W'UP!★3月16日~4月14日 池田一憲、本田健二人展「霧のふるさと」 MEM(渋谷区恵比寿)

W'UP!★3月16日~4月14日 池田一憲、本田健二人展「霧のふるさと」 MEM(渋谷区恵比寿)

2024年3月16日(土)~4月14日(日)
池田一憲、本田健二人展「霧のふるさと」

 長年島根県匹見町で農業に従事しながら絵画制作を続けてきた池田一憲(1942年-)と、岩手県遠野で、山林を主題にした大型木炭画の連作や、身の回りの移り変わる自然を主題にした油彩を描き続けてきた本田健(1958年-)の二人展を開催します。
 本展は、60年代以降広島と島根で展開された美術の現場を背景に、池田と本田の長年に渡る交友関係を焦点として企画されました。
 本田は、山口県長門市出身です。当時地元高校で美術を教えていた殿敷侃(1942年-1992年)と出会い影響を受けました。殿敷は広島出身で、高校卒業後国鉄に勤め、同僚の池田一憲と知り合い生涯に渡る交友が続きます。後年廃品などを使ったインスタレーションを発表するようになる殿敷は、当時池田の独特の点描画の影響を受け、亡くなった両親の遺品などを点描画で描き始めたといいます。そして、本田は殿敷を通じて池田と交友を結ぶことになります。
 池田は国鉄を辞めた後、故郷に戻り農業を始めました。その作品には、農夫として生活をする池田の目を通した山里の風景と人間、地方の歴史と民間伝承、仏教世界が自由自在に織り込まれています。
 哲学者の梅原猛は1966年島根県旭町の町役場にかかっていた池田の油彩を見て衝撃を受けます。梅原が池田を画壇に紹介したところ「現代の素朴画」と紹介され話題になりました。当時、美術評論家の末永照和は池田の絵をブリューゲルやウィーン幻想派と比して評価しました。一方本田は、20代に三ヶ月ヨーロッパ各地を巡った後、岩手県遠野市に移住、日本の山水を描こうと決めました。築百年を超える古民家に住みながら、山里の自然を相手に絵を描き続けています。代表作シリーズの「山あるき」は、何時間も歩く山の中で遭遇する自然の光景を主題にしています。
 池田と本田に共通するものは、地方の自然のなかで暮らす者としての視線と、長年たゆまなく継続されている生活と一体化した制作活動です。本展では、絵画の原点を見つめ続けるふたりの画家の作品を紹介いたします。

池田一憲、本田健二人展「霧のふるさと」
会 期 2024年3月16日(土)~4月14日(日)
会 場 MEM
時 間 13:00~19:00
定 休 月曜日 (月曜日が祝休日の場合は開廊し、翌平日休廊)
電 話 03-6459-3205
協 力 三潮画材
オープンニングレセプション 3月16日(土)17:00~19:00
*作家両名とも在廊いたします。

池田一憲《民話》
池田一憲《民話》1975年、キャンバスに油彩、727×530mm
©Kazunori Ikeda, courtesy of MEM
本田健《鹿の骨(オニユリ)II》
本田健《鹿の骨(オニユリ)II》2023年、キャンバスに油彩、450×
530mm ©Takeshi Honda, courtesy of MEM

池田一憲 (Kazunori Ikeda) 1942年島根県生まれ。1962年県立浜田高校今市分校農業科卒業。その後国鉄広島第一機関区に入社し、油絵を描き始める。県美展、職場美術展、平和展などに参加。1966年に退社後は島根の山間部で農業をいとなみながら、絵画制作に専念している。ふるさとの町役場に寄贈した作品を通して哲学者の梅原猛と出会う。1975年東京の青木画廊、1978年銀座セントラルアネックスなどで展覧会を開催。1984年作品「釈迦十大弟子」(10点)を完成。著書には絵本『三井の晩鐘』(1981年、文・梅原猛)、詩画集『博物誌』(1982年、文・閤田真太郎)。主な展覧会に、1988年「私の釈迦十大弟子」西武百貨店(東京、池袋)、1990年個展「池田一憲作品展」俵屋画廊(京都)、2004年個展「池田一憲展」柴田悦子画廊(東京、銀座)、2008年個展「石見の作家展池田一憲」浜田市立石正美術館ギャラリー(島根)、2017年「第2期ヒロセコレクション3池田一憲、若林砂絵子展」ヒロセコレクション(広島)、2019年「彼方/此方-Visionaries2-」MEM(東京、恵比寿)など。

本田健(TakeshiHonda)
 1958年山口県長門市生まれ。山口県立萩工業高等学校卒業。87年から岩手県遠野市の茅葺の古民家をアトリエとして制作している。1990年代より、遠野の山や小川などの身近な四季をチャコールペンシルで圧倒的なスケールと緻密さで描いたものが代表的である。人と時が作り上げてきた風土というものを、あえて画家の自我や個性を排除してありのままに写し出すことを試みている。
 これまで岩手県立美術館、熊本市現代美術館、ミネアポリス美術館、ドローイング・センター(ニューヨーク)等、国内外美術館で作品を発表。チャコールペンシルと並行して取り組む油彩画は、野菜や草花を自然光の中で捉え、それまで排除し抑え込んでいた作家自身の情感や死生観、問題意識を率直に筆に託し、カンヴァスに描いている。近年の主な展覧会に、2017年「リアルのゆくえ」平塚市美術館(神奈川)他巡回、2019年個展「本田健展水のおちつき」MEM(東京、恵比寿)、2022年「リアル(写実)のゆくえ現代の作家たち生きること、写すこと」平塚市美術館(神奈川)他巡回、「新しいエコロジーとアート」東京藝術大学大学美術館本館(東京)、「高松コンテンポラリーアート・アニュアルvol.11フラジャイル―ひそやかな風景―」高松市美術館(香川)など。

W’UP! ★2⽉2⽇~2⽉18⽇ 恵⽐寿映像祭 2024「⽉へ⾏く30の⽅法」 東京都写真美術館(目黒区三田)ほか

W’UP!★2月29日~3月24日 鈴木ヒラク個展「Works on Paper」NADiff a/p/a/r/t(渋谷区恵比寿)

情報掲載について

当サイトへの掲載は一切無料です。こちらからご登録できます。https://tokyo-live-exhibits.com/about_information_post/

コメント

*
*
* (公開されません)