W'UP!★2月21日~6月4日 美しい人びと 松園からローランサンまで 松岡美術館

W'UP!★2月21日~6月4日 美しい人びと 松園からローランサンまで 松岡美術館

 

2023年2月21日(火)~6月4日(日)
美しい人びと 松園からローランサンまで

 「美人画」という言葉が一般的になったのは明治期以降ですが、日本では古来より美しい女性の姿が描かれてきました。一方、物語の登場人物として人気の高い在原業平や光源氏など魅力的な男性の姿も絵画や工芸などにあらわされてきました。
 本展では、上村松園、伊藤小坡、鏑木清方、伊東深水ら人気の高い「美人画家」たちの作品とともに、下村観山、吉川霊華らによる男性像や、ローランサン、ドニ、ヴァン・ドンゲン、ペルジーニなどの西洋絵画も紹介します。性別・年齢にとらわれない東西の美しい人びとをご覧ください。

上村松園《春宵》 1936(昭和11)年 前期展示

 《春宵》は名作《序の舞》(重要文化財)と同じ1936(昭和11)年の制作で、美人画家松園の全盛期に描かれた優品です。桜花散る春の宵、年かさの女性の囁きに僅かに微笑む若い芸妓、舞台は京のお茶屋の外廊下でしょうか。白粉で綺麗にお化粧をした芸妓と貝髷(ばいまげ / 巻貝に似た形の髷)を結った年長の女性二人は、表情や仕草、化粧法や着衣、結髪など、それぞれに美しく描き分けられ、松園の徹底した美意識と的確な描写力とを存分に味わえます。本作は当館の日本画コレクションで最も人気の高い作品(2007~2014年に実施した来館者の人気投票による)ですが、2022年1月の再開以後、今回が初めての公開で、展示期間(前期 2月21日~4月16日)中の三月下旬頃には、中庭の桜花もあわせてお楽しみいただけるでしょう。
※会期半ばで一部展示替えを行います。
 前期展示 2月21日(火)~4月16日(日)
 後期展示 4月18日(火)~6月4日(日)

モーリス・ドニ 《赤い寝椅子に横たわる裸婦》1898年頃
マリー・ローランサン 《若い女》 1937年

トピック

下村観山の牛若丸と大山忠作の弁慶、日本画の名手による主従の姿
 前期展示では、後の源義経こと牛若丸と武蔵坊弁慶の主従が展示室に並びます。
 2022年11月に十三代目襲名で話題を呼んだ歌舞伎役者市川團十郎の名跡、今回展示するのは、日展で活躍した大山忠作による十三代目の父十二代目團十郎の弁慶です。1985(昭和60)年、まさに十二代目襲名披露公演で演じた歌舞伎十八番『勧進帳』の颯爽とした山伏姿で、成田屋(市川家)が江戸時代から信仰する不動明王が守護神の如く背後に配されています。その隣に並ぶのは、下村観山による桜花散るなか独り歩む牛若丸。能楽の名門出身という観山ならではの、謡曲「鞍馬天狗」を下敷きにした二幅対で、優美に咲き誇る桜樹の根元に配された卒塔婆に、少年に待ち受ける悲劇の予感がただよいます。

3 下村観山《山寺の春》 1915(大正 4)年 二幅対 前期展示

三都の美女。京美人は清水の舞台からジャンプ!
 右幅は現在の向島百花園、白梅香る早春の江戸美人。左幅は住吉大社の太鼓橋を背景にした浪花美人。烏瓜文様の着物から季節は秋なのでしょう。そして中幅は、満開の桜を眼下に清水の舞台から傘を手にひらりと飛び降りる京美人。
 江戸時代、病気平癒など心願成就のために京都清水寺の舞台から飛び降りる人びとがあとを絶たなかったとか。描いたのは葛飾北斎門下の蹄斎北馬。はじめ版本で名を馳せ、やがて名所を舞台にした肉筆浮世絵美人を描くようになりました。北斎の代筆を務めたとも伝えられる腕前の持ち主です。本作 では、京と浪花の美人の下唇を笹色紅という当時関西で流行していた化粧法で玉虫色に表現するなど、東西の女性風俗を細やかに描き分けています。

蹄斎北馬《三都美人図》 江戸時代 三幅対 後期展示

同時開催「憧憬のペルシア」
 イスラーム時代に中近東で作られた陶器をペルシア陶器と呼びます。1972(昭和47)年、初代館長は初めて海外オークションに参加し、その帰途に立ち寄ったテヘラン(イラン)で 9世紀から13世紀のペルシア陶器をまとめて取得しました。これらは以後の東洋陶磁やインド彫刻、西洋の古代彫刻蒐集等の魁となる作品群で、松岡コレクションの幅広さが美術館設立の構想以前に形成されていたことを物語っています。今回は館蔵のペルシア陶器約50点を一挙公開いたします。貴人や動物が描かれた鉢、ターコイズブルーの水差しに加え、輝くラスター彩の壺など悠久の時を伝えるエキゾチックな世界をお楽しみください。

三彩刻線花文鉢 イラン 9~10 世紀

魅惑的な館蔵ペルシア陶器を16年ぶりに一挙公開
 ペルシア、中国、インドは東洋美術の三大潮流といわれます。年代は違えども、そのすべてを松岡清次郎は追いました。文明の十字路と称され、多民族が行きかうペルシアの地で育まれた陶器にも優品が揃います。異国情緒あふれる器形、変化にとんだ文様の面白さは、この地域ならではのもの。ユニークな表現の人物像や鳥、山羊、牛などの動物文、文字、そして放射状に限りない広がりを展開する幾何学文といった特徴的な表現が器を飾ります。さらに、光沢のあるラスター彩やターコイズブルーの美しい青釉陶器など、今も憧憬の的となっている魅惑的なペルシア陶器を16年ぶりに一挙公開いたします。

青釉黒彩人物形瓶 イラン 13世紀

ときめきのターコイズブルー
 人は何故、「青色」に憧れるのでしょう。心を落ち着かせる色であり、また刻々と表情を変えながら果てしない世界をつなぐ「空」を思わせるからでしょうか。右図は、異国情緒あふれるターコイズブルーの青釉陶器。ターコイズはトルコ石のことですが、その歴史は古く、5000年以上も前から古代文明を華やかに彩り珍重されてきました。トルコでは得られず、産地はエジプトやペルシア(イラン)。トルコを経由してヨーロッパへ伝わった、或いはトルコ民族のシンボルカラーとされたことから、その名が付いたといわれる貴重な鉱物です。さて、この美しい青色 への憧れを彷彿とさせるのが、青釉陶器。古くはエジプトのファイアンスというやきものやガラスをトルコ石の代用品にしていました。それまでのペルシア陶器は胎土と青釉のなじみが悪く剝落し易かったのですが、トルコ系のセルジューク朝のもと12世紀に新しい技術が導入されると釉の状態が安定し、ついに憧れのターコイズブルーの陶器が完成。それらは時を経て、今も私たちの胸をときめかせます。

青釉子持壺 イラン 12 世紀

通年企画「古代オリエント 創造の源」
 所蔵品の中で最も古いトルコの《横たわる女人像》をはじめイラク、ギリシアなどの古代オリエントの彫像を展観します。古代オリエントの文物には当時の人々が思い描いた理想が織り込まれるとともに、人間が抱いてきた不変の感覚を我々に伝えてくれます。また、こうした古代の造形は後世の芸術家たちのインスピレーションを刺激し、様々な芸術作品が生み出されました。古代以来、連綿と受け継がれてきた創造の原型をご覧いただき、古代人が思い描いた理想や現代にも通ずる人類不変の感覚に思いを馳せていただければ幸いです。

横たわる女人像 紀元前 5600年頃 トルコ

会 期 2023年2月21日(火)〜6月4日(日)
会 場 松岡美術館(東京都港区白金台5-12-6)
時 間 10:00~17:00(入館は 16:30 まで)
毎月第 1 金曜日 10:00~19:00(入館は 18:30 まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
入館料 一般 1,200円、25 歳以下 500円、高校生以下、障がい者手帳をお持ちの方 無料
松岡美術館公式サイト https://www.matsuoka-museum.jp/
SNS
https://twitter.com/matsu_bi
https://www.instagram.com/matsuoka_museum_of_art/
https://www.facebook.com/matsuokamuseum/

無料ご招待券プレゼント!締め切りました。ご応募ありがとうございました。

常設展示
古代オリエント美術
古代ギリシア・ローマ彫刻
ガンダーラ・インド彫刻
ヨーロッパ近代彫刻(ブールデル、ヘンリー・ムア、エミリオ・グレコ)

住所東京都港区白金台5-12-6
TEL03-5449-0251
WEBhttps://www.matsuoka-museum.jp/
開館時間10:00~17:00(入館は16:30まで)第1金曜日のみ10:00~19:00(入館は18:30まで)
休み*1毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)
ジャンル陶磁、絵画、彫刻、考古美術
入場料一般 1,200円、25歳以下500円、高校生以下、障がい者手帳をお持ちの方無料
アクセス*2東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金台駅」1番出口から徒歩7分
収蔵品https://www.matsuoka-museum.jp/collection/
*1 このほかに年末年始・臨時休業あり *2 表示時間はあくまでも目安です

松岡美術館

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