W'UP! ★3月14日〜5月21日 北斎バードパーク すみだ北斎美術館

W'UP! ★3月14日〜5月21日 北斎バードパーク すみだ北斎美術館

 

2023年3月14日(火)〜5月21日(日)
北斎バードパーク

 本展は、浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)や門人が鳥を描いた作品約110点を展示し、バードパークで色々な鳥たちとふれあうように、その美しさや画技の素晴らしさを身近に感じていただく展覧会です。
 本展の展示構成や見どころのほか、新しい関連イベントが決定しましたのでご案内いたします。

本展の見どころ

(1)浮世絵にみる、江戸時代に巻き起こった鳥ブーム!
 江戸時代には、花鳥茶屋へ見物に出かける、ペットのウズラを巾着に入れて連れ出すなどの鳥ブームが巻き起こっていました。その様子は、鳥が描きこまれた浮世絵作品が多数あることからもうかがえます。本展第1章「バードウォッチング」では、鳥の種類ごとに、北斎や門人の作品に描かれた66種の鳥をご紹介します。
(2)北斎の花鳥画の錦絵
 錦絵の花鳥画は、天保期(1830-44)に、版元・西村屋与八から北斎の大判花鳥画と中判花鳥画のシリーズが出版され、好評を博します。北斎はその他にも花鳥画をテーマとした錦絵を制作しており、そのジャンルを確立させるのに一役買ったと考えられています。本展では、北斎の大判・中判花鳥画のシリーズの中から前後期あわせて5点を展示!花鳥画の魅力である美しい色合いや質感表現をご覧ください。
(3)作品に登場する鳥の意味を読み解く!
 北斎や門人の作品に描かれた鳥たちは、描かれた場面の季節や人物の思いなど、様々な情報を伝えます。第3章「舞台装置としての鳥」では、江戸時代の小説の挿絵などに登場する鳥たちに込められた意味を読み解くほか、北斎が生きたニワトリを演出に使い絵画パフォーマンスを行ったという逸話「竜田川に紅葉」の再現をご紹介します。

展示構成と主な出品作品

第1章 バードウォッチング

 江戸時代には、鳥ブームが巻き起こっていました。鳥の飼育も流行していましたが、孔雀茶屋や花鳥茶屋なるものも存在し、現代の人々が動物園のバードパークやフクロウカフェを訪れるように、江戸の人々も鳥を見物に出かけていました。本章では、前後期あわせて66種の鳥の種類を示しながら作品を展示し、あまり知られていない鳥や特にご注目いただきたい鳥を、パネルでご紹介します。北斎の生きた時代の人々が、どのような鳥を目にしていたかを感じながら、北斎一門の画技の魅力をご堪能ください。

ホトトギスが1羽、空を舞っている日本画
《同館初公開》葛飾北斎「杜鵑」すみだ北斎美術館蔵(前期)

 同館初公開となる北斎の肉筆画です。北斎には、半紙風の薄手の紙に、落款は「北斎」、印は「亀毛蛇足」もしくは「辰」「政」を捺した作品群があり、本図もそのうちの一図です。本図は陰影にズレがあり、急いで制作された状況が推測されることから、これらは書画会などで頒布された可能性もあります。輪郭線を描かない没骨法(もっこつほう)で夜空に浮かぶ月の光を優しく描き出す一方、墨の濃淡や線の肥痩(ひそう)でホトトギスの羽の艶 やかさや柔らかな質感を表現するほか、特徴とされる赤い口中も描き出しています。

イスカの浮世絵
葛飾北斎「鵙 小薊」すみだ北斎美術館蔵(後期)


 漢詩や俳諧が画中に添えられた10枚揃の西村屋版中判花鳥画シリーズの一図です。本図では、目元の黒い模様のぼかし摺や、頭の輪郭線を一筆ではなく、丸みを帯びた線をつなげて描くことで、羽毛のふわっとした質感を表現しています。イスカの特徴である、先端が上下で交差するくちばしも正確に描かれています。

絵手本『北斎漫画』に描かれた様々な鳥・非実在の鳥

一色刷りの架空の鳥の図本
葛飾北斎『北斎漫画』三編 風鳥ほか すみだ北斎美術館蔵(通期)

 日本の野山でみられる鳥から輸入されていた鳥まで様々な鳥(*)が描かれています。中でも右頁中央にいる「比翼鳥」は、中国の想像上の鳥で、眼と翼が一つしかないため、雌雄が常に一体となって飛ぶといわれています。ニューギニア島などに生息するヒヨクドリは、飼い鳥として輸入された際、初めて見た者が伝説の比翼鳥に似ていると思い、名付けたものがそのまま定着したといいます。二本の長く伸びる尾羽が内側に巻いているところが似ていますが、ヒヨクドリには頭は二つありません。
*本頁に描かれている鳥(右上から)オオフウチョウ ヘラサギ チドリ ヒヨクドリ ウグイス ウコッケイ ヒクイドリ サンジャク サンコウチョウ キンケイ ヒバリ イカル ハッカン カササギ

第2章 鳥グッズ

 現在も鳥グッズ専門店があるほど鳥のデザインは人気ですが、江戸時代にも着物の文様や工芸などに鳥の意匠があしらわれていました。北斎は櫛や煙管(きせる)のデザイン集なども手がけており、魅力的な鳥グッズの数々が登場します。本章では、身の回りを彩るものとして愛された鳥の姿とともに、北斎一門の優れたデザインセンスをご鑑賞いただきます。
根付のデザイン

センスと根付けを描いた浮世絵
葛飾北斎「馬尽 駒菖蒲」すみだ北斎美術館蔵(前期)

 空摺(からずり)で表現された懐紙の上に、シリーズ名の「馬尽」にちなみ、馬の模様の菖蒲革と呼ばれるなめし革で作った煙草入れが置かれ、根付には鳥が描かれています。江戸時代には、オウムもインコも輸入されていましたが、頭についた冠羽(かんう)がなく尾羽が長いという特徴から、インコを描いたものと考えられます。当時は、花鳥茶屋でもインコは飼育されていました。あざやかなインコの根付は、装いのアクセントになったことでしょう。
着物のデザイン

3本足の鳥の足跡をデザイン化した着物の柄を紹介した江戸時代の本の見開きページ
二代葛飾戴斗『万職図考』三編 霍の脚跡 すみだ北斎美術館蔵(通期)

 着物の模様のデザインを描いた絵手本です。「霍の脚跡」の「霍」の字は「カク」と読みますが、ここでは「つる」と読ませています。右頁では、ツルの足跡を色々な向きに描いています。左頁では足跡を白抜きにし、右頁と同じく様々な向きに描いたうえ、大小の足跡を配した模様になっています。ツルは吉祥文様であることから、着物にも好んで使われましたが、その足跡を模様にする発想がユニークです。

第3章 舞台装置としての鳥

 日本人は、鳥の愛らしく美しい姿を愛でるだけでなく、いにしえより季節や感情を鳥に託して表現してきました。北斎の描いた鳥たちは、その造形で鑑賞者を魅了するにとどまらず、描かれた場面の季節や人物の思いなど、様々な情報を伝えます。本章では、鳥が舞台装置としての役割を果たしている点に着目し、鳥に託した絵師の意図をよみとくとともに、北斎が生きている鳥を制作の演出に使用したという逸話「竜田川に紅葉」の再現をご紹介します。
凶兆を暗示する黒い鳥

侍の後ろで黒い鳥が舞う様子を描いた江戸時代の本の見開き
葛飾北斎『標注そののゆき』三 実稚しのびて師門が家におもむかんとする時三條河原まで来て暗に奸計を生く すみだ北斎美術館蔵(通期)

 本図は江戸時代の長編小説の一種である読本(よみほん)の挿絵です。金策に困った登場人物が奸計(悪だくみ)を考え付いた、という場面が描かれています。周囲に描かれたカラスは、半数が口をあけており、騒がしい鳴き声が聞こえてくるようです。描かれた人物は口元を隠し、いかにもなにか企んでいそうな表情ですが、周囲に鳴き騒ぐカラスを描くことで、今後の凶兆が暗示されています。
『舌切り雀』のお話を暗示

舌切り雀の最後の話を暗示させる浮世絵
葛飾北斎「元禄歌仙貝合 すゞめ貝」すみだ北斎美術館蔵(後期)

 貝の名をテーマとした春興摺物のシリーズの一図です。本図には、「すずめ貝」のタイトルが付けられており、宝の入ったつづら、鳥籠、スズメを描くことで、おとぎ話の『舌切り雀』を暗示しています。宝には金摺や銀摺 が見られ、つづらには膠(にかわ)をまぜて光沢を出した墨を用いて模様を表現した豪華な作品です。
北斎、ニワトリを歩かせて絵画パフォーマンス!

藍色の波打つ筆描きの太い線に朱色の鶏の足跡が点在している作品
向井大祐、勝川ピー「竜田川に紅葉の図」すみだ北斎美術館蔵(通期)

 明治26年(1893)に出版された北斎の伝記『葛飾北斎伝』上巻に、北斎が文化11年(1814)に将軍の御前で行ったパフォーマンスが伝えられています。11代将軍徳川家斉(1787-1837)は、南画家・谷文晁(1763-1840)と北斎を浅草伝法院に召し、絵を描かせました。北斎は長く継いだ唐紙を横にし、刷毛で長く藍を引き、携えたニワトリを籠から出すと足に朱肉をつけ、これを紙上に放ち足跡を残させた後、「是はこれ立田川の景色なり」と述べ一礼をして退きました。北斎は、鳥の足跡を竜田川を流れる紅葉の葉に見立てたのです。文晁は傍らで手に汗をにぎっていましたが、人々は北斎の奇抜な試みに驚いたといいます。このエピソードからは、北斎はそのたぐいまれな画技のみならず、型破りな発想力の持ち主としても知られていたことがわかります。
 本展では、2017年にすみだ北斎美術館でこのパフォーマンスの再現を試みた際に制作した「竜田川に紅葉の図」や、その映像を展示いたします。

会 期 2023年年3月14日(火)~5月21日(日)
※前後期で一部展示替えを予定
 前期 3月14日(火)~4月16日(日)
 後期 4月18日(火)~5月21日(日)
休館日 毎週月曜日
会 場 すみだ北斎美術館3階企画展示室
観覧料 個人 一般 1,000円、高校生・大学生 700円、65歳以上 700円、中学生 300円、障がい者 300円、小学生以下 無料
※団体でのご来館は、当面の間、受付を行いません。
※中学生、高校生、大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証をご提示ください。
※65歳以上の方は年齢を証明できるものをご提示ください。
※身体障がい者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などをお持ちの方及びその付添の方1名まで、障がい者料金でご覧いただけます。入館の際は、身体障がい者手帳などの提示をお願いします。
※観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)、常設展プラスもご覧になれます。

ワークシート「美術館でバードウォッチング」
 本展会期中、会場を回りながらバードウォッチングのように作品に描かれた鳥を探すワークシートを配布します。詳細はホームページにてお知らせいたします。

ワークショップ「ミニ花鳥図屏風を作ろう!」
 北斎の描いた鳥や花の絵を組み合わせ、オリジナルのミニ花鳥図屏風を作るワークショップです。申込方法など詳細はホームページにてお知らせいたします。
日時 5月5日(金・祝)14:00〜15:30(開場 13:30)
会場 MARUGEN100(講座室)
対象 小学 3年生以上
※お子さまから大人の方までご参加いただけます。
定員 15名(事前申込制・先着順)
※同伴の保護者は1人につき2名まで。
料金 無料(ただし、企画展観覧券か前売券、または年間パスポートが必要です)

オリジナルリーフレットを3月14日(火)より1階ミュージアムショップにて販売します。
展覧会の見どころ作品と解説をA4サイズ8ページにまとめたリーフレットです。
価格 税込 350 円
判型/ページ数 A4 縦長 8 ページ オールカラー

住所東京都墨田区亀沢2-7-2
TEL03-6658-8936
WEBhttps://hokusai-museum.jp/
開館時間*19:30 ~ 17:30(入館は 17:00まで)
休み*2月(祝日または振替休日の場合は開館、翌平日閉館)
ジャンル*3浮世絵
入場料*4常設展示 大人400円、高・大生、専門学校、65歳以上300円(企画展は別)
アクセス*5大江戸線両国駅A3出口より徒歩5分、JR両国駅東口より徒歩9分
収蔵品https://hokusai-museum.jp/modules/Collection/
*1 展覧会・イベント最終日は早く終了する場合あり *2 このほかに年末年始・臨時休業あり *3 空欄はオールジャンル *4 イベントにより異なることがあります。高齢者、幼年者、団体割引は要確認*5 表示時間はあくまでも目安です

すみだ北斎美術館

情報掲載について

当サイトへの掲載は一切無料です。こちらからご登録できます。https://tokyo-live-exhibits.com/about_information_post/

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