W'UP!★12月7日~12月26日 hi-dutch solo exhibition “little by little” SAI(渋谷区神宮前)
hi-dutch solo exhibition “little by little”
会 場 SAI (東京都渋谷区神宮前 6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F)
開催日 2024年12月7日(土)~12月26日(木)
営業時間 11:00〜20:00
入場料 無料
ホームページ https://www.saiart.jp/
海洋ごみや廃材、木材、毛糸といった様々なマテリアルを用いて独自のアートを生み出す hi-dutch。サーフボード修理で培ったリペア技術を応用し、廃棄物と自然素材を組み合わせた手法で、マテリアルに新たな命を吹き込み、私たちに素材の意味や価値について再考を促します。また、彼は国内のみならず、アメリカ、香港、台湾、オーストラリアでのグループ展に参加し、チャリティーオークションや海岸環境保護団体への寄付を通じて、作家独自の軸を持った活動で注目を集めています。5年ぶりの個展となる本展は、作家本人にとって過去最大の集大成であり、現在の心境や時代を反映した 60 点以上の新作が SAI の空間を彩ります。
自身と縁の深い海をモチーフに作品を発表してきた hi-dutch は、毛糸や海のごみを木材に貼り付け、樹脂でコーティングして磨き上げる技法で知られています。樹脂に包まれた木の温もりと毛糸の優しさが調和し、作家の手によってマテリアルの新しい顔が浮かび上がる様子は、一度忘れ去られた記憶が再び伻るかのように、素材の本質や過去に触れる感覚を私たちに想起させます。10 代の頃からサーフィン文化に親しんできた作家は、自宅で忘れ去られていた毛糸に目を留めたことをきっかけに、サーフショップでのサーフボード修理で培ったレジンや樹脂を用いたリペア技術を活かし、毛糸や海のプラスチックごみ、流木を再利用したアート作品を制作し始めました。ものとしての情報を失い、イメージやアイデンティティが曖昧になったマテリアルが、作品制作の過程で素材としての意味を取り戻していく姿は、私たちと素材との純粋な関係を思い起こさせます。世代を超える普遍的なノスタルジーを喚起させるモチーフにかたどられた木材に糸を有機的に重ねることで、素材と観る者の私的な記憶が交錯します。
本展のタイトルである「little by little」は、小さな一歩一歩の積み重ねによって、全体の進歩や変化を少しずつ実現していくという作家の制作マインドを体現しています。インターネットを通じて情報が爆発的なスピードで拡散する一方で、実際に物事が進むスピードは昔と変わらず、日常は少しずつゆっくりと積み重ねられていきます。アーティストの代表的なシリーズである、海に捨てられた既製品や大量生産品の欠片を飲み込んだ魚のように、かつての人間的な意味合いから離れた海洋ゴミは、マテリアルとして境界のない海に漂流し、作品の素材として新たな意味を与えられ、いくどにも重なる糸のように新たな繋がりを形成していきます。言葉を介さない人間や動物のコミュニケーション、歳を重ねるごとに纏うオーラ、樹木の成長や海を取り巻く環境などに目を向け、作家は一本ずつ丁寧に毛糸を並べることで、人の営みの中に広がる普遍的な側面に注目し、時代や場所、文化の垣根を超えて共通する不変性を模索します。綴られた糸のリズムは、どこまでも繊細で、まるで宇宙の起源を丹念にたぐり寄せるように見え、観る者の心を静謐でおだやかな世界へと誘います。
海の空間、木の空間、飼い猫からインスピレーションを得た猫の空間、友好関係の深いアーティストとのコラボレーションの空間。4つの空間で構成された本展は、作家の世界観への没入を仰ぎ、作品にじっくりと向き合うことができる空間を構築します。また会場では、作家の飼い猫をモチーフにしたメディコム・トイとのコラボレーションクッションをはじめ、Tシャツやステッカーなどのオリジナルグッズも販売されます。あたたかな生命力が奏でる hi-dutch の世界に、ぜひ足をお運びください。
* 海洋ごみを食べた魚をモチーフにしたシリーズ作品の売上の 10%は、沿岸環境保護団体であるサーフライダー基金に寄付されます。
hi-dutch ( ハイダッチ )
サーフボードのリペア技術を生かし、自身と関わりの深い海をモチーフとした作品を制作。木材に毛糸を貼りつけ、樹脂コーティングの後に研磨する手法を用いている。波を円形で表現した代表的な作品から、近年は海以外に人や動 物、記号などをかたどった作品も発表している。これまでの個展 “yesterday . today .
tomorrow” by hi-dutch(GALLERY TARGET、東京、2019)、"Red & Green"(mooseyart、London、2024)など。日本をはじめ、アメリカや香港、台湾、オーストラリアでのグループ展に参加し、作品発表だけでなく店内装飾なども手がけている。また、チャリティー・オークションやサーフライダーファンデーションに寄付し、様々な立場で制作に関わる活動を精力的に続けている。
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