戸時代から昭和時代にかけて描かれた9点の富士の絵を展観します。

狩野常信《富士三穂図》 江戸時代 絹本淡彩 前期展示
左幅 狩野常信《富士三穂図》江戸時代 絹本淡彩 前期展示
右隻 狩野常信《富士三穂図》江戸時代 絹本淡彩 前期展示
右幅 狩野常信《富士三穂図》 江戸時代 絹本淡彩 前期展示
下村観山《富士》 大正 7~8(1918~1919)年頃 絹本着色 後期展示
下村観山《富士》大正 7~8(1918~1919)年頃 絹本着色 後期展示

「西の栖鳳、東の廣業」による近代日本の海景画
 近代日本画の双璧として、竹内栖鳳と横山大観を並び立て「西の栖鳳、東の大観」と呼びますが、寺崎廣業も「西の栖鳳、東の廣業」という表現がなされる程、当時の日本画壇を牽引し日本画の近代化に貢献した存在です。今回の展示では、栖鳳が描いた一幅の海景画と廣業が描いた独自の浜松図屏風をご覧いただけます。
 栖鳳は日本画の近代化を目指し、日本の伝統的な絵画表現と西洋美術の表現を旺盛に取り入れ実験を重ねた画家でした。《晴海》を見ると、描き込まれているモティーフの数は少なく、かつ抽象化され、伝統的な省筆の理論に則った栖鳳なりの流儀が感じられます。さらに、栖鳳は木々や舟、苫屋をバランス良く画面に再配置し、くっきりと引かれた地平線と霞む水平線の対比により、奥行きのある空間に仕上げ、新しい風景表現を生み出しました。淡彩により際立つ青空のような群青の海と、象徴的に配された松林や苫屋が日本人の郷愁を誘う海景画です。

竹内栖鳳《晴海》 大正 7(1918)年頃 絹本着色 後期展示
竹内栖鳳《晴海》大正 7(1918)年頃 絹本着色 後期展示
寺崎廣業《春海雪中松図》大正 3(1914)年 絹本着色 後期展示
左隻 寺崎廣業《春海雪中松図》大正 3(1914)年 絹本着色 後期展示

 廣業は様々な画派の技法を折衷し、写生を重視しつつ、自身の目で捉えた自然の印象を反映させた新たな風景画を模索しました。右隻は、青松の向こうに白帆をたてた幾艘の船が浮かぶ春海を望み、左隻は、様式化された白雪を被る松林の浜辺に引き上げられた舟を配しています。浜辺の松林を描く図は「浜松図」とよばれる伝統的な画題で、古くは鎌倉時代の絵巻にみられ、室町時代に好まれて多く描かれました。廣業はこの「浜松図」を松の下部、特に地上に露出した太い根をクローズアップした構図で描いています。このような状態の松は「根上がり松」と呼ばれ、商売繁盛の縁起物とされます。廣業がこの時期に力を入れていた写生と装飾性が調和した風景画の優品です。

「優雅な魅力を持つ高麗青磁 おおらかで柔らかなベトナム青花」
 高麗青磁は10世紀ごろ中国越州窯青磁の影響により誕生しました。主に貴族の使用、鑑賞を目的とし、他にはない文様と細やかな装飾が独特な優雅さを醸しています。《青磁象嵌雲鶴菊花文盒子》は貴族女性が白粉などの化粧料を入れた容器。高麗特有の象嵌技法で雲中を舞う鶴の姿や菊花文が可憐に表現されています。
 14世紀後半から15世紀初頭、中国元時代の青花磁器に強い影響を受けて生産が始まったベトナム青花は、やがて地域性豊かな動植物が主文様になりました。《青花鯰藻文輪花盤》は元青花の文様構成を踏襲していますが筆致はおおらかで、シャープな中国白磁とは異なる柔らかな磁肌にベトナム独自の魚がゆったりと描かれています。

青磁象嵌雲鶴菊花文盒子高麗 14世紀
青磁象嵌雲鶴菊花文盒子 高麗 14世紀
青花鯰藻文輪花盤 ベトナム 14~15 世紀
青花鯰藻文輪花盤 ベトナム 14~15 世紀

同時開催「アジアのうつわ」
アジア各地域の特色豊かなうつわを一挙公開

 技術を極め続けた中国の影響を多大に受けて発展したアジア各地の陶磁器は、やがて独自の文化や美意識を反映した製品を創り出すようになりました。今展では、カワセミの羽色にたとえて翡色と称賛された高麗青磁や日本人が安南とよび親しんだベトナムの青花と五彩、安土桃山時代の志野焼をはじめ、江戸時代の古伊万里などの日本のやきものを、北宋時代から明時代の中国陶磁とともに約50点ご紹介します。

青磁象嵌雲鶴文水注 高麗 13 世紀
青磁象嵌雲鶴文水注 高麗 13世紀
色絵花鳥文六角壺 日本 江戸時代 柿右衛門様式
色絵花鳥文六角壺 日本 江戸時代 柿右衛門様式

通年企画「古代エジプトの美術 平穏と幸せへの願い」(通年企画)
 古代エジプトは、王権を守護する国家神から地域で崇拝された地方神、そして庶民の民間信仰に至るまで様々な神が存在する多神教の国でした。また、野生動物の優れた能力に神性を結び付け、神の地上の姿であるとしてあがめました。神の姿を象った像は、この世の生命が尽きても来世で復活して永遠に生きられるよう、また、今をよりよく生きたいと願う人々の心のあらわれです。本展では死と再生を司るオシリス神や猫の姿であらわされたバステト女神など神々の小像を出品します。当時の人々の祈りや願いは、人間本来の幸福とは何かという原点を思い出させてくれるでしょう。
 厳しい自然環境、病気や戦争といった様々な試練をうけながらも古代エジプト人は、多くの神をよりどころとして日々の暮らしの安寧を求め、来世での復活を願いました。冥界の神オシリス、猫の頭を持つバステト女神など人々の心を支えた神々の小像を展示します。

オシリス 紀元前 664-紀元前 332年頃
オシリス 紀元前 664-紀元前 332年頃

常設展示
古代オリエント美術 / 古代ギリシア・ローマ彫刻
古代ガンダーラ・インド彫刻 
ヨーロッパ近代彫刻(ブールデル、ヘンリー・ムア、エミリオ・グレコ)

会 期 2024年2月27日(火)〜6月2日(日)
 前期 2024年2月27日(火)〜4月14日(日)
 後期 2024年4月16日(火)〜6月2日(日)
会 場 松岡美術館(東京都港区白金台5-12-6)
時 間 10:00〜17:00(最終入館時間 16:30)
 毎月第1金曜日 10:00~19:00(最終入館時間 18:30)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)
入館料 一般 1,200円 25歳以下 500円 高校生以下、障がい者手帳をお持ちの方 無料
松岡美術館公式サイト https://www.matsuoka-museum.jp/
SNS
https://twitter.com/matsu_bi
https://www.instagram.com/matsuoka_museum_of_art/
https://www.facebook.com/matsuokamuseum/

住所東京都港区白金台5-12-6
TEL03-5449-0251
WEBhttps://www.matsuoka-museum.jp/
開館時間10:00~17:00(入館は16:30まで)第1金曜日のみ10:00~19:00(入館は18:30まで)
休み*1毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)
ジャンル陶磁、絵画、彫刻、考古美術
入場料一般 1,200円、25歳以下500円、高校生以下、障がい者手帳をお持ちの方無料
アクセス*2東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金台駅」1番出口から徒歩7分
収蔵品https://www.matsuoka-museum.jp/collection/
*1 このほかに年末年始・臨時休業あり *2 表示時間はあくまでも目安です

松岡美術館(港区白金台)

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