W'UP★6月3日~9月6日 テート美術館-YBA&BEYOND 世界を変えた90s英国アート 京都市京セラ美術館(京都市左京区)

テート美術館-YBA&BEYOND 世界を変えた90s英国アート
会 期 2026年6月3日(水)~9月6日(日) 84日間
会 場 京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124)
開場時間 10:00~18:00(入場は閉場30分前まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は開館)
入館料 一般 2,300円(2,100円)、大学生 1,500円(1,300円)、高校生 900円(700円)、中学生以下 無料
※中学生以下入場無料(未就学児は要保護者同伴)
※()は20名以上の団体料金
※専門学生は大学生料金で入場可能
※学生料金でご入場の方は学生証のご提示をお願いいたします
※障害者手帳等をご提示の方は本人及び介護者1名無料(障害者手帳等確認できるものをご持参ください)
公式ホームページ https://www.ybabeyond.jp/
本展は、テート美術館が所蔵する同館のコレクションを中心に、1990年代の英国美術の革新的な創作の軌跡を多角的に紹介します。
50名を超える作家による約90点を通して、この時代のクリエイティブな熱狂がいかに世界のアートシーンに決定的な影響を与えたかを検証するこれまでにない画期的な内容です。
出展作品は多岐に渡り、ダミアン・ハースト、トレイシー・エミン、ヴォルフガング・ティルマンスなど、サッチャー政権時代を経て緊張感漂う英国社会で登場した実験的な作家たちの作品を一堂にご覧いただけます。
大衆文化、個人的な物語や社会構造の変化などをテーマとし、絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションなど多様な手法を用いた独創的な作品の数々をご紹介します。
1988年8月、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで学んでいたダミアン・ハーストは、ロンドン東部の倉庫街で学生や卒業生の作品を発表する展覧会「フリーズ」展を企画しました。ハーストや同世代の作家たちは、全く新しい視点で素材を選び、制作し、発表の機会を積極的に開拓していったのです。1992年に『アート・フォーラム』誌上で美術史家のマイケル・コリスは彼らを「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)」と呼び、サーチ・ギャラリーで開催された同名の展覧会によりYBAという言葉は一般に広がっていきました。YBAの作家たちの自由な活動によって、90年代の英国のアートシーンは世界的な注目を集めるようになったのです。
- コーネリア・パーカー《コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ》 1991年 テート美術館蔵 Photo: Tate © Cornelia Parker. Courtesy Frith Street Gallery, London
- ヴォルフガング・ティルマンス 《ザ・コック( キス) 》 2002年 テート美術館蔵 © Wolfgang Tillmans, Courtesy of Maureen Paley, London; Galerie Buchholz; David Zwirner, New York
- ダミアン・ハースト《後天的な回避不能》1991年 テート美術館蔵 Photographed by Prudence Cuming Associates © Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved, DACS & JASPAR 2026 G4170
- ジリアン・ウェアリング《ダンシング・イン・ペッカム》 1994年 ⓒ Gillian Wearing, courtesy Maureen Paley, London; Regen Projects, Los Angeles and Tanya Bonakdar, New York
- ジェレミー・デラー《世界の歴史》 1997-2004年、テート美術館所蔵 Photo: Tate © Jeremy Deller
- トレイシー・エミン《なぜ私はダンサーにならなかったのか》 1995年、テート美術館所蔵 © Tracey Emin
- デレク・ジャーマン《運動失調―エイズは楽しい》 1993年、テート美術館所蔵 Photo: Tate ⓒ The estate of Derek Jarman. Courtesy of The Keith Collins Will Trust
- サラ・ルーカス《煙草のおっぱい(理想化された喫煙者の椅子Ⅱ)》 1999年、テート美術館所蔵 ⓒ Sarah Lucas. Courtesy Sadie Coles HQ, London
- マイケル・クレイグ=マーティン《知ること》 1996年、テート美術館所蔵 ⓒ Michael Craig-Martin. Courtesy the artist and Gagosian
テート美術館とは
テート美術館は、英国を代表する国立美術館のひとつであり、英国政府が所有する1500年以降の英国美術、および世界各地の近現代美術のコレクションを収集・保存・公開しています。国内には4つの美術館を展開しており、その第一の拠点であるテート・ブリテンは、ロンドンのミルバンクに位置し、1897年の開館以来、英国美術のナショナル・コレクションの本拠地となっています。最大規模を誇るテート・モダンは、ロンドン中心部のテムズ川沿いにある旧発電所を再利用し、2000年に開館しました。近現代美術を専門とする美術館としては、世界で最も多くの来館者を誇る施設です。
- テート・ブリテン Photo © Tate
- テート・モダン Photo © Tate
序章 フランシス・ベーコンからブリットポップへ
20世紀美術史において最も著名な画家の一人、フランシス・ベーコン(1909-92年)は生涯を通じて肉体の表現を徹底して追究し、暴力、苦痛、むき出しの感情で満たされたイメージを創造しました。東西冷戦の終焉という混迷の時代に、人間の姿をより明確に、よりさらに激しく表現しようとした晩年の作品は、1990年代英国の新世代アーティストたちに深くインスピレーションを与えています。不都合な真実に向き合い、人間存在の暗部を掘り下げようとするベーコンの姿勢に影響を受け、かつてないほど強く率直な感情表現を伴って作品制作への様々なアプローチを開拓しようとした当時のアーティストたちの意思こそ、本展の核心を貫くものです。
第1章 ブロークン・イングリッシュ:ニュージェネレーションの登場
サッチャー首相が推し進めた自由市場経済と個人主義に基づく社会再建の中で格差が拡大し、多くの人々が職を失いました。そうした時代に新世代のアーティストたちは、アイデンティティや社会における自身の存在の位置づけ、地域の共同体のあり方が揺らぎ続けることを創作のテーマに据え始めます。1988年にロンドン東部の廃倉庫で開かれたグループ展「フリーズ」はYBAのムーブメントの起点となり、伝統的なギャラリー空間からの決別を象徴的に示すひとつの宣言でもありました。また1989年のヘイワード・ギャラリーでの「ジ・アザー・ストーリー」展は周縁化されていた英国のアーティストに注目し、多文化社会において「英国らしさ」という伝統的な概念に揺さぶりをかけたのです。
第2章 おおぐま座:都市のイメージをつなぐ
英国の伝統的な製造業は1990年代初頭までに衰退し、経済不況によって未完成のビルや空き店舗、廃墟と化した建設現場が都市の至る所で目立つようになっていきました。芸術への公的支援が極めて少なかった当時、こうした都市の打ち捨てられた周縁部は安価なスタジオや展示の機会を探す若いアーティストたちにとって予期せぬ創造の場となっています。打ち捨てられた物や空間に目を向けながら都市の新しいイメージが生まれる社会的・地理的な経験を探究したアーティストたちは、地域社会のアイデンティティを侵食する社会的・経済的な変化に批判的なまなざしを向け、都市に広がるメランコリーや人々の疎外感を表現しました。
第3章 あの瞬間を共有する:音楽、サブカルチャー、ファッション
1990年代の英国では、美術、広告、ファッション、音楽の各業界が新しく多様な形で互いに関係を作り上げるようになっていました。ブリットポップやレイヴ・カルチャーの隆盛、『i-D』『ザ・フェイス』などの誌面を彩ったストリート・ファッションやウエストウッド、マックイーン、ガリアーノらによるオートクチュールが、ユース・カルチャーや大衆文化、セレブリティの概念を更新していきます。アーティストたちは芸術の伝統的な枠組みを打ち破るために音楽の開放的な力に積極的に関わり、作品を通して、急速に変化する政治や社会の中でかけがえのない瞬間や人間同士のつながりを大切にする価値観を共有しました。
スポットライト なぜ私はダンサーにならなかったのか
トレイシー・エミンによる自伝的ビデオ作品。映像の前半では育った海辺のリゾート地マーゲイトの風景が映し出され、ティーンエイジャーだった頃の苦しみを語っています。後半ではシルヴェスターのヒット曲「ユー・メイク・ミー・フィール(マイティ・リアル)」(1978年)に合わせて楽しそうに踊り出し、それは過去の苦い経験への勝利を示すものです。これまで語る手段がなかった女性たちの存在に光を当てようとするフェミニズムの課題と共鳴し、時に社会の中で自らの尊厳が脅かされがちな思春期の女性たちにとって多くの共感を呼ぶ作品となっています。
第4章 現代医学
1990年に開催されたグループ展「現代医学」展は、アーティストが芸術・人間らしさ・身体と心の複雑な関係と向き合った画期的な出来事として英国美術史においてよく言及される展覧会です。医学や科学とその倫理的ジレンマに関心を抱いたアーティストたちは、解剖学・病・メンタルヘルスから苦痛や錯乱状態にある身体に至るまでの主題に取り組み、その作品は私たちの感覚・思考・想像を揺るがす力を発揮しました。HIV/エイズ危機が恐怖とスティグマをもたらす中、当時の英国の性に関する政治性を定義するにあたって中心的な役割を果たしたアーティストたちの作品がここに集います。
第5章 家という個人的空間
90年代の英国アーティストたちは、家族・家庭のあり方・家にまつわる慣習的な表象に挑戦しました。消費主義社会や中流階級の願望に応答するように、家庭生活の荒々しく混沌とした現実を展示空間に再現し、日用品を作品素材として提示することで個人的空間が価値観を形作る過程を人々に問い直しています。皮肉とユーモアを交えジェンダー・ロールやメディアのステレオタイプを批判したアーティストがいる一方、急速に変わる社会の中で都市再開発により消失する生活空間の証として、慎ましいオブジェが新しい彫刻として生まれ変わることに関心を向けたアーティストもいました。
スポットライト コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ
日常的に目にするものを大量に集め、時に変形させ、天井から吊るす彫刻作品で知られるコーネリア・パーカーの初期の代表作の原題「An Exploded View」は「爆発の光景」と「分解図」の二つの意味を兼ねています。英国陸軍に頼んで実際に爆破した庭の物置小屋の残骸を天井から吊るし、中央に電球を設置した本作は、小屋の断片が空間に浮遊しているように見え、爆発の瞬間を切り取ったかのようなイメージを作り出しています。作品はまさにその爆発の過程を経て生まれる新たな世界のイメージでもあり、重力から解放された「彫刻」で破壊と創造を同時に達成しています。
第6章 なんでもないものから何かが生まれる:身近にあるもの
1990年代の多くのアーティストは、安価で手に入りやすく、それ以前は芸術作品の制作に適さないと考えられていた日用品を素材として採用するようになりました。現実の経験から離れすぎた1980年代のコンセプチュアル・アートへの反動でもあったこの実践は、通常見過ごされたり日常生活の中に溶け込んでしまったりするものに対する人々の意識を刷新する力を持っています。最もささやかな介入によって最も大きなインパクトを与えることができるというアーティストの考察を体現した、「出来事や社会的な空間としての芸術」がここに集まっています。
スポットライト 王国への入り口
ロンドン・シティ空港の到着ゲートから人々が出てくる様子をスローモーションで捉えたマーク・ウォリンジャーの映像作品(2000年)。イタリア・ルネサンス期の作曲家グレゴリオ・アレグリが旧約聖書詩篇第51篇をもとに作曲した合唱曲「ミゼレーレ」が添えられ、神に慈悲を求めるその歌詞は空港の厳しいセキュリティチェックにおいて入国しようとする人たちの希望や不安に共鳴しています。制作から四半世紀が経ち、国際政治の舞台で大きな分断が進む状況下で、アイデンティティと帰属への考察を改めて促す重要な意義を持つ作品です。
特別上映会
公開から40周年を迎えるブラック・オーディオ・フィルム・コレクティヴ〈ハンズワースの歌〉を特別に劇場上映します。英国社会で人種的平等に対する意識変容を促した80年代後半のドキュメンタリー映像を、ぜひ劇場でご鑑賞ください。
日時 7月5日(日)
第1回上映 13:30 ~14:35
第2回上映 15:00 ~16:05
第3回上映 16:30 ~17:35
会場 アップリンク京都(京都市中京区「新風館」B1F)
※上映会会場は美術館と別会場です。ご注意ください。
※参加無料、いずれも本展の観覧券が必要(半券可)
※イベントの詳細や参加方法、このほかのイベント情報は、展覧会公式サイトでお知らせします。
同時開催
Vol.01 アオイシモン「COMIC WORLD」2026年7月25日(土)~8月9日(日)
Vol.02 皆藤齋「翅の座標、毛の格子」2026年8月13日(木)~8月30日(日)
会 場 京都市京セラ美術館 多目的室(B1F)(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
開館時間 10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は開館)
入館料 無料
ホームページ https://www.ybabeyond.jp/
「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」の会期に合わせて、展覧会「from YBA to YJA」を、京都市京セラ美術館 多目的室(B1階)にて開催します。
“YBA(Young British Artists)”が体現したのは、権威や様式にとらわれず、既存の美術の枠組みを問い直し、大衆文化や個人的な物語、社会構造の変化を主題に据えた姿勢でした。「from YBA to YJA」では、その精神を90年代英国という文脈から切り離し、まったく異なる土壌 - 日本のサブカルチャーやインターネット文化のなかで育った、いまの若い作家たちの実践に重ね合わせます。
取り上げるのは、性別や見た目に縛られない独自のキャラクターを通して、均質化した社会の中で揺らぐ個人のあり方を問い続けるアオイシモンと、身体・欲望・孤独を私的な神話として絵画化する皆藤齋の2名です。複雑に交差する現代の価値観のあいだで、それぞれ異なる方法で、独自の表現を探求している両名の作品にご注目ください。
アオイシモン AOISIMON
大分県別府市で育ち、幼い頃から漫画家を志し、10代を通して新人賞への投稿を重ねる。19歳で少年誌の新人賞佳作を受賞するも、21歳で漫画家としての道を一度手放し、22歳の頃、現在まで続く代表作「エイリアンちゃん」にたどり着いた。現在は福岡を拠点に活動。
「エイリアンちゃん」は、人種も国籍も性別も持たない、それでいて誰もが直感的にそれと分かる存在として着想された。個人的な体験や心情を映し出すためではなく、説明を要さずに共有できる存在であることを、アオイシモンは意図的に選び取っている。「異質なもの」を意味する「エイリアン」という言葉のとおり、社会の中で疎外感を抱く者の似姿としても読めるが、長い睫毛や大きな瞳、個性的な装いによって、その異質さはむしろ魅力として立ち現れる。他者性は排除されるものではなく、肯定され、新たな出会いを呼び込むきっかけとして描かれている。
藤子・F・不二雄や手塚治虫の丸みを帯びたフォルム、サンリオやディズニーのキャラクター文化、ストリートアートの参照が重なり合う画面には、漫画とアートとストリートがすでに同じ土壌の上に共存する世代の感覚が息づいている。幼少期に父親と映画や漫画に親しんだ大分での日々を土壌に、近年は公園や商業施設、フェスティバルといった人々が行き交う場へと発表の場を広げ、平面の世界に立体や空間演出という奥行きを与えつつある。
https://www.instagram.com/s.simon000/
皆藤齋 KAITO Itsuki
1993年北海道札幌生まれ。
在学中より第一期・第二期クマ財団奨学生、2017年にはCAF賞ノミネート、2019年には京都市立芸術大学大学院を修了後、現在は東京を拠点に活動。北京、上海、ソウル、香港、ロンドン、チューリッヒなど、国内外で個展・グループ展を開催。
皆藤齋の油彩画には、毛に覆われ、マスクを被り、全身スーツを纏った人物が現れる。人間のような動物のような存在は、怪しげな雰囲気を漂いながらどこか親密な雰囲気も醸しだしている。皆藤にとって「人間である」ことは、他者に対して社会の一員であることを示す、一種の選択にほかならず、全身を覆うスーツはそのメタファーであり、傷つきやすい内側を晒さずとも他者と円滑につながるための術でもある。しかしその内側にある、他者には隠された部分を見つめ続けることでしか、人間であることの意味は保てない。また他者を自らのうちに受け入れるということは、危うさをはらんだ営みでもあるが、そうした損得を超えた有機的な結びつきの可能性――たとえそれが痛みを伴うものであっても――にこそ、人間らしい想像力の源があると考える。
作家が一貫して関心を寄せているのは、生産性や合理性から外れた行為ほど、かえってその人らしさを浮かび上がらせるという逆説だ。神話や博物館の収蔵品といった、人類が積み重ねてきた「意味のシステム」を参照しながら、自身の経験や心理を一種の私的神話として再構築し、それを絵画へと置き換えていく。そこに描かれるのは、個人の内なる欲望と、他者と共に生きる社会的な生との間で揺れ動く、誰もが抱えうる葛藤である。
https://www.instagram.com/kaito_itsuki/
アクセス
JR・近鉄・地下鉄「京都駅」から市バスA1のりば5系統「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ。
阪急「京都河原町駅」から市バスEのりば46系統「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ。
京阪「三条駅」から市バスDのりば5系統「岡崎公園 美術館·平安神宮前」下車すぐ。
地下鉄東西線「東山駅」より徒歩約8分。京阪「三条駅」、地下鉄東西線「三条京阪駅」より徒歩約16分。
※滋賀方面からお越しの方は、京阪・JR・地下鉄東西線「山科駅」から地下鉄東西線「東山駅」へのお越しかが便利です。
W'UP★7月18日~9月23日 KUNIYOSHI IMMERSIVE ART in 歌川国芳展 京都市京セラ美術館(京都市左京区)














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