W'UP! ★10月5日~10月27日 三田村光土里個展「20世紀のかけら」 Yu Harada(新宿区住吉町)
三田村光土里個展「20世紀のかけら」
会 場 Yu Harada(東京都新宿区住吉町10-10)
開催日 2024年10月5日(土)~10月27日(日)
開廊時間 木〜日 13:00〜19:00
休廊日 月、火、水
入場料 無料
ホームページ https://www.yuharada.com/exhibitions/midori-mitamura-solo-exhibition-fragments-of-the-20th-century
Opening Reception 10月5日(土) 17:00〜20:00
20世紀のかけら - Fragments of the 20th Century
昨年、オーストラリアのリサイクルショップで一冊のとても重くて分厚い本を買った。
“Chronicle of the 20th Century”と題されたその本は、20世紀の主要な出来事を大量の報道写真とともに総集した年表事典で、20世紀終盤にいくつかの国で出版された。
この本をもとに小作品をつくろうと日本に持ち帰り、8月に入って改めて本を開いた。
すると中表紙に、父親の60歳の誕生日を祝う子供たちからの手書きのメッセージを見つけた。2000年3月28日と日付が添えられ、1940年のページをめくってみると、惨たらしい写真の数々が目に飛び込んだ。
100年分のトピックを一冊に編集すれば、戦争や殺戮、惨事ばかりが誌面を占める。
人の世の非情、それを繰り返す歴史の無情が、今も終わらない戦争や原爆の日、終戦の日とも重なり気が滅入った。制作の苦闘など些末なことだが、歴史と向き合うのが簡単であってはならない。わたしも今月、この本が贈られた主とおなじく60歳を迎える。ならばこの節目の夏に、思い切り足掻いてみようと決めた。
記事や写真を眺めても、知り得るのは史実のかけらにも満たないし真実にも近づけないだろう。それでも、そこに集められた20世紀の僅かな断片を古びた小物や端材にそっとはめ込んでみる。すると、歴史に堆積する記憶は、本の中でなく生きている私たちのそこここに、言葉にならないまま静かに宿って見える。
2024年8月 三田村光土里
コメント