W'UP★6⽉24⽇~7⽉9⽇ キム・ハク「⽣きる IV」 キュレーター メタ・モエン YOKOHAMA COAST ROOM3(横浜市⻄区)

W'UP★6⽉24⽇~7⽉9⽇ キム・ハク「⽣きる IV」 キュレーター メタ・モエン YOKOHAMA COAST ROOM3(横浜市⻄区)
 
キム・ハク《刺繍レースの布とカンボジアの絹絣の巻きスカート(ソック・ポーン/
1965 年タケオ州⽣まれ、神奈川県在住)》「⽣きる」プロジェクトより

2023年6⽉24⽇(⼟)~7⽉9⽇(⽇)
キム・ハク「⽣きる IV」
キュレーター メタ・モエン

 キム・ハクの写真は記憶をたどる旅である。その旅は苦しみを呼び覚ましながらも、深い寛容と優しさに満ちている。
 ―リティ・パン(『⽣きる III』序⽂より)―

 2022年8⽉から9⽉にかけ、東京・南⻘⼭「スパイラルガーデン」と、神奈川・⻩⾦町「⾼架下スタジオ Site-A ギャラリー」で開催した、カンボジアのアーティスト キム・ハクによる写真展「⽣きる IV」。1970年代からのカンボジアの内戦を逃れ⽇本に暮らすカンボジアルーツの⼈々の所持品を撮影した写真と⽂章による作品約40点は、暗い過去に埋もれた個⼈の物語に光を当て、歴史を⽣き抜いた⼈間のたくましさや希望の⼒、未来へつなぐ重要性ときっかけを⾒る⼈に強烈に提⽰し、⼤きな反響を呼びました。

スパイラルガーデン展示風景
キム・ハク「⽣きる IV」展⽰⾵景 2022 年 会場:スパイラルガーデン
撮影:⽊奥恵三

 この昨年の反響を受け、今年はカンボジア・プノンペンを拠点に活動するキュレーターのメタ・モエンを迎え未発表の作品を加えた写真展を開催。またカンボジア内戦を⽣き抜いた家族の実情により深く触れることのできるパブリックプログラム、書籍の再販も⾏うなど、パワーアップした企画として戻ってきます。
 主催する任意団体である「Alive」は、昨年開催されたキム・ハク「⽣きるⅣ」展をきっかけに、カンボジアにルーツを持つ異なる世代背景の⼥性 3 名により結成されました。⽇本に住むカンボジアにルーツを持つ⼈々が「⾃分らしさ」を⼤事にすること、またカンボジアから難⺠として移住してきた⼈々やその家族のウェルビーングについて考え、当事者の 視点でサポート活動をリードすることを⽬的にしています。
 「Alive」と協⼒のニュージーランドの公益財団法⼈「Rei Foundation Limited」は、この開催を通じて、参加者が⽇本社会における難⺠の実状や平和・紛争について考察し、地球市⺠としての問題意識を持ち、⽇本社会の多様性の現在地ひいては多様性を基盤にする社 会の強さについて知る機会となることを願っています。
 未来に向けて本当の多様性とは何か。⽇本在住の全世代のカンボジアルーツの⼈々や訪れ た観客を含むすべての⼈が⾃分たちのアイデンティティを再発⾒し、誇りに思える機会になれば幸いです。
 また本展の後は、カンボジアのプノンペンでこれに続く展覧会(会期 2023年8⽉19⽇から9⽉2⽇)を、Sosoro Museum(http://sosoro.nbc.org.kh/)で開催予定です。

アーティスト・ステイトメント
 私はこの⻑期プロジェクト「⽣きる」を、私⾃⾝の家族の記憶から始めました。そこからカンボジア国内に住む他の家族、そして紛争後に祖国を離れて世界各地で暮らすカンボジア⼈ディアスポラにも、このプロジェクトを広げて⼈類の歴史を記憶していくことにしました。そして今、⽣きた証⼈は徐々に姿を消し、時間との戦いになっています。
 クメール・ルージュの戦争から40年経ち、当時を知る⼈々も⾼齢になり、残された時間も少なくなってきました。戦争を体験した証⼈が記録されないまま亡くなってしまえば、その記憶は失われてしまいます。過去から学ばなければ私たちは過ちを繰り返すことになり、これはカンボジア⼈だけでなく、全⼈類にとって重要なことだと考えます。
 私の写真に登場するモノの多くは、戦前、クメール・ルージュ政権時代、国境のキャンプで家族によって使われ、その後、犠牲者や⽣存者と共に新しい⼟地へ⻑い旅をして⽇⽤品として使われ続けてきたものです。それぞれの写真には、個々のモノにまつわる真実の物語につながるヒントが隠されています。ポル・ポト時代の後、汚れた⼟地から掘り起こされ、再⽣され、あるいは、家族の⽣涯を通じて保管されてきたモノなのです。
 写真やモノはすべて、深い意味をもっています。それらは、歴史の中の過去の時間の証拠です。戦争は犠牲者を殺すことは出来ても、⽣き残った⼈々の記憶を殺すことはできないのです。記憶は、現代に⽣きる⼈々の意識の中で⽣き続け、知られ、共有されるべきであり、次の世代のために遺産を保存する必要があるのです。
 ―キム・ハク―

ポートレイト

キム・ハク
 1981年⽣まれ。カンボジアの北⻄部に位置するバッタンバン市出⾝。クメール・ルージュ政権崩壊の2年後に⽣まれ、両親から当時の記憶を聞いて育つ。クメール・ルージュ政権前後のカンボジアの社会史を記憶・再⽣・再解釈するプロジェクト「⽣きる」をはじめ、⼟地や建物の記憶や変化する祖国の⾵景を撮影して記録し、カンボジアの政治的⽂化的構造に関連するテーマを探求している。
 これまで東南アジア、中央アジア、ヨーロッパ、オセアニア、アメリカで個展を⾏うほか、世界各地の国際写真フェスティバルや展覧会にも多数参加。「⽣きる」はカンボジア、オーストラリア、ニュージーランドで制作展⽰され、アジア、ヨーロッパ、アメリカの都市で紹介されている。
主な展覧会:Photo Quai(パリ、フランス/2011)、World Event Young Artists(ノッティンガム、UK/2012)、OFF_festival Bratislava(ブラチスラバ、スロバキア/2014)、国際写真フェスティバル(シンガポール/2012)、国際マルチメディア・アートフェスティバル(ヤンゴン、ミャンマー/2012)、ASEAN Eye Culture(バンコク、タイ/2014)、フ ォト・プノンペン(プノンペン、カンボジア/2015, 2017)、アンコール・フォトフェスティバル(シェムリアップ、カンボジア/2014)、フォト・サンジェルマン(パリ、フランス/2017)、オークランド写真フェスティバル(オークランド、ニュージーランド /2017)、第⼆回フォト・カトマンドゥ(カトマンドゥ、ネパール/2016)ほか多数。 ケ・ブランリー美術館「レジデンスプログラム賞」(パリ、フランス/2011)、「ストリームフォト・アジア」2 位(バンコク、タイ/2012)、The Advisor 紙「 Best of PhnomPenh」ベストアーティスト(プノンペン、カンボジア/2012)。写真集に『UNITY』(2013)、『⽣きる III』(2018)がある。「⽣きる III」はオークランド戦争記念博物館
に所蔵された。
https://www.kimhak.com/biography/

キム・ハク「⽣きる IV」
キュレーター メタ・モエン
会 場 YOKOHAMA COAST ROOM3(神奈川県横浜市⻄区⾼島 2-14-9 アソビル)
期 間 2023年6⽉24⽇(⼟)〜7⽉9⽇(⽇)
時 間 10:00〜19:00
※ただし⾮公開パブリックプログラム開催時(7⽉2⽇(⽇)13:00〜18:00)は観覧を⼀時休⽌します。詳しくは展覧会ウェブページをご覧ください。
TEL 045-594-7314
料⾦ 無料
展覧会ウェブページ https://www.facebook.com/KimHak.Alive4/about_contact_and_basic_info

パブリック・プログラム
6⽉24⽇(⼟)15:00〜17:00
⼀般公開 「セッション1:現代アートと⽂化:カンボジア内戦後の新しいイメージとインスピレーションの構築」
スピーカー:キム・ハク(本展アーティスト)、メタ・モエン(キュレーター)、ダネット・サン(ドキュメンタリー映像作家)、リノ・ブット(アートコレクティブ Sa Sa Arts ※オンライン参加)、スオン・ソクロ(考古学者、教授 ※オンライン参加)
各スピーカーが、これまでの活動や戦後のカンボジアにおける新しいイメージの創造と重要な着想のための役割について話します。

6⽉25⽇(⽇)12:00〜18:00
⼀般公開「セッション2:⽣きる IV 作品の対話型鑑賞:⽇本社会の課題・個⼈の体験について」
 「⽣きる IV」からいくつかの作品を選び、⾒て感じて連想したこと、考えたことなど鑑賞者同⼠の「気づき」の輪を、対話を通して広げていきます。

7⽉1⽇(⼟)11:00〜13:00
⼀般公開「セッション3:カンボジア難⺠の⼈⽣の後期と家族の関わり〜⾃分らしく⽼年期を過ごすための模索〜」
カンボジアルーツをもつ1.5世代は親の決断や⺟国で余⽣を過ごしたいなどの思いをどのように引き受けたのか、またそれに伴う悩み、⽣活費や医療問題、さまざまな障壁などについてインタビュー動画やアンケート集計資料などを紹介し、環境改善の⽷⼝を探ります。

7⽉9⽇(⽇)13:00〜15:00
⼀般公開「セッション 4:異⽂化社会における知的⽂化財の保護と継承・発展」
 10代で来⽇した⽅が⽬の当たりにした当初のコミュニティの様⼦をヒアリングし、⽂化伝承に⾄る思いを聞きながら、第1世代と 1.5 世代の対話セッションを⾏います。またフランスの⽂化伝承の事例を紹介しながら⽇本でできることを考えます。

パブリック・プログラム申し込み⽅法
下記よりお申込みください。
https://forms.gle/bTCgM7PeXVEvc1Bd8

主 催 Alive
協 ⼒ Rei Foundation Limited

『⽣きる IV』書籍 再販
 2022年に制作したアーティスト・ブック『⽣きる IV』
(⽇本語・クメール語併記)。新たに撮影された4⼈のエピソードを加えさらに充実した内容の第⼆版の販売を開始します。
価格 5,000円(税込)

作品集

情報掲載について

当サイトへの掲載は一切無料です。こちらからご登録できます。https://tokyo-live-exhibits.com/about_information_post/

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