W'UP! ★3月18日~5月25日 北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで すみだ北斎美術館(墨田区亀沢)

北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで
会 期 2025年3月18日(火)~5月25日(日)
前期 3月18日(火)~4月20日(日)
後期 4月22日(火)~5月25日(日)
※前後期で一部展示替えを予定
会 場 すみだ北斎美術館 3階企画展示室(東京都墨田区亀沢2-7-2)
開館時間 9:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日 毎週月曜日
※5月5日(月・祝)は開館、5月7日(水)は休館
入場料 一般 1,000円 、高校生・大学生 700円 、65歳以上 700円 、中学生 300円 、障がい者 300円 、小学生以下 無料
※観覧日当日に限り、4階『北斎を学ぶ部屋』(常設展示室)、常設展プラスもご観覧いただけます。
※一般以外の料金対象者は年齢等が確認できるものをお持ちください。
※障害者手帳をご提示の方は、付添の方1名まで障がい者料金でご覧いただけます。
※前売券及びオンラインチケットの発売日・当日観覧券の発売日・販売方法、各種割引の詳細、団体でのご来館、最新のイベント情報については、すみだ北斎美術館公式ページをご覧ください。
ホームページ https://hokusai-museum.jp/HokusaiProducers/
本展は、板元たちが北斎をどのようにプロデュースし、どのような作品を世に生み出したかを辿る展覧会です。江戸のメディア王と評され北斎の才能に早くから目をつけていた蔦屋重三郎をはじめ、「冨嶽三十六景」をヒットさせた西村屋与八、『北斎漫画』を出版した永楽屋東四郎といった江戸の板元たち、また、伝統木版として浮世絵制作を続ける現代の出版元たちが制作した、北斎からインスパイアされた現代アーティストの作品を紹介します。江戸時代の蔦屋重三郎から現代まで浮世絵業界を支えるプロデューサーズの世界をお楽しみください。
- 葛飾北斎『画本狂歌 山満多山』享和4年(1804) すみだ北斎美術館蔵(後期)
- 葛飾北斎「仁和嘉狂言 三月 花すもう」寛政3 年(1791) すみだ北斎美術館蔵(後期)
- 葛飾北斎『画本東都遊』下絵草紙店 享和 2年(1802) すみだ北斎美術館蔵(通期)※1
- 葛飾北斎「桜に鷹」天保 5 年(1834) すみだ北斎美術館蔵(前期)
- 葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」天保 2 年(1831)頃 すみだ北斎美術館蔵(通期)※1
- 福田美蘭「冨嶽三十六景 凱風快晴」令和 3年(2021) すみだ北斎美術館蔵(通期)※1
※1半期で同タイトルの作品に展示替えをします。
見どころ
序章 浮世絵のプロデューサー 板元とは
板元とは、版本や版画を出版・販売する店のことで、今でいう出版社、出版取次会社、小売りの本屋、古本屋まで兼ねた存在です。江戸の板元は扱う内容によって、学問的な書物を扱う書物問屋(物の本屋)と娯楽的な「草双紙」と呼ばれる絵入り本や浮世絵版画などを扱う地本問屋(絵草紙屋)に区別されます。本展で取り上げる板元たちはこの地本問屋に属します。娯楽系の出版物の売れ行きは社会の動向や流行に左右されるため、世の流れに目を配り客が求めるものを企画するプロデューサーとしての力量が問われました。序章ではそうした板元の仕事を知る第一歩として、浮世絵の制作や販売に関する基礎を解説します。
1章 腕利きプロデューサー 蔦屋重三郎
蔦重こと蔦屋重三郎は、新吉原で開業し、江戸の中心地である日本橋に進出します。時代の求めるものを見抜く力によって、大田南畝(1749-1823)や山東京伝(1761-1816)といった一流の狂歌師や戯作者たちとともに話題となる本を出版し、喜多川歌麿(1753-1806)や東洲斎写楽(生没年不詳)といった新たな浮世絵師たちの才能を発掘するなど、江戸文化の発展に寄与しました。初代没後は番頭が後を継ぎ、五代目を最後に明治時代まで続きます。本章では、初代と二代の2人の蔦重が北斎へ与えた影響とその結果生み出された作品群、関連資料を紹介します。
1節 初代蔦屋重三郎
寛延3年(1750)に新吉原で生まれ、安永年間(1772-81)に新吉原の五十間道で本屋を開業しました。天明3年(1783)には日本橋通油町へ進出、黄表紙や狂歌本等の名作を次々に出版し、かたわら錦絵も版行しましたが、寛政3年(1791)に山東京伝の本が絶版となるなど、さまざまな重い処罰を受けました。起死回生の策として東洲斎写楽の役者絵を出版しますが、寛政9年(1797)に数え48歳で病没しました。北斎については春朗を名乗っていた初期の錦絵、版本挿絵の出版が確認されており、蔦重なりに北斎を売り出そうとしたことがうかがえます。
2節 二代蔦屋重三郎
曲亭馬琴の日記などによると、本名は勇助といい、出身はいせや勘右衛門(板元の伊賀屋勘右衛門のことか)の妻の従弟でしたが、初代蔦重のもとへ来て番頭となり、初代没後には婿養子となって二代目として店を継いだとされます。北斎との関わりは初代よりも多く、北斎自画作の黄表紙や豪華な狂歌本なども次々と出版しました。
2章 北斎と関わるプロデューサーズ
「冨嶽三十六景」をはじめとする北斎の代表的な名所風景画のシリーズを出版した西村屋与八、江戸を代表する老舗板元として浮世絵の初期から代表的な絵師の作品を出版した鶴屋喜右衛門、『北斎漫画』の誕生に貢献した名古屋を代表する板元永楽屋東四郎など、北斎の画業を辿る上で重要な、または代表的な作品を手がけた板元が、蔦屋以外にも数多くいます。本章では蔦重以外の北斎に関わったさまざまなプロデューサーズの軌跡を、北斎の作品や資料によって辿ります。
1節 京発祥の老舗 鶴屋喜右衛門
京都の書物問屋が万治年間(1658-61)に江戸へ進出した出店を発祥とする老舗の地本問屋で、本姓は小林氏。北斎の時代は三代目にあたり、日本橋通油町に店を構えていました。堂号は仙鶴堂、商標は丸に鶴。浮世絵師の始祖とされる菱川師宣(?-1694)の作品から、喜多川歌麿、歌川広重(1797-1858)など有名な浮世絵師の作品を軒並み出版した代表的な板元ですが、天保4年の主人の急死や翌年の大火事、天保13年には天保の改革で柳亭種彦作『偐紫田舎源氏』が絶版処分となるなど不運に見舞われ、その後は新作を出す出版元としては衰退、問屋業に重点を置くようになりました。
2節 蔦重最大のライバル 西村屋与八
宝暦年間(1751-64)から三代続いた江戸を代表する書物・地本問屋で、堂号は永寿堂、商標は山形に三つ巴。店は馬喰町二丁目(中央区日本橋馬喰町)にありました。蔦重の強敵・初代に続く二代目は、老舗板元の鱗形屋孫兵衛からの養子で、柳亭種彦(1783-1842)を戯作作者として育て上げ、鳥居清長(1752-1815)や歌川豊国(1769-1825)、葛飾北斎(1760-1849)の名作を出版するなどの業績も残しました。そして、なによりも西村屋の浮世絵史に残る功績は、北斎の「冨嶽三十六景」を世に出し、浮世絵において風景画の確立に貢献したことです。三代目のときに経営不振に陥り出版業を廃業したと伝えられます。
3節 名古屋の雄 永楽屋東四郎と江戸の実力派 角丸屋甚助
永楽屋は、安永年間(1772-81)頃に開業した名古屋を代表する板元です。堂号は乗壁堂で、北斎の時代は二代目にあたり、北斎の代表作のひとつである絵手本『北斎漫画』を手掛けました。蔦重とも提携し、名古屋以外にも美濃や江戸に出店を持ち、昭和26年(1951)まで続きました。
角丸屋は、もとは甚兵衛という名前で下駄の行商人をしていましたが、寛政年間(1789-1801)頃に麹町平河町二丁目(千代田区平河町)で書物問屋を開業、紫光閣と号し、弘化年間(1844-48)まで商売を続けたとされます。狂歌本、絵本、読本から一般教養書まで幅広く出版しました。『北斎漫画』は二編以降、永楽屋と角丸屋の共同出版でしたが、後に永楽屋の単独刊行となったとされます。
4節 北斎最後の錦絵シリーズを出版した板元 伊勢屋三次郎
天保年間(1830-44)に創業した新しい地本問屋で、堂号は染樹堂、商標は丸に三ツ星。店は小伝馬町三丁目(中央区日本橋小伝馬町)、のちに本町三丁目新道(中央区日本橋室町)等に移転しました。歌川国貞(1786-1865)や歌川国直(1795-1854)の錦絵を出版しましたが、嘉永(1848-54)末には地本問屋株を浜田屋徳兵衛に譲っています。北斎の最後の錦絵シリーズ「百人一首うばがえとき」を出版した板元でもあります。
5節 幕末を代表する板元 森屋治兵衛
寛政年間(1789-1801)に創業した地本問屋で、堂号は錦縦堂、商標は山形に森の字、通称は森治。馬喰町二丁目に店を構えました。喜多川歌麿、歌川豊国、歌川国貞、歌川広重(1797-1858)などの浮世絵師の作品を出版するほか、見世物関係の浮世絵や番付も多く手がけた幕末の代表的な板元ですが、抱えの彫師に良工が少なく、「森治の悪彫り」といわれました。しかしながら、北斎の作品では「琉球八景」「千絵の海」「詩歌写真鏡」、長大判の花鳥画シリーズなどの名品を残しています。
3章 現代に継承される浮世絵版画制作と北斎
江戸時代からの浮世絵版画の伝統的な技術を継承する出版元が、いまも活躍しています。その現代の出版元が手掛けた、北斎にインスパイアされた現代アーティストの作品を紹介し、今に息づく北斎の影響と伝統の浮世絵木版の手わざの世界を感じていただければ幸いです。
関連イベント
講演会「北斎と江戸文学―蔦屋重三郎の出版物を中心に」
日時 2025年4月12日(土) 14:00~15:30(開場13:30)
登壇者 佐藤至子氏(東京大学文学部教授)
会場 MARUGEN100(講座室)
定員 40名(13:30から整理券配布)
料金 無料(ただし、企画展観覧券か前売券、または年間パスポートが必要です)
講演会「浮世絵と江戸の版元―北斎と蔦屋重三郎を中心に」
日時 2025年5月6日(火・祝) 14:00~15:30(開場13:30)
登壇者 大久保純一氏(国立歴史民俗博物館教授・町田市立国際版画美術館館長)
会場 MARUGEN100(講座室)
定員 40名(13:30から整理券配布)
料金 無料(ただし、企画展観覧券か前売券、または年間パスポートが必要です)
スライドトーク
日時 2025年4月5日(土)、4月26日(土)
各日 13:30~14:00(開場13:00)、15:00~15:30(開場14:30)
講師 本展担当学芸員
会場 MARUGEN100(講座室)
定員 40名(13:30から整理券配布)
料金 無料(ただし、企画展観覧券か前売券、または年間パスポートが必要です)
※最新の状況は、すみだ北斎美術館公式ホームページにて最新情報をご確認ください。
住所 | 東京都墨田区亀沢2-7-2 |
TEL | 03-6658-8936 |
WEB | https://hokusai-museum.jp/ |
開館時間*1 | 9:30 ~ 17:30(入館は 17:00まで) |
休み*2 | 月(祝日または振替休日の場合は開館、翌平日閉館) |
ジャンル*3 | 浮世絵 |
観覧料*4 | 常設展示 大人400円、高・大生、専門学校、65歳以上300円(企画展は別) |
アクセス*5 | 大江戸線両国駅A3出口より徒歩5分、JR両国駅東口より徒歩9分 |
収蔵品 | https://hokusai-museum.jp/modules/Collection/ |
*1 展覧会・イベント最終日は早く終了する場合あり *2 このほかに年末年始・臨時休業あり *3 空欄はオールジャンル *4 イベントにより異なることがあります。高齢者、幼年者、団体割引は要確認*5 表示時間はあくまでも目安です |
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