レビュー( 2 )

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【The Evangelist of Contemporary Art】10年の後―水戸芸術館で「3.11とアーティスト:10年目の想像」展を観る(後編)

【The Evangelist of Contemporary Art】10年の後―水戸芸術館で「3.11とアーティスト:10年目の想像...

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※ブログ前編はこちら 展覧会から最近・最新の作品も観ておこう。大震災後の復旧と復興は、町や田舎の風景を一変させた。その変貌の様を、前述の小森+瀬尾は「二重のまち」と冠した。 加茂昂は、絵画(49~55)の厚塗りの絵の具の窪みにぽっかり開いた穴のような立看板(56)で、それを見事にネガティヴに浮かび上がらせた。佐竹真紀子...Read More
【The Evangelist of Contemporary Art】10年の後―水戸芸術館で「3.11とアーティスト:10年目の想像」展を観る(前編)

【The Evangelist of Contemporary Art】10年の後―水戸芸術館で「3.11とアーティスト:10年目の想像...

 久しぶりに水戸芸術館(1~3)を訪れた。 久しぶりというのは、ここ2、3年当館で行われる企画展に魅力的なタイトルやテーマ、そして興味深い作品がないと思われたからである。東京から2時間の近さとはいえ、それなりの交通費を払って観たいと欲する展覧会でないと、なかなか触手は動かない。実際に鑑賞していないのでそう断言する資格は...Read More
【The Evangelist of Contemporary Art】最近開催された二つの展覧会をつなぐと見えてくる日本絵画の特殊性(後編)

【The Evangelist of Contemporary Art】最近開催された二つの展覧会をつなぐと見えてくる日本絵画の特殊性(...

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 では、現代の若い画家は、日本に特有の文化的環境に対してどのように振舞っているのだろうか? 本文で取り上げる二つの展覧会のうちのもう一方は、やはり近頃、上野の森美術館で開催されたVOCA展(14)という若手画家(および平面的な作品を制作するアーティスト)の登竜門の展覧会である。そこに出展していた絵画(や平面作品)に注目...Read More
【The Evangelist of Contemporary Art】最近開催された二つの展覧会をつなぐと見えてくる日本絵画の特殊性(前編)

【The Evangelist of Contemporary Art】最近開催された二つの展覧会をつなぐと見えてくる日本絵画の特殊性(...

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 二つの展覧会の一つは、片柳学園 ギャラリー鴻で開催された「表層の冒険 抽象のミュトロギア」(1)である。 モダンアート(とくに絵画)は、不可避的・非対称的・不可逆的にインターナショナルな運動だった。 世界の中心(19~20世紀前半はヨーロッパのパリ、20世紀後半はアメリカのニューヨーク)から、その他の世界の周縁へと様...Read More
【Art News Liminality】アートとセラピー、あるいは変容のエコロジー―「Loop beyond Art 広がる、人と命の輪」をめぐって(予告編)その2

【Art News Liminality】アートとセラピー、あるいは変容のエコロジー―「Loop beyond Art 広がる、人と命の...

その1から続く セキュリティ・ブランケットを根底のテーマに据えて活動する松下誠子は、誰もが生まれながら傷を負っているという自覚から、「病」を人生のなかで捉えようとする。心の質と生命の質が不可分となる感性に訴えかける表現が問い直されることになるだろう。祖母をめぐる記憶と米国日系2世に関連する歴史のリサーチを続ける宮森敬子...Read More
【Art News Liminality】アートとセラピー、あるいは変容のエコロジー―「Loop beyond Art 広がる、人と命の輪」をめぐって(予告編)その1

【Art News Liminality】アートとセラピー、あるいは変容のエコロジー―「Loop beyond Art 広がる、人と命の...

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 「アートで人の輪を広げて、命の輪を繋いでいく」というギャラリストの発想から始まった工房 親(東京都渋谷区)のLOOPプロジェクトは2011年以降、主に都内の病院・クリニックにアート作品をインストールするという活動を行ってきたという。活動の継続10周年を契機として、「Loop beyond Art 広がる、人と命の輪」...Read More
【Art News Liminality】まちとアートの浸透圧―「すみだ向島 EXPO 2020」を歩く その6/6

【Art News Liminality】まちとアートの浸透圧―「すみだ向島 EXPO 2020」を歩く その6/6

 2020年の秋、すみだ向島に現われたアート/まちづくりのニューノーマルとは? 全6回にわたる批評ドキュメント。その6 最終回 コロナ禍を前に、ジョルジョ・アガンベンは行政による例外的な隔離措置に危機感を表明し(*22)、零落しゆく人間関係を憂慮し(*23)、隣人の末梢と集会の中止と同時に進行するデジタル・メッセージの...Read More
【Art News Liminality】まちとアートの浸透圧―「すみだ向島 EXPO 2020」を歩く その5/6

【Art News Liminality】まちとアートの浸透圧―「すみだ向島 EXPO 2020」を歩く その5/6

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 2020年の秋、すみだ向島に現われたアート/まちづくりのニューノーマルとは? 全6回にわたる批評ドキュメント。その5 《The world at home in Mukojima 世界の人々がくつろぐ向島》(スプリー・ティトス)(*19)では、1990年代後半以降の向島とコミュニティアートのかかわりがドキュメントのダ...Read More
【Art News Liminality】まちとアートの浸透圧―「すみだ向島 EXPO 2020」を歩く その4/6

【Art News Liminality】まちとアートの浸透圧―「すみだ向島 EXPO 2020」を歩く その4/6

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 2020年の秋、すみだ向島に現われたアート/まちづくりのニューノーマルとは? 全6回にわたる批評ドキュメント。その4 すべてが計画され、統制され、ほどよく修正されながらも均質化へと突き進む都市のビジョンと風景への実装は、明るくも、どこか冷やかだ。安心・安全な共生へと向かうことで生まれる疎隔と閉塞から、人はどのように新...Read More
【Art News Liminality】まちとアートの浸透圧―「すみだ向島 EXPO 2020」を歩く その3/6

【Art News Liminality】まちとアートの浸透圧―「すみだ向島 EXPO 2020」を歩く その3/6

 2020年の秋、すみだ向島に現われたアート/まちづくりのニューノーマルとは? 全6回にわたる批評ドキュメント。その3 コロナ禍という出来事に直面したまちは、その例外的な状況のなかでコミュニティのあり方を変容させ、再編させ、「隣人」としての他者を招き入れ、ともに暮らすことを迫られている。超高齢化とパンデミックに見舞われ...Read More
【Art News Liminality】まちとアートの浸透圧―「すみだ向島 EXPO 2020」を歩く その2/6

【Art News Liminality】まちとアートの浸透圧―「すみだ向島 EXPO 2020」を歩く その2/6

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 2020年の秋、すみだ向島に現われたアート/まちづくりのニューノーマルとは? 全6回にわたる批評ドキュメント。その2 アーティストプロジェクトでは、所在のない不安と欠落の雰囲気に漂う紐帯への希望を見ることができた。《宿の家》(北川貴好)(*8)は、平屋を「民泊アート」として観客に提供し「宿り主(アーティスト)」の設定...Read More
【Aohitokun's Thoughts】謹賀新年 英語版サイトもオープン!

【Aohitokun's Thoughts】謹賀新年 英語版サイトもオープン!

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 あけましておめでとうございます。 Tokyo Live & Exhibits も昨年9月下旬にスタート、なんとか年を越せました。これもひとえにみなさまの温かいご支援とアクセスのおかげです。あらためて御礼申し上げます。 また、当初の予定通りに英語版サイト Japan Live & Exhibits(https://ww...Read More
【Art News Liminality】まちとアートの浸透圧―「すみだ向島 EXPO 2020」を歩く その1/6

【Art News Liminality】まちとアートの浸透圧―「すみだ向島 EXPO 2020」を歩く その1/6

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 2020年の秋、すみだ向島に現われたアート/まちづくりのニューノーマルとは? 全6回にわたる批評ドキュメント。その1 まちはアートによってどのように姿を変えるのだろうか? 人がアートともにまちに住まうとしたら、どのように?「すみだ向島EXPO 2020」(*1)が、2020年9月12~10月11(日)にかけて東京都墨...Read More
【The Evangelist of Contemporary Art】グローバル・アート・リサーチ — コロナ禍後を見通すためにアートマーケットの直近の歴史(2007年~2017年)を押さえておこう(中編)

【The Evangelist of Contemporary Art】グローバル・アート・リサーチ — コロナ禍後を見通すためにアート...

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(ブログ前編より続く) 現在はベルリンにあるギャラリーPeres Projects(24、25)は、ゲイの偽悪的なサドマゾ的表現でブースを埋めた。ニューヨーク随一の前衛ギャラリーReena Spaulings(26、27)は、コレクターを罵倒する落書き作品を飾った。これらは、現在のフェアではまったく見られないアナーキー...Read More
【The Evangelist of Contemporary Art】グローバル・アート・リサーチ — コロナ禍後を見通すためにアートマーケットの直近の歴史(2007年~2017年)を押さえておこう(前編)

【The Evangelist of Contemporary Art】グローバル・アート・リサーチ — コロナ禍後を見通すためにアート...

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 本テクストは、2017年に行われた私のレクチャーを元にしています。なぜ2020年の現在、このテーマを再考したかというと、当時見えなかった幾つかの重要な変化が明確になってきたからです。これは、端的に今後のアートマーケットの動向を占う縁(よすが)になるでしょう。マーケットなので、あくまでコマーシャリズム(利益中心主義)で...Read More
【Physical Expression Criticism】新しいアートのカタチ オル太『夜明けから夜明けまで』

【Physical Expression Criticism】新しいアートのカタチ オル太『夜明けから夜明けまで』

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夜明けから夜明けまで 現代美術のグループ、オル太が東京の下町で工場を会場にした展覧会を行った。オル太は、2009年に結成された井上徹、川村和秀、斉藤隆文、長谷川義朗、メグ忍者、Jang-Chの6人組の集団(アーティスト・コレクティヴ)で、2011年に岡本太郎現代芸術賞の大賞「岡本太郎賞」を受けるなど、近年、注目された存...Read More
【The Evangelist of Contemporary Art】現代アート考-あいちトリエンナーレ2019を忘れない

【The Evangelist of Contemporary Art】現代アート考-あいちトリエンナーレ2019を忘れない

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 現代アートとは、何だろうか? これは答えるのが難しい質問である。現代アートの作品は収拾がつかなくなるほど多種多様なので、普通ならすべてをまとめて語ることは不可能とされる。だが日本の現代アートは、ざっと俯瞰するだけでも、そこに共通する特徴があるように見える。 アートを包括的に説明する理論として、フロイトの精神分析学的解...Read More
【The Evangelist of Contemporary Art】さいたま国際芸術祭2020を観て―行政アートの顛末(後半)

【The Evangelist of Contemporary Art】さいたま国際芸術祭2020を観て―行政アートの顛末(後半)

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(前半から続く) 作品はあるが、それが中央に対抗して拠って立つローカルの土台がない。これが、さいたま国際芸術祭が図らずも暴露した真実である。この真実を知ることは重要である。さいたまは、ローカルを再構築いやこれまで不在だったのだから構築すべきである。その際、当たり前だが「カッコいい」、「ダサい」の美的基準を中央(東京)に...Read More
【The Evangelist of Contemporary Art】さいたま国際芸術祭2020を観て―行政アートの顛末(前半)

【The Evangelist of Contemporary Art】さいたま国際芸術祭2020を観て―行政アートの顛末(前半)

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5 平川恒太《太陽の民 顔ハメパネル》  さいたま国際芸術祭(1)を一言で語れば、それが「さいたま」を意識すればするほど、ローカル色が薄れていくということである。行政区分のローカル(さいたま市)は、確かに存在する。だが、そのローカルとしての特徴(ローカリティ)はほとんどないように見える。それは、「さいたま」が...Read More
【Physical Expression Criticism】身体の追求

【Physical Expression Criticism】身体の追求

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大橋可也 大橋可也という振付家、ダンサーがいる。コンテンポラリーダンスのなかで、ある種の存在感を持って語られる人物で、大橋可也&ダンサーズというカンパニーを率いている。 大橋は、自衛隊出身でコンピュータ関連の仕事に従事した異色の経歴だ。舞踏の創始者、土方巽 *の弟子、和栗由紀夫に師事し、舞踏由来の身体論を体現している。...Read More
【The Evangelist of Contemporary Art】ヨコハマトリエンナーレ2020とは何だったのか?(その3)

【The Evangelist of Contemporary Art】ヨコハマトリエンナーレ2020とは何だったのか?(その3)

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36 キム・ユンチョル《クロマ》  表層的ではあるものの濃厚な密やかさを体験できたのは、前述した横浜美術館のスペースの半分までだった。それ以降は、タイトル=テーマの「残光」らしき要素も、それから派生する密やかさの雰囲気も消えてしまった。タイトルのサブテーマとなるようなキーワードは、各スペースに並べられた作品を...Read More
【Art News Liminality】明治神宮の静かな100年祭―「神宮の杜芸術祝祭」と宝物の間から(その2)

【Art News Liminality】明治神宮の静かな100年祭―「神宮の杜芸術祝祭」と宝物の間から(その2)

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 明治神宮の静かな100年祭―「神宮の杜芸術祝祭」と宝物の間から(その1)の続き。 コンセプチュアルなフレームの解釈とともに構成される黄金の屏風《八咫烏》(天明屋 尚)や森の風景に人々の集いへの想いを白銀/緑青とポジティブ/ネガティブの反転とともに示す二幅対の衝立《Mirage#50》(能篠雅由)は、世界の美の歴史が明...Read More
【The Evangelist of Contemporary Art】ヨコハマトリエンナーレ2020とは何だったのか?(その2-2)

【The Evangelist of Contemporary Art】ヨコハマトリエンナーレ2020とは何だったのか?(その2-2)

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24 レヌ・サヴァント《ミリャでの数カ月》2-2(2-1からの続き) ここで是非とも強調しておかなければならないのは、雰囲気が密やかとはいえ何も起こらない平穏な現実ではないということである。いや、それどころかカタストロフィが起こる前であったり後であったりしている。それだけではない。制作の最中にコンフリクトを抱える題材も...Read More
【Art News Liminality】明治神宮の静かな100年祭―「神宮の杜芸術祝祭」と宝物の間から(その1)

【Art News Liminality】明治神宮の静かな100年祭―「神宮の杜芸術祝祭」と宝物の間から(その1)

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文化庁・日本博事業 関連掲示宇都志岐青人草(うつくしきあをひとくさ)―応神記[1] 「神宮の杜芸術祝祭」(芸術監督・山口裕美)が明治神宮を舞台に開催されている。明治神宮の創建100年を言祝ぐ日本人の自然観を体現する芸術や文化のフェスティバルだという。「天空海闊(てんくうかいかつ)」(2020年3月20日~12月13日)...Read More
【The Evangelist of Contemporary Art】ヨコハマトリエンナーレ2020とは何だったのか?(その2-1)

【The Evangelist of Contemporary Art】ヨコハマトリエンナーレ2020とは何だったのか?(その2-1)

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2. 今回のトリエンナーレは、一つの線に沿って辿ることのできる構成だった。二つのメイン会場のうち横浜美術館がより中心の展示場であり、さらに横浜美術館のスペースは、あたかも一方向の順路があるかのように作品が配置されていたからだ。またプロット48も、入口に近い南棟から奥の北棟へと観覧者の動線を引くことができる。 だが、残念...Read More
【The Evangelist of Contemporary Art】ヨコハマトリエンナーレ2020とは何だったのか?(その1)

【The Evangelist of Contemporary Art】ヨコハマトリエンナーレ2020とは何だったのか?(その1)

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1. ヨコハマトリエンナーレ2020は、新型コロナウイルスのパンデミック下で開催された数少ない国際展の一つ(私の知るかぎり、ヨコハマトリエンナーレ以外にシドニー・ビエンナーレ、マニフェスタ〔マルセイユ〕、ベルリン・ビエンナーレ、釜山ビエンナーレがある)である。自由に海外渡航できない不測の事態(実際、上記のビエンナーレを...Read More