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W'UP★5月8日~5月20日 城田圭介 個展「視差と時差」 Quadrivium Ostium(鎌倉市浄明寺)

W'UP★5月8日~5月20日 城田圭介 個展「視差と時差」 Quadrivium Ostium(鎌倉市浄明寺)
≪Still Life, Antique Bowl and Stainless Steel Bowl (parallax_19)≫ 19.6×30cm / 写真、紙に水彩 / 2024

城田圭介 個展「視差と時差」
会 期 2025年5月8日(木)~5月20日(火)
会 場 Quadrivium Ostium(神奈川県鎌倉市浄明寺5-4-32)
開館時間 11:00~17:00
休館日 5月14日(水)
入場料 無料
ホームページ https://quadriviumostium.com

≪Still Life, Antique Bowl and Plastic Bowl (parallax_17)≫ 19.8×28.6cm / 写真、紙に水彩 / 2024
≪Still Life, Antique Bowl and Plastic Bowl (parallax_17)≫ 19.8×28.6cm / 写真、紙に水彩 / 2024
≪Still Life, ◯△□ (parallax_25)≫ 21×29.7cm / 写真、紙に水彩 / 2025
≪Still Life, ◯△□ (parallax_25)≫ 21×29.7cm / 写真、紙に水彩 / 2025

見どころ
 城田圭介は、近年手がける静物作品では写真と絵画の各々が持つ視差に注視して、写真と絵画を用いて制作しています。視差に加えて絵画は描くという行為のプロセスから時差が生じます。見えない視差と時差の痕跡を辿るように、写真と絵画は直線や曲線で区切られ並列に置かれます。そして、分節された異なる視差と時差を同じ平面上に表現することで、本来は不可視である人間の認識の階層的構造をリフレクトさせ意識化させます。今展では、ギャラリーの古美術コレクションをモチーフにした作品があります。
 長い時を経てきた古物そのものには異なる時間が流れています。また、仙厓で知られる禅思想の要素をあらわす「まるさんかくしかく」をあらわす石を用いた作品もあります。モチーフの石自体にも禅語で「石はこれ石」とあるように、複層して表層的意識から「本質」について思惟を展開させていく要素が含まれています。
 各作品に共通する注意深くひかれた繊細なラインは、モチーフを損なうことなく佇ませます。そこには、完全な一致もなければ致命的な断絶もなく一種のあいまいさを残すことで、異質なもの同士を受容することで「本質」を表現しようとする作家の意思が読み取れます。
 城田圭介の作品は、風景をモチーフにしたスケール感のある作風で知られていますが、今回の「視差と時差」展では静物画のみで構成されます。静物画に集中することで、作家の本来の内的性向が際立つ作品群となっています。作品の前に立つと、呼吸するように深層意識の地平に自らを置いて眺めることができることでしょう。
 新しい絵画の体験をいざなう城田圭介の新境地の珠玉の作品が20点ほど出品されます。

「視差と時差」展について 城田圭介
1. 対象(静物)を写真に撮る。
2. 1と同じ位置から対象の絵を描く。描くとき1で撮った写真は参照しない。(1と2は順序が逆のときもある。)
3. プリントした写真と絵を切り、あるいは破き、両者を重ね合わせていく。(1、2の進行中は3の結果を予め見通すことができない。)

 対象を見つめる。もちろん肉眼を通して見るのだが、基本的に私たちが見ている世界は左右両眼の視差の世界だ。次に対象へカメラを向けて見る。ファインダーを覗くその目は同じく肉眼だが、レンズを通さない世界とは少し異なって見える。カメラ自体がその構造に視差を備えているが、プリントした写真を見るときは撮影時にレンズ越しに見ていた世界とまた少し異なる。対象を見ているのではなく、写真を見ている。こんどは対象を絵に描き起こす。レンズを通さず肉眼から直に得られる現実を絵の世界で立ち上げる。ここで既に写真撮影時と絵を描く時ではその眼差しに隔たりがある。絵は描いている間に光も色も移り変わり、視線は揺れ続ける。そして出来上がった絵を見ているときは描いているときとはまた異なる時が流れ、別の世界を見ているようだ。もはや対象は見ておらず、絵を見ている。最後に写真と絵を組み合わせていく。肉眼そのままで見る世界、写真で見つめる世界、絵で立ち上がる世界。どれも自分の目を通して同じ位置から同じ対象を見つめ得られた世界に違わないが、得られた結果も流れる時も異なり互いのイメージは都合よく重なり合うことはない。しかし重ならず辻褄の合わない事実こそ見過ごすべきではないとの思いが働く。正しく見ることにはいつも困難が伴うが、まずは自分ひとりの中にさえある異なる世界や矛盾、どこまでも主観に過ぎない眼差し、視差と時差に満ちた現実を受けとめるところから世界は現れるのだと思う。

 展示作品にはQudrivium Ostiumで借用した古美術品をモチーフとして取り入れている作品もある。人の手によって生まれた古美術品は長い時を経て親しまれ、所有され、それに相応する価値が付されている。展示作品には古美術品の他様々なモチーフが同一空間上に配置されているが、それぞれのモチーフに異なる時間が流れ、付される意味や価値も様々だ。これら異なる時を経た物同士が作品/展示空間において同居していることも今回の展示では重視している。

ポートレイト

城田圭介プロフィール
1975年 神奈川生まれ。
2001年 東京藝術大学美術学部デザイン科卒業
2003年 東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了
個展/二人展
2024年 「波と海」マキファインアーツ(東京)
2023年 「Beyond the Frame」城田圭介×那須佐和子 haco -art brewing gallery- (東京)
2022年 「Out of the frame」マキファインアーツ(東京)
2021年 「Over」マキファインアーツ(東京)
2019~2020年 「写真はもとより PAINT, SEEING PHOTOS」茅ヶ崎市美術館(神奈川)
2013年 「Tracing/Background」ベイスギャラリー(東京)
2010年 ギャラリー・ステファン・ルプケ(ケルン)
2009年 ベイスギャラリー(東京)
2008年 ギャラリー・ステファン・ルプケ(ケルン)
ギャラリー・アーネス+ルプケ(マドリード)
2006年 「オーバーラップ」ギャラリー・サン・コンテンポラリー(ソウル)
ベイスギャラリー(東京)
2004年 「A SENSE OF DISTANCE」ベイスギャラリー(東京)
主なグループ展
2023年 「親子で感じる横須賀 子育てから生まれた作品」ヨコスカアートセンター(神奈川)
「five」日本橋三越本店本館6階美術コンテンポラリーギャラリー(東京)
「Group Show - グレン・ボールドリッチ|ホーリー・クーリス|アレックス・ダッジ|城田圭介」マキファインアーツ(東京)
2022年 「かくれんぼ-さがして。そして、」茅ヶ崎市美術館(神奈川)
「Group Show - 白川昌生|末永史尚|城田圭介|加納俊輔|ショーン・ミクカ」マキファインアーツ(東京)
2013年 「シェル美術賞展 アーティスト セレクション」国立新美術館(東京)
2012年 「フォトリファレンス・写真と日本現代美術」ベオグラード文化センター(ベオグラード)
2008年 「現代写真の母系2008 写真ゲーム」川崎市市民ミュージアム(神奈川)
2007年 「Young Japanese Landscape」ヤングアートミュージアム(ウィーン)
2005年 「VOCA2005 現代美術の展望-新しい平面の作家たち」上野の森美術館(東京)
2004年 「シェル美術賞展」代官山ヒルサイドテラス(東京)
パブリックコレクション 茅ヶ崎市美術館(神奈川)
作品集 『KEISUKE SHIROTA / WORKS 2003-2009』 グラムブックス 2009年

ステートメント
 写真と絵画を主な制作手段とした作品を展開している。凡庸なストリートスナップや観光写真、アルバム写真などを基点にフレーミングからこぼれ落ちたもの、あるいは写真の前景と背景、主題と非主題などに着目し、絵画と組み合わせた制作を行う。様々な制作展開を通じて記憶や目に映る事象の不確実さを、むしろ生の確からしさとして捉えなおす。

関連イベント
トークショー&作品鑑賞会&レセプションパーティー
トークショー後は作家と作品鑑賞会とレセプションパーティーを開催いたします。
開催日時 5月10日(土)14:00~18:00
開催会場 ギャラリーQuadrivium Ostium
参加費 無料
予約不要

トークショー 14:00~15:00
スピーカー 城田圭介(アーティスト)
ファシリテーター 黒田幸代(Quadrivium Ostiumオーナー)
作品鑑賞会 15:00~16:00
参加者でグループ鑑賞の後、作家の作品説明と感想を分かち合います。
レセプションパーティー 16:00~18:00(出入り自由)
鑑賞会の後、ささやかなパーティーを開きます。パーティーのみのご参加も可能です。作家とのご歓談をお楽しみください。

Quadrivium Ostium(クアドリヴィウム・オスティウム)は鎌倉市にある古美術と現代アートを扱うギャラリーです。店名はラテン語で「十字路の入口」を意味し、「様々な時代や場所で作られた芸術品が、縁があり此処に集まり次に引き継がれていく」という思いが込められています。「美術館のような空間に住まう」をテーマに設計された自邸の1階スペースを使い、ヨーロッパのアンティーク家具や民藝家具を設えた空間に、古美術や現代アート作品を常時30点ほど展示販売しています。建築デザインは国内外のAWARDで受賞しています。
※2024年は8人の現代アーティストの企画展覧会を開催するほか、様々な文化イベントを開催しています。
※2023年 神奈川県建築コンクール優秀賞 受賞、2023年 A’DESIGN AWARD 受賞(イタリア)

ギャラリー外観

情報掲載について

当サイトへの掲載は一切無料です。こちらからご登録できます。https://tokyo-live-exhibits.com/about_information_post/

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