W'UP! ★4月6日〜7月7日 ホー・ツーニェン エージェントの A/MOT コレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020 Eye to Eye—見ること 東京都現代美術館(MOT)(江東区三好)

W'UP! ★4月6日〜7月7日 ホー・ツーニェン エージェントの A/MOT コレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020 Eye to Eye—見ること 東京都現代美術館(MOT)(江東区三好)

2024年4月6日(土)〜7月7日(日)
ホー・ツーニェン エージェントの A

 東京都現代美術館では、シンガポールを拠点に活動するアーティスト、ホー・ツーニェンの個展が開催されます。ホー・ツーニェンは、東南アジアの歴史的な出来事、思想、個人または集団的な主体性や文化的アイデンティティに独自の視点から切り込む映像やヴィデオ・インスタレーション、パフォーマンスを制作してきました。
 既存の映像、映画、アーカイブ資料などから引用した素材を再編したイメージとスクリプトは、東南アジアの地政学を織りなす力学や歴史的言説の複層性を抽象的かつ想起的に描き出します。そのようなホーの作品は、これまでに世界各地の文化組織、ビエンナーレなどで展示され、演劇祭や映画祭でも取り上げられてきました。
 国内でも、当館で開催した「他人の時間」展(2015年)を含めた多くの展覧会に参加し、近年は国際舞台芸術ミーティング in 横浜(2018年、2020年)、あいちトリエンナーレ 2019(2019年)、山口情報芸術センター[YCAM](2021年)、豊田市美術館(2021年)で新たな作品を発表し話題を呼びました。

《ウタマ―歴史に現れたる名はすべて我なり》
《ウタマ―歴史に現れたる名はすべて我なり》2003年、映像スチル

 本展では、ホーのこれまでの歴史的探求の軌跡を辿るべく、最初期の作品含む6点の映像インスタレーション作品を展示するとともに、国内初公開となる最新作を紹介します。ホーが監督と脚本を務めたデビュー作《ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり》(2003年)は、シンガポールという国名の由来「シンガプーラ(サンスクリット語でライオンのいる町)」とその地を命名したとされるサン・ニラ・ウタマに関する諸説を巡りながら、イギリス人植民地行政官スタンフォード・ラッフルズを建国者とする近代の建国物語を解体します。
 3D アニメーションを用いた《一頭あるいは数頭のトラ》(2017年)では、トラを人間の祖先とする信仰や人虎にまつわる神話をはじめ、19世紀にイギリス政府からの委任で入植していた測量士ジョージ・D・コールマンとトラとの遭遇や、第二次世界大戦中、イギリス軍を降伏させ「マレーのトラ」と呼ばれた軍人山下奉文など、シンガポールの歴史における支配と被支配の関係が、姿を変え続けるトラと人間を介して語られます。
 ホーは他にも、既存の映像を転用し、マレー半島の近現代史とその編纂に影響を与えた人物に焦点を当てた作品を制作しています。第二次世界大戦中、マラヤ共産党総書記を務めながら、イギリス、日本、フランスの三重スパイとして暗躍したライ・テックを取りあげた《名のない人》(2015年)、マラヤ共産党とマラヤ危機について、党の機密情報に基づいた文献を残した、ゴーストライターとも言われているジーン・Z・ハンラハンを描いた《名前》(2015年)は、いくつもの映画の断片をつなげ、複数のイデオロギーに介在した謎多き人物に、同一性をもたせることなく、その内側に迫ります。

《一頭あるいは数頭のトラ》
《一頭あるいは数頭のトラ》2017年、映像スチル

 これらの作品を生み出す基盤となっているのは、2012年に始まったプロジェクト「東南アジアの批評辞典」です。幅広いソースから抽出された東南アジアに関連するAからZのキーワードとイメージが、アルゴリズムによって都度組み合わされる映像は、東南アジアというその呼び名が想起させる総体に抗う多層性、複数性を描き出します。
 近年日本で制作した作品からは、山口情報芸術センター[YCAM]とのコラボレーション作品《ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声》(2021 年)を展示します。VRと6面の映像で構成された本作では、西洋主義的近代の超克を唱え、大東亜共栄圏建設について考察した京都学派の哲学者たちの対話、テキスト、講演などが現前します。VRでは、戦争の倫理性と国家のための死についての議論が行われた座談会から、西田幾多郎の「無」の概念を象徴する抽象的空間まで、京都学派の思想と哲学者たちの主観性を体現する空間に没入することができます。

 《東南アジアの批評辞典》
《CDOSEA》2017年-、スクリーンキャプチャ
Image courtesy of the artist and Eduard Malingue Gallery


 ホーの最新作で新たな展開ともいえる《時間(タイム)のT》(2023 年)では、ホーが引用しアニメーション化した映像の断片が、アルゴリズムによって、時間の様々な側面とスケール—素粒子の時間から生命の寿命、宇宙における時間まで—を描き出すシークエンスに編成されます。それらが喚起する意味や感覚は、時間とは何か、そして私たちの時間の経験や想像に介在するものは何かを問いかけます。

《時間(タイム)のT》2023 年、映像スチル
《時間(タイム)のT》2023年、映像スチル
Image courtesy of the artist and Kiang Malingue
 《時間(タイム)の T:タイムピース》
《時間(タイム)の T:タイムピース》2023年、映像スチル
Image courtesy of the artist and Kiang Malingue

ホー・ツーニェン プロフィール
 1976年シンガポール生まれ、同地在住。ホー・ツーニェンの映像、映像インスタレーション、パフォーマンスは、幅広い資料や言説を参照し、再編成することで、複雑に絡み合う歴史や権力、あるいは個の複雑な主体性を描き出す。ホーの作品は世界各地で取り上げられており、2011年には第54回ヴェネチア・ビエンナーレのシンガポール館の代表を務めた。近年、ハマー美術館(ロサンゼルス、2022年)、豊田市美術館(2021年)、クロウ・アジア美術館(米テキサス州ダラス、2021年)、山口情報芸術センター[YCAM](山口市、2021年)、ハンブルク美術館(ハンブルク、2018年)、明当代美術館(上海、2018 年)などで個展を開催しており、タイランド・ビエンナーレ(チェンライ、2023年)、あいちトリエンナーレ 2019(名古屋市等、2019 年)、第12回光州ビエンナーレ(光州、2018 年)等の国際展にも数多く参加している。また、世界演劇祭(ドイツ各地、2010年、2023年)、オランダ芸術祭(アムステルダム、2018年、2020年)、ベルリン国際映画祭(ベルリン、2015年)、サンダンス映画祭(米ユタ州パークシティ、2012年)、カンヌ映画祭第41回監督週間(カンヌ、2009年)など、各地の演劇祭や映画祭でも取り上げられている。2019 年にはアーティストの許家維(シュウ・ジャウェイ)と共に、国立台湾美術館で開催された第 7 回アジア・アート・ビエンナーレのキュレーションを担当した。
 会期中にギャラリートーク、読書会などの関連プログラムの開催を予定しています。参加方法・詳細は当館ウェブサイトで順次公開いたします。

ポートレイト

会 期 2024年4月6日(土)~7月7日(日)
開館時間 10:00〜18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
会 場 東京都現代美術館 企画展示室 B2F
入場料 一般 1,500円(1,200円)、大学生・専門学校生・65歳以上 1,100円(880円)、中学生・高校生 600円(480円)、小学生以下 無料
主 催 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
お問合せ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会ページ https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/HoTzuNyen/

展覧会バナー

2024年4月6日(土)~7月7日(日)
MOT コレクション
歩く、赴く、移動する
1923→2020 Eye to Eye—見ること

 東京都現代美術館では、戦後美術を中心に、近代から現代にいたる約 5700 点の作品を収蔵しています。
 「MOT コレクション」展では、会期ごとに様々な切り口を設けて収蔵作品を展示し、現代美術の持つ多様な魅力の発信に努めています。
 1階では、「歩く、赴く、移動する 1923→2020」と題し、1923 年の関東大震災直後に上京した鹿子木孟郎が被災地を歩き描いたスケッチから、移動の自由が制限されたコロナ禍における2020年の当館での個展に際して制作されたオラファー・エリアソン作品まで、「歩く/赴く/移動する」をキーワードに多彩な作品で構成します。藤牧義夫の傑作《隅田川両岸絵巻》(1934)を展示するほか、「MOTサテライト」を機に制作されたクサナギシンペイ、光島貴之、ワタリドリ計画の新収蔵作品なども併せてご紹介します。さまざまな時代や国に跨る作家たちに歩みを重ねることで、私たちが生きる世界や社会への視座を高める機会となれば幸いです。
 3階では、「Eye to Eye—見ること」と題し、様々な視線の在り方に焦点をあてます。アレックス・カッツやロイ・リキテンスタイン、中村宏、中園孔二などの絵画に「描かれた視線」から、反射する素材を用いた多田美波、モニール・ファーマンファーマイアンの彫刻やレリーフによる「巻き込まれる視線」までを取り上げます。さらに世界中の都市と自然の営みをとらえた松江泰治の「カメラ・アイ」、マヤ・ワタナベの映像が風景の細部に向ける「批評的な視線」など、見ることに意識を向けながら、多様な技法の作品をめぐります。
※1階は、前会期の展示を一部のみ展示替えして継続しています。
※開催内容は、都合により変更になる場合がございます。予めご了承ください。

出品予定作家
朝倉摂、安齊重男、桂ゆき、鹿子木孟郎、クサナギシンペイ、久保田成子、栗田宏一、多田美波、中園孔二、中野淳、中村宏、奈良美智、尾藤豊、福田尚代、藤牧義夫、松江泰治、松本竣介、光島貴之、宮脇愛子、柳瀬正夢、ワタリドリ計画(麻生知子、武内明子)、アンソニー・カロ、オラファー・エリアソン、モニール・ファーマンファーマイアン、アレックス・カッツ、ロイ・リキテンスタイン、リチャード・ロング、ゲルハルト・リヒター、アンディ・ウォーホル、マヤ・ワタナベほか

会 期 2024年4月6日(土)~7月7日(日)
開館時間 10:00〜18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
会 場 東京都現代美術館 企画展示室 B2F
主 催 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
お問合せ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会ページ https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-collection-240406/
入場料 一般 500円(400円)、大学生・専門学校生 400円(320円)、高校生・65歳以上 250円(200円)、中学生以下 無料

同時期開催
3月30日(土)〜7月7日(日)
サエボーグ「IWASMADEFORLOVINGYOU」/津田道子「LifeisDelaying人生はちょっと遅れてくる」TokyoContemporaryArtAward2022-2024受賞記念展
4月18日(木)〜7月7日(日)翻訳できないわたしの言葉

■美術館一般情報

住所東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
TEL050-5541-8600(ハローダイヤル)
WEBhttp://www.mot-art-museum.jp/
開館時間10:00  18:00(展示室入場は閉館の30分前)
休み*1月(祝日は開館、翌平日閉館)、年末年始、展示替え期間
ジャンル*2現代美術
入場料*3展覧会ごとに異なります
アクセス*4東京メトロ半蔵門線 清澄白河駅B2出口より徒歩9分
収蔵品https://www.mot-art-museum.jp/collection/
*1 このほかに臨時休業あり *2 空欄はオールジャンル *3 イベントにより異なることがあります。高齢者、幼年者、団体割引は要確認 *4 表示時間はあくまでも目安です

W’UP! ★3月30日~7月7日 サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」/津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」 Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展 東京都現代美術館(MOT)(江東区三好)

東京都現代美術館(MOT)(江東区三好)

情報掲載について

当サイトへの掲載は一切無料です。こちらからご登録できます。https://tokyo-live-exhibits.com/about_information_post/

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