W'UP★9月20日~12月21日 ゴースト 見えないものが見えるとき アーツ前橋 1階ギャラリー+地下ギャラリー(群馬県前橋市)

ゴースト 見えないものが見えるとき
会 期 2025年9月20日(土)~12月21日(日)
会 場 アーツ前橋 1階ギャラリー+地下ギャラリー(群馬県前橋市千代田町5-1-16)
開館時間 10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日 水曜日
入館料 一般 1,000円、学生・65歳以上・団体(10名以上) 800円、高校生以下 無料
※1階ギャラリーは観覧無料です。
※障害者手帳等をお持ちの方と付き添いの方1名は無料です。
※「群馬県民の日」(10月28日)、「文化の日」(11月3日)は入場無料です。
※10月11日(土)、12月13日(土)は「多様な学びの日」のため入場無料です。
ホームページ https://www.artsmaebashi.jp/?p=21837
- Tony Oursler. Open Obscura, 1996/2013. Installation view of Tony Oursler: Black Box, Kaohsiung Museum of Fine Arts, Kaohsiung, Taiwan, January 23–May 16, 2021. Courtesy Kaohsiung Museum of Fine Arts.
- 山内祥太《Being… Us?》2025 年
- 新平誠洙《Phantom Paint #3》 2025 年 Courtesy of ARTCOURT Gallery Photo : Takeru Koroda
- 岩根愛《Shosuke Nihei, Kailua Camp—Maui, Hawaii》〈KIPUKA〉シリーズより 2016 年 ©Ai Iwane, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY
- 尾花賢一《赤城山リミナリティ》2019 年 撮影:木暮伸也
- 諸星大二郎「不安の立像」より 1973 年 ©諸星大二郎
本展覧会は、現代美術を軸とした絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションといったさまざまな表現を、“ゴースト”というキーワードから広げた幾つかの視点で紹介し、見えるもの・見えないものが生み出す謎めいた魅力を探ろうとするものです。
亡霊(ゴースト)のように立ち上がるイメージは、過去と未来をつなぐメディアになりうるのではないでしょうか。過去の歴史に対する批判、現代という時代の見直し、そして、未来への可能性。不確かなそれらのヴィジョンは曖昧で茫洋とした姿で立ち現れながらも、我々に新しい議論と多様な気づきをもたらしてくれることでしょう。
そのような“ゴースト”に潜む表現の「美」を、作家の豊かなイマジネーションによって浮かび上がらせることで、私たちを取り巻いている世界の見方について多くの示唆が与えられることになれば幸いです。
「ゴースト」は、過去のものでも空想でもない。それは、私たちの視界の外側で、今この瞬間にも確かに“存在”している、もう一つのノイズである。
「ゴースト」という概念は、現代の混沌とした世界――戦争、分解、テクノロジーの脅威、環境破壊、そして人新世における絶望感――に対し、目に見えないもの、消えたもの、取り残されたもの、あるいは現在に忍び寄る過去の気配や未来の可能性の隠喩として捉えることができる。
この展覧会は、そうした“見えない存在”に目を向け、対話を試み、再び世界の一部として迎え入れることで、私たちの新たな可能性を開く場としたい。
―― 本展ディレクター 南條史生
見どころ
多様なメディウム、テクノロジーで出会うゴースト
人工知能(AI)や仮想現実(VR)などのメタバース技術は、魂や意志が生物だけに宿るという従来の前提を根本から問い直しています。いまや魂はゴーストのように漂い、機械や仮想空間へと拡散しつつあります。本展では、先端的な技術を用いてその変容を捉えた若手作家、山内祥太や平田尚也による新作のほか、彼らの先駆といえるトニー・アウスラーによる大規模な映像インスタレーションなどを紹介します。また、新しい絵画表現を見せる新平誠洙、西太志や、マンガ界の巨匠・諸星大二郎など、多様なメディウムによるゴーストの表現が一堂に会し、人間と非人間の境界を問い直します。
歴史や土地のゴーストと向き合う
戦争や政治的抑圧によって引き起こされた大量破壊と殺戮。その記憶・記録は、単なる過去ではなく、歴史の中で未解決の課題を現代の私たちに鋭く突きつけます。クリスチャン・ポルタンスキー、丸木位里・俊、ハラーイル・サルキシアソ、丹羽良徳の作品を通して、私たちを揺り動かす歴史上の幽霊=ゴーストと向き合います。ゴーストは、土地やそこに住む人々の身体にも宿ります。横尾忠則、諏訪敦、アビチャッポン・ウィーラセタクン、松井冬子、岩根愛、竹村京、ヒグチュウコの作品を通して、土地の儀礼や自然の風景、あるいは個人的体験や感情などから立ち現れる、様々なゴーストの表現に触れることができます。
前橋のゴーストを探る
過去の記憶を留めた古い街並みと、再開発によって出現しつつある新しい街並みとが渾然一体となった地方都市・前橋。そして街を見下ろす赤城山で育まれた伝承文化。これらをアーティストが取材して制作した作品をアーツ前橋の内外で展開します。尾花賢一+石倉敏明は、水にまつわる赤城山の伝説を取材した新作を館内で展示。マームとジプシーは、広瀬川周辺をリサーチし、前橋空襲の生存者や製糸工場の女工たち、劇団を主宰する藤田貴大の家族の記憶など、時空をこえて河畔から浮かび上がる声をもとにインスタレーションを制作。アーツ前橋の他、前橋文学館や周辺の店舗にも作品を設置します。daisydoze は、前橋生まれの詩人・萩原朔太郎をモチーフに、ヘッドフォンの音声に導かれて市街地を巡るオーディオイマーシブシアターを展開。それぞれの試みから、前橋に潜むゴーストが浮かび上がります。
出品作家
岩根愛、丹羽良徳、ハラーイル・サルキシアン、尾花賢一+石倉敏明、諸星大二郎、ヒグチュウコ、平田尚也、松井冬子、新平誠洙、丸木位里・俊、竹村京、西太志、クリスチャン・ボルタンスキー、横尾忠則、諏訪敦、アビチャッポン・ウィーラセタクン+チャイ・シリ、トニー・アウスラー、マームとジブシー、山内祥太、daisydoze
作家プロフィール
岩根愛(いわね・あい)
1975年東京都生まれ。1991年に単身渡米し、カリフォルニア州ベトロリアハイスクールへ留学。1996年より写真家として活動を開始。精力的なフィールドワークを通じて離れた土地の見えないつながりを探り、コミュニティが拠りどころとする自然伝承や無形文化を紐解き、写真および映像インスタレーションを制作。
丹羽良徳(にわ・よしのり)
1982年愛知県生まれ。ウィーン在住の現代アーティスト。2005年多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒業。公共空間や政治的空間でユーモアと皮肉を交えた介入型パフォーマンスと映像作品を制作する。社会制度や価値観の境界を可視化し、集団行動や資本主義構造、歴史認識などを批評的に探求。
ハラーイル・サルキシアン
1973年シリア・ダマスカス生まれ。写真、映像、彫刻、サウンド、インスタレーションなど、多様なメディアを横断して制作を行う。紛争、移住、喪失、そして希望をめぐり、風景やかつて愛された場所に刻まれた過去の痕跡を記録して、個人と集団の記憶から語られざる物語を可視化。
尾花賢一+石倉敏明
美術家の尾花賢一と人類学者の石倉敏明によるユニット。お互いの視点を共有しながら資料調査と現地調査を軸にした作品制作を展開。自然、地理、歴史、民俗を横断しながら対象地域を捉え直し、その場所に暮らす人々や、歴史に残らない小さな集団・個人の記憶をすくい取った物語をドローイングや彫刻を交えながら再構築。
諸星大二郎(もろほし・だいじろう)
1949年生まれ。漫画家。1970年、「COM」に掲載された「ジュンチ・恐喝」でデビュー後、1974年『生物都市』で手塚賞を受賞。代表作に『西遊妖猿伝』『妖怪ハンター』『暗黒神話』『孔子暗黒伝』『栞と紙魚子』『マッドメン』『諸怪志異』など。2000年に手塚治虫文化賞マンガ大賞、2008年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、2014年に芸術選奨文部科学大臣賞、2018年に日本漫画家協会賞コミック部門大賞など受賞多数。
ヒグチュウコ
画家。
平田尚也(ひらた・なおや)
1991年長野県生まれ。2014年武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。彫刻を中心としたインスタレーションを手掛け、物理的な制約を超えた仮想空間での構築や、3Dプリント技術を駆使した造形など、デジタルとアナログの境界を越える表現を展開。
松井冬子(まつい・ふゆこ)
1974年静岡県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科日本画専攻博士課程修了。極めて細密な線描と淡い色彩で、生と死、痛み、女性の身体性を描く。伝統的日本画技法と現代的感性を融合させた表現で高く評価され、国内外で作品を発表。
新平誠洙(にいひら・せいしゅう)
1988年大阪府生まれ。2014年京都市立芸術大学大学院絵画専攻修了。光学現象(反射・屈折・透過)をモチーフに、複数のイメージを重ねるノイズ的手法で、時間と空間を視覚化する絵画を探求。近年はAIを使ったイメージを制作に用いている。
丸木位里・俊(まるき・いり・とし)
丸木位里(1901年~1995年 没、広島県出身)と丸木俊(まるき・とし/赤松俊子、1912年~2000年 没、北海道出身)。日本の反核・平和美術を象徴する画家の夫妻。1945年の広島原爆直後に現地を訪れた経験を基に、1950年から15点に及ぶ共同制作《原爆の図》シリーズに着手。被爆の惨状と人間の尊厳を描き、国際的評価を獲得。
竹村京(たけむら・けい)
1975年東京都生まれ。東京藝術大学大学院修了。その後ベルリン芸術大学にも学ぶ。写真やドローイングの上に刺繍を施した薄布を重ねる平面インスタレーションや、壊れた日用品を布で包み、絹糸で縫い直す“修復シリーズ”で知られ、記憶や喪失を視覚的に触覚的に再構築する手法を展開。
西太志(にし・たいし)
1983年大阪府生まれ。2015年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画を修了。虚構と現実の境界や匿名性をテーマに、木炭によるドローイングから発展した絵画と黒い陶土による立体や衣類に泥を塗り込み焼成する陶作品など、絵画と陶芸を行き来する作品を制作。
クリスチャン・ボルタンスキー(1944年フランス・パリ生まれ、2021年没)
フランスを代表する現代美術家。ナチス時代の父の体験やユダヤ人としての出自を背景に、「記憶」「生と死」「不在」を主題としたインスタレーションを制作。ビスケット缶、古着、散光電球、肖像写真、心臓音など多様な素材を用い、人間の存在の儚さと記憶の継承を問い続けた。
横尾忠則(よこお・ただのり)
1936年兵庫県生まれ。1950年代よりデザイン活動を開始し、サイケデリックで鮮烈な色彩と多様なモチーフを特徴とする作風を確立。ポップアートやシュルレアリスムの影響を受けつつ、日本の伝統美術や民俗文化を融合させることで独創的な表現世界を築き上げた。1980年代には画家宣言をして画家としての活動を本格化。
諏訪敦(すわ・あつし)
1967年北海道生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻油絵コース修了。1994年に文化庁芸術家派遣在外研修員としてスペインに滞在。ドキュメンタリー的手法の導入など独自のアプローチにより因習的なジャンル性を越え、“視ること”について意味の拡張を試みる。
アビチャッポン・ウィーラセタクン+チャイ・シリ
アビチャッポン・ウィーラセタクン(1970年バンコク生まれ)は、映画監督/ビジュアル・アーティストとして国際的に知られる。1997年にシカゴ美術大学で映画制作修士号を取得し、1999年に映像制作会社「Kick the Machine Films」を設立。記憶やアイデンティティ、欲望、歴史をテーマに、神話やセクシュアリティを織り込んだ非線形で夢幻的な語りと詩的な映像表現を特徴とする。チャイ・シリ(1983年パンコク生まれ)は、映画・映像・写真を手がける現代美術作家で、アビチャッポンとはドクメンタ13をはじめ数多くのプロジェクトで協働。
トニー・アウスラー(1957年アメリカ・ニューヨーク市生まれ)
実験的ビデオアートの先駆者として知られる現代美術家。1979年にカリフォルニア・インスティテュート・オブ・ジ・アーツを卒業し、絵画、立体、ヴィデオ・インスタレーション、パフォーマンスなど多様な領域を横断する作品を制作。顔や声を日常的な物体に投影し観客と対峙させる「電子フィギュア」的手法で、メディア批評と鮮烈なヴィジュアルを融合。
マームとジプシー
藤田貴大(ふじた・たかひろ)が全作品の脚本と演出を務める演劇団体として2007年設立。2012年よりオリジナルの演劇作品と並行して、他ジャンルの作家との共作を発表。演劇界のみならず様々なジャンルの作家や観客より高い注目を受けている。
山内祥太(やまうち・しょうた)
1992年岐阜県生まれ。2016年東京藝術大学映像研究科メディア映像専攻修了。自己と世界との関係性や、現実と空想の裂け目といったものをさまざまな方法で明らかにしようと試みる。映像、彫刻、VR、パフォーマンスなど表現メディアは多様で、身体性の生々しさや人間らしい感情と現代のテクノロジーを対峙させ、作品制作を行う。
daisydoze
作・演出の竹島唯と衣装・クリエイティブプロデューサーの近藤香による日本独自のイマーシブシアターを作るクリエイティブユニット。2019年結成。物語に上演地のサイトスペシフィックな要素を取り入れた作品創りを追求。「現実と幻想の交差点」をテーマに、都市空間を舞台としたイマーシブシアターを様々な場所で発表。
関連企画
daisydozeによるサウンドイマーシブシアター
日時 展覧会会期中(所要時間30~40分)
会場 前橋市 中心市街地
参加費 300円(展覧会とは別料金)
※事前申込・事前決済(申込方法、詳細については公式HPよりご確認ください)
マームとジブシー《Curtain Call》街なか展示
マームとジブシーによる本展参加作品《Curtain Call》は、当館の地下ギャラリーのほか、前橋文学館オープンギャラリーなど広瀬川河畔に点在する4つのポイントをめぐる回遊型の作品です。各会場の詳しい情報は、当館ウェブサイトか館内配布しているマップをご確認ください。
関連イベント
(1)南條史生特別館長によるギャラリートーク
日時 9月28日(日)、12月7日(日)14:00~15:00
会場 アーツ前橋ギャラリー
定員 30名(事前申込)
参加費 無料 ※当日の観覧券をご提示ください。
申込方法 (4月19日午前10時より)HPの専用フォームからお申込みください。
(2)学芸員によるギャラリートーク
日時 9月27日(土)、10月18日(土)、11月29日(土)14:00~15:00
会場 アーツ前橋ギャラリー
定員 どなたでも(未就学児は保護者同伴)
参加費 無料 ※当日の観覧券をご提示ください。
(3)おしゃべりアートデイズ
アーツナビゲーターとともに、気づいたことや感じたことなどおしゃべりしながら鑑賞するプログラム。展示中の2作品を鑑賞します。所要時間40分。
日時 10月11日(土)、11月8日(土)、12月13日(土)14:00~
会場 アーツ前橋ギャラリー
定員 5名程度(事前申込)
参加費 無料 ※当日の観覧券をご提示ください。
申込方法 HPの専用フォームからお申込みください。
※この他にも、背筋が寒くなる「ゴースト」な夜のイベント企画を準備中です。詳細は当館HP、SNSでお知らせします。
※イベントの内容は追加・変更になる場合があります。展覧会HPで最新情報をご確認ください。
関連展示
竹村京「ついてはなれて」
会期 9月19日(金)~10月26日(日)
会場 タカ・イシイギャラリー 前橋(まえばしガレリア ギャラリー1)
オープニング・レセプション 9月19日(金)16:00~18:00
TEL 027-289-3521
主 催 アーツ前橋
後 援 上毛新聞社、群馬テレビ、FM GUNMA、まえばしCITY エフエム、前橋商工会議所









コメント