W'UP!★9月30日~11月5日 多田圭佑個展「Rhizomed Material」 Gallery COMMON(渋谷区神宮前)

W'UP!★9月30日~11月5日 多田圭佑個展「Rhizomed Material」 Gallery COMMON(渋谷区神宮前)
 
Keisuke Tada. trace / dimension #52. 2023. Acrylic, oil paint, wooden panel, cotton cloth
162 x 130.3 cm. Photo by Arito Nishiki. Courtesy of Gallery COMMON.

2023年9月30日(土)~11月5日(日)
多田圭佑個展「Rhizomed Material」

 Gallery COMMONとMAKI Galleryはこのたび、愛知県を拠点に活動するアーティスト、多田圭佑の個展を両ギャラリーにて同時開催いたします。9月30日(土)より、Gallery COMMONでは「Rhizomed Material」、MAKI Gallery / 表参道では「Phantom Emotion」を開催いたします。両展合わせて約100点を超える新作のペインティングによって構成されるこのプロジェクトは、多田にとってこれまでで最も大規模な展示となります。
 バーチャル空間の体験や特殊造形をはじめとした、仮構世界を横断する経験からインスピレーションを受けた多田は、仮想空間と現実空間における時間と物質の捉え方を探求し、デジタル時代における現実の不確かさに直面させます。

作品画像
Keisuke Tada. trace / wood #85. 2023. Acrylic, oil paint, wooden panel, cotton cloth 162 x 130.3 cm. Photo by Arito Nishiki. Courtesy of Gallery COMMON.

 バーチャル空間ーー私たちがスクリーンやデバイスを通してしかアクセスできない別世界ーーは、物理法則から自由な次元です。私たちは空間と時間を迂回して、いつでも好きな時に好きなバーチャル空間に入ることができます。また、ビデオゲームやメタバースの中では、物理的な世界には存在しえない仮想現実を作り出すこともできます。それは、かつてユートピアや天国と呼ばれたような、無限に広がる完全な自由の領域のようにも思われます。
 仮想現実、特にビデオゲームに見られるような空想的なそれに関する大きなパラドックスは、その世界の中では物質的な現実の限界を超越することはできても、実世界においては物理的に不可能で、永遠に手の届かない存在であり続ける運命にあるということです。バーチャルな環境とフィジカルな環境を行き来することは、本質的には形而上学的な行為であると言えます。
 このような実践を続けていると、やがて「現実とは何か?そして、存在するとはどういうことなのか?」という問いに向き合わざるをえなくなるでしょう。こうした問いが多田圭佑の実践の原動力であり、「RhizomedMaterial」の作品の根底にあるテーマです。

作品画像
Keisuke Tada. trace / dimension #50. 2023. Acrylic, oil paint, wooden panel, cotton cloth 162 x 130.3 cm. Photo by Arito Nishiki. Courtesy of Gallery COMMON.


 本展では、多田の「trace/dimension」シリーズの続編が展示されます。タイルや木製の床板、金属製の引き出しや鎖などがグリッチ状に組み合わさって見える多田の立体的な作品は、実際にはアクリル絵具のみによって作られています。これらのありふれたモノたちは、多田が頻繁に訪れるCGIの世界にしばしば登場します。
 そこでは、たとえば錆びた鎖や割れたパネルなど、外見上は朽ち果てているように見えるにもかかわらず、それらは不滅のままであり、時間を超越した仮想現実の永遠の中に宙吊りにされたままとなっています。「バーチャル空間、実世界とは違う組成で作られたものであることは言うまでもない。そしてこの世界は地球の重力や時間の影響を受けないのだ。
 そこでは、存在することそのものが浮遊しているかのように感じられる。この存在していると言うべきか、していないと言うべきか、その不確かなあり方を表現したいと思い制作し始めた作品だ。」と多田は述べています。

作品画像
Keisuke Tada. trace / dimension #50. 2023. Acrylic, oil paint, wooden panel, cotton cloth 162 x 130.3 cm. Photo by Arito Nishiki. Courtesy of Gallery COMMON.


 「『画面の奥に広がる空間』を無限と仮定すると、バーチャル空間上のものやイメージをフィジカル化するのは、物質的有限の世界へ変換することになりますので、いつかは朽ちて無くなるでしょう。私のやりたいことは、端的に言ってしまうと存在、非存在のあわいを探ることなので、私の作品は生の状態、死の状態、両方の側面を持っている状態にしたいと思っているのです。」

 本展のタイトル「Rhizomed Material」は、フランスの理論家ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリが提唱した哲学用語「リゾーム(根茎)」にちなんだものです。彼らは植物の構造を用いて、非線形的なネットワーク型の思考の概念を提示しました。それ以前に考えられていた階層的でツリー型の方法論とは異なり、彼らは物事を根茎のように、「始まりも終点もない、いつも中間、もののあいだ、存在のあいだ、間奏曲intermezzoなのだ」と捉えていたのです。仮想現実内に存在するモノを物理的な世界に無理やり引きずり込むことで、多田はその存在の根源がどこにあるのかを私たちに反芻させます。おそらくその根はある一点ではなく、ドゥルーズとガタリが言うように、始まりも終わりもない根茎なのでしょう。
 そして「真の」存在とは、「ある」「ない」の二元論ではなく、私たちの相互に絡まり合った世界を構成するすべての境界、中間的な空間によって定義されるものなのかもしれません。

作品画像
Keisuke Tada. trace / dimension #53. 2023. Acrylic, oil paint, wooden panel, cotton cloth 162 x 130.3 cm. Photo by Arito Nishiki. Courtesy of Gallery COMMON.

多田圭佑 ただ けいすけ
 1986年愛知県名古屋市生まれ。現在も愛知県を拠点に活動するアーティスト・多田圭佑は、2010年に愛知県立芸術大学美術学部油画専攻を卒業後、2012年には同大学大学院にて修士号を取得しています。ゲームをはじめ、バーチャル世界が提供する知覚体験に関心を寄せる多田は、作品を通して現実と虚構の曖昧な境界線を表現しています。木材や鎖、タイルなどを用いたアッサンブラージュのような「trace / dimension」シリーズ、精巧に再現したアンティーク調の門扉を斧で破壊する「Heaven’s Door」シリーズ——そのすべては絵の具で作られた造形物です。「残欠の絵画」シリーズでは、ヨーロッパの古典絵画になぞらえた作品の表面をエイジングすることで捏造の時間を創り上げています。“在ることと無いことのせめぎ合い”をテーマに立体的要素を含む多田 の作品は、これまでにない新しい絵画を追求しているのです。
主な個展は「Traffic」MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERY(東京、2022年)、「Beautiful Dream」MAHO KUBOTA GALLERY(東京、2020年)、「CHANGELING」rin art association(群馬、2020年)、「BORDER」CAPSULE(東京、2018年)がある他、日本各地や香港 で様々なグループ展に参加しています。

ポートレイト
Photo by Daisuke Omori. Courtesy of the artist.

多田圭佑 同時開催個展(Gallery COMMON、MAKI Gallery)
Gallery COMMON「Rhizomed Material」
会 期 2023年9月30日(土)〜11月5日(日)
営業時間 12:00〜19:00
会 場 Gallery COMMON(東京都渋谷区神宮前5-39-6 B1F)
定休日 月・火
http://www.gallerycommon.com
※オープニングレセプション 2023年9月29日(金)19:00~21:00 @ Gallery COMMON

W’UP★9月30日~11月8日 多田圭佑個展「Phantom Emotion」 MAKI Gallery(渋谷区神宮前)

Gallery COMMON(渋谷区明治神宮前)

住所東京都渋谷区明治神宮前5-39-6 B1F
TEL03-6427-3827
WEBhttp://www.gallerycommon.com/
営業時間*112:00~19:00
休み*2月、火
ジャンル*3現代美術
アクセス*4表参道駅A1出口より徒歩約6分、明治神宮前駅7番出口より徒歩約8分、渋谷駅B7出口より徒歩約9分、原宿駅東口より徒歩約12分
取扱作家 
*1 展覧会・イベント最終日は早く終了する場合あり *2 このほかに年末年始・臨時休業あり *3 現代美術は、彫刻、インスタレーション、ミクストメディア作品、オブジェなども含まれます *4 表示時間はあくまでも目安です 【注】ギャラリーは入場無料ですが、イベントにより料金がかかる場合があります

情報掲載について

当サイトへの掲載は一切無料です。こちらからご登録できます。https://tokyo-live-exhibits.com/about_information_post/

コメント

*
*
* (公開されません)