コロナ対策のため休館、営業時間の変更、または事前予約が必要な場合があります。ご来場の際は必ずご確認ください。

W'UP! ★ 6月5日~8月7日 中村一美 Blum & Poe

W'UP! ★ 6月5日~8月7日 中村一美 Blum & Poe
中村一美「示差性の桑」1986年 Acrylic on paper 19
5/8 x 13 inches (49.7 x 33 centimeters)© Kazumi Nakamura,
Courtesy of the artist, Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

2021年6月5日(土)~8月7日(土)
中村一美

中村一美 「織桑鳥」2003年 Watercolor and gouache on paper 16
1/4 x 12 1/2 inches (41.3 x 31.7 centimeters)
© Kazumi Nakamura, Courtesy of the artist, Blum & Poe,
Los Angeles/New York/Tokyo

 

中村一美「存在の鳥」2005年 Watercolor and gouache on paper 17
3/4 x 14 5/8 inches (45 x 37.2 centimeters)© Kazumi Nakamura,
Courtesy of the artist, Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

 

中村一美「存在の鳥」2005年 Watercolor and acrylic on paper17
3/4 x 14 5/8 inches (45 x 37.2 centimeters) © Kazumi Nakamura,
Courtesy of the artist, Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

 

 本展では、これまでほぼ未公開となっていた紙を支持体とする「絵画作品」と1980年以降継続して取り組んできたキャンバス作品のシリーズ群を同時に紹介いたします。本展では並列的な展示構成によって作品の中に新たな対話を生み出し、中村がその作品群におけるコンポジションを構築する上で、どのようにして連続的で反復的な方法論が用いられてきたのかを明らかにしていきます。また、制作日が記された紙作品の多くからは、作家の日々の制作における心理を反映した記録的な側面をうかがい知ることができるでしょう。
 中村は、シリーズ中の複数の作品の間に生じるバリエーションや差異を「示差的イメージ」と提唱した作家です。決まったモチーフに繰り返し描くその手法は、アメリカやヨーロッパで新表現主義が花開き、日本ではニュー・ペインティングが台頭する中で生まれました。アメリカのモダニズム的視覚言語によって、東アジア的なモチーフやその絵画の空間表現を再解釈しようとするその試みは、独自性を有しながらも美術史との相関性を持った作品として成立しています。同時に、中村は、日本の土着性の中で地域性を持った要素を用いて⻄洋絵画を発展させていくことによって、⻄欧中心的なディスコースに立ち向かい続けてきました。本展では、特に1980年代より取り組んできた初期の作家の実践を示す「Y型」や「斜行グリッド」を用いたシリーズの中でも希少な作品群が展示されます。その作品中にたびたび現れるY字の記号は地図記号で桑畑を意味し、地形学についてのフォーマリスティックな参照を表しています。中村にとって、Y型とは作家の母方の生家にあった桑の木々と結びついた非常に個人的なモチーフでもあり、さらには1960年代以前の母方の家業であった養蚕業の衰退の歴史を想起させる社会政治的な意味性を持った要素なのです。その一方で、幾何学的抽象を描いた斜行グリッドの絵画作品は、日本に古くから存在する絵巻に特徴的な平行的な視線の動きについての再解釈から生まれました。自己完結した自律性を持った客体としての美術作品に重きをおく⻄欧のモダニズム美術に特徴的な正面性を持った縦横構造のグリッドとは対照的に、このような斜行グリッドは観る者の視線を構図の外へと向けさせることで絵画における新たな意味性を作り出してきました。
 さらに2000年代以降は、鳥の形態を繰り返し描いた「織桑鳥(フェニックス)」と「存在の鳥」といったシリーズにも取り組んできました。重厚なテクスチャーによって描かれた作品群は、存在の定まらない両義性を示唆する抽象化された鳥を記号的に描くことによって論理性を持ったグリッドからエモーショナルな抽象性への中村の取り組みの変化を見せています。「織桑鳥」というタイトルは、不死鳥の個人的な解釈の形として、「織物業」や「桑」や「鳥」の日本的な特性を結びつけた中村の造語です。この世には存在しない鳥についての数々の神話は古代エジプトや中国においてはるか昔から存在し、特に19世紀以降日本文化の中にもエジプトの「不死鳥」の神話が導入され、「鳳凰」という古代中国から日本へと伝わった吉兆をもたらす縁起の良い鳥の概念と共にたびたび語られてきました。死後の再生を表すこの不死鳥は中村にとって個人史と強く共鳴する心理的なモチーフであり近代において廃れてしまった養蚕業の再生、ひいては全ての衰亡したものへの再生の願いとして描かれています。一方で、「存在の鳥」は中村が登山の際に遭遇した山頂から下方へと飛んでいく鳥の様子から着想を受けたことで生まれたシリーズです。中村は、「飛翔」とは、人類全てにとっての悪災や悲劇に打ち勝つための手段を象徴する概念であると考えてきました。本シリーズは、初期作品からの引用となるY型の繰り返されるモチーフによるコンポジションが、空想上の鳥の図像の5種類ほどのマトリクス(母型)を基本形として描かれています。韓国の⺠画や始祖鳥の化石あるいは鳥という象形文字に見られる、鳥の原型を取り入れたこれらのイメージ群は、中村が述べるように「究極的な示差性を持つ絵画を描く」を可能にするのです。

 中村一美
 1956年千葉県生まれ。現在、埼玉県日高市を拠点に活動。東京藝術大学では当初美術理論を学んでいたが、「もの派」を代表する美術作家の一人である榎倉康二の元で美術制作を学び始める。その後、師と仰ぐ榎倉の強い後押しで次第に作品制作に専念するようになる。その40年を超えるキャリアの中で、ヨーロッパ、中東、東アジア各地で展覧会を開催。主なものとして、国立新美術館(東京、2014年)、いわき市立美術館(2002年)、セゾン現代美術館(⻑野県軽井沢町、1999年)での大規模な回顧展が挙げられる。Blum&Poeでは、吉竹美香のキュレーションのもと、2019年に2会期にわたり開催されたグループ展「パレルゴン:1980年代、90年代の日本の美術」に参加した。さらに、第57回オクトーバー・サロン「The Marvellous Cacophony」(セルビア・ベオグラード、2018年)、「Imago Mundi」プラット・インスティチュート(ニューヨーク州ブルックリン、2016年)、「Re:Quest―Japanese Contemporary Artsincethe 1970s」ソウル大学美術館(2013年)、「Japan Today」ルイジアナ美術館(デンマーク、1995年)、「視ることのアレゴリー」セゾン美術館(東京、1995年)、「戦後日本の前衛美術」横浜美術館(1994年)、「JAPANʼ89」ゲント市立現代美術館(ベルギー、1989年)といった重要なグループ展に多数参加。また、その作品群は、釜山市立美術館(韓国)、原美術館(東京、2021年閉館)、東京都現代美術館、東京国立近代美術館、国立国際美術館(大阪)、ラチョフスキー・コレクション(テキサス州ダラス)、レイキャビク美術館(アイスランド)、セゾン現代美術館、豊田市立美術館、横浜美術館、ピータースチュブサントコレクション(現BATArtventureCollection、アムステルダム)をはじめとする様々な美術機関に所蔵されている。

住所東京都渋谷区神宮前1-14-34 原宿神宮の森 5F
TEL03-3475-1631
WEBhttps://www.blumandpoe.com/?lang=ja
営業時間*112:00 ~ 16:00
休み*2月、 日、 祝
ジャンル*3現代美術
アクセス*4JR原宿駅竹下出口より徒歩1分、明治神宮前駅2番出口より徒歩2分
取扱作家https://www.blumandpoe.com/artists
*1 展覧会・イベント最終日は早く終了する場合あり *2 このほかに年末年始・臨時休業あり *3 現代美術は、彫刻、インスタレーション、ミクストメディア作品、オブジェなども含まれます *4 表示時間はあくまでも目安です 【注】ギャラリーは入場無料ですが、イベントにより料金がかかる場合があります

■コロナ感染拡大防止のための注意事項
 現在BLUM&POEではギャラリーを予約制にてご案内しております。
 ご予約はホームページにて(https://www.blumandpoe.com/reservation)よろしくお願いいたします。
 なお感染症対策のため、ご来廊の際はマスクの着用をお願いします。

情報掲載について

当サイトへの掲載は一切無料です。こちらからご登録できます。https://tokyo-live-exhibits.com/about_information_post/

地図で探す

コメント

*
*
* (公開されません)